詩人の吉野弘さんが亡くなったというニュースの中で、吉野さんの詩である祝婚歌というものが紹介されていました。結婚式でよく詠まれた詩のようです。
皆さん、すでによくご存じかもしれませんが、私はまったく知らなかったので、紹介します(*^.^*) ちょっと感動しました(*゚ー゚*)
(吉野さんは、この祝婚歌を”民謡みたいなもの”とおっしゃっていたようです)
『祝婚歌』 吉野 弘
二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派過ぎないほうがいい
立派過ぎることは
長持ちしないことだと
気づいているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうち どちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難する資格が自分にあったかどうか
あとで疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気づいているほうがいい
立派であるとか 正しくありたいとかいう
無理な緊張には色目を使わず
ゆったりゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そしてなぜ胸が熱くなるのか
黙っていてもふたりには
わかるのであってほしい