こちらも11月4日5日の社会保障セミナーの内容です。

生活困窮者自立支援法についてです。
2015-11-04 16.25.36 ①表紙.jpg

生活困窮者自立支援法、

ざくっというと、
生活保護になる前に、
早期発見・早期支援、
そして、就労支援や、相談など包括的にやっていきましょう。

という内容の法律なのですが、

必須事業(マスト)と任意事業(やるところはやって)
にわかれていますが、
任意事業もやるところはやって、というよりは、
自治体の個別事業・地域事業に即してやってくださいという意味で、
そこを勘違いしてはいけないというメッセージでした。



それにしても、
時代の変化に法制度が追い付いていないですねぇ。

正確に言うと、
現状の法制度では対応ができないから、
この法律を作ったという点では、
必死に追いつくように考えているという状態。


国としても地方自治体としても機動力が問われます。


また、法改正がどんどんされるので、
地方自治体の職員も議員も常に勉強しておかなければです。





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まず、背景説明から。



H7の88万人からH27年5月で216万人。
2015-11-04 16.26.27 ②保護世帯2.5倍.jpg
2.5倍、どの年代でも増えている。

高齢者世帯保護が増えている。

前年度比で高齢者が増えている。
2015-11-04 16.30.07 ③高齢者の保護世帯.jpg
高齢者人口の伸び以上に
高齢者の保護が増えている。

バブルがはじけてから経済が低成長。
働き方に大きな変化。
地域のあり方家族のあり方、包摂力の低下。


非正規雇用労働者の増は高齢者の寄与が大きいものの、
中年者や35歳以上の年長フリーターも増加している。

望んでフリーターなどではなく、
不本意非正規の割合も高い。


非正規が増えてきたけどそれに社会保障制度がついてきていない。


国民年金・国民健康保険は自営業者のためのものだったが、
実態として、常用雇用やパートの加入者の比率が増えている。

社会保障制度を実態に即していかなければならない。


若年層の非正規雇用割合は高く、
非正規雇用の給与は正規雇用と比較して低い。

非正規は世紀に比べて給与も低く、
結婚率につながっていく。


格差があるのかないのかというのは難しいところで、
決定的な根拠はない。
それよりも、
相対的貧困率で見たほうがいいんじゃないのか。


その他世帯。5割以上が50歳以上。

生活困窮者の上京
福祉事務所来訪者のうち生活保護に至らないものは、
高齢者等も含め年間約40万人。

生活保護受給世帯のうち、約25%の世帯主が出身世帯も生活保護を受給。
生活保護の連鎖。


生活困窮者自立支援法の制度創立前でも、
一部自治体では実施していた。
例えば、
貸付・家計相談
グリーンコープ生協においては、きめの細かい生活相談に合わせて貸し付けを実施。
【実績】平成23年度末までの貸倒率0.97%

待っているだけではなくこちらから出向く。アウトリーチで、
ワンストップで。

自立支援をしていく中で、
ばらばらになっていた支援機関が連携していく。
地域の包摂力も高まってくる。


自治体の中でも温度差。
誤解しているところは、必須事業だけやっておけばいいと。

必須は入口のところ。
任意事業はやってもやらなくてもいいのではなく、
一人一人の状況に応じてやるべき。


制度の理念。
(1)生活困窮者の自立と尊厳の確保
困窮者の多くが自己肯定感、自尊感情を失っていることに留意し、尊厳の確保に特に配慮する
(2)生活困窮者支援を通じた地域づくり



もう一つの勘違い。
生活困窮者はうちの自治体にはいないんだけど。
窓口開いたけど来ないんだけど(←探しに行ってください)


います。
ニーズが埋もれている。
秋田県藤里町。人口3684人
個別訪問調査を行ったら18歳以上55歳未満の不就労の引きこもり113人を確認。
同年代人口1293人のうち、約8.7%に相当。
就労支援をして36人が就労につながった。


制度縦割りではなく人中心に考えないといけない。
予算を一緒に組んだ。


熱い期待とともに4月から始まったが。
任意事業の実施状況の割合は増えつつある。


子どもの貧困の連鎖の防止。
高校中退率が生活保護受給者の中退率は5.3%となっており、
一般世帯の高校中退率1.5%の3.5倍。
→高校中退防止の取り組みの強化。
→家庭訪問の強化


制度の構築に向けたポイント。
①法の趣旨の理解。
自立支援の強化。
②庁内体制の構築
福祉部門だけではだめ。ネットワークをどうつくるか。
ライフライン(水道)を持っているところと連携。
また国保、年金、税。滞納するのが予兆。

③実施方法の検討
仕事のやり方。出口がない。就労がない。
自立支援ってなんだろう?出口は就労準備、支援、家計管理能力。
2015-11-04 17.08.09 ④自立支援の対目標.jpg


今年度における国の目安値が写真の右の方に小さく書いておりまして、
以下の数字↓
①新規相談受付件数:人口10万人当たり20件/月
②プラン作成件数:人口10万人当たり10件/月
③就労支援対象者数:人口週万人当たり6件/月
④就労・増収率(就労・増収者/就労支援対象者):40%

なんですが、
どれもクリアできていないというのが現状です。
新規相談受付件数は16~17件ですので、惜しいところまで来ているとも言えます。




④関係機関との連携体制の確保
地域の様々な資源。インフォーマルな資源、自治会、ボランティア。



結局のところ、地域に応じてどう工夫するか。
財政が豊かかどうか、規模が大きいかどうかではない。
地域で差が生まれてくる。
国がやるのは基本的なツールと財源。
国が手取り足取りやってはいけない。


■新たな時代に対応した
福祉の提供ビジョンについて

対象者を中心にいろいろな制度を活用して、
支援を包括化していく。
全世代、全対象型地域包括支援体制。

4つの改革。
①包括的な相談から見立て、支援調整の組み立て+資源開発
地域をフィールドに保健福祉と雇用や農業教育など異分野とも連携。

2015-11-04 17.43.15 ⑤包括支援の体制.jpg


②高齢、障害、児童への総合的な支援の提供
多機能型の福祉拠点の整備促進

③生産性の向上

④総合的な人材の育成・確保。


Q教育委員会との連携は?
ATOPにいるのは首長。
首長のリーダーシップが必要。
あとは議会の声。
特効薬はない。

教育と福祉一緒にやっていかないといけない。
学校から発見するとか。

乗り越えられないことはない。

どういう連携がされているのか点検をして、
おかしければ声をあげていく。

国の制度が邪魔をしているのであれば国はその障壁を取り払う。
半分気合いみたいな答えでスイマセン笑


Q相談はできるが、答えが見つからない・・。
A支援調整会議を庁内で開いているところはうまくいく。
そういう体制ができているか。
そして、そこから発展して、社共や自治会、ボランティアなどに広がるネットワークがあるのかどうか。なければまずつくってみてはどうか。



Qひきこもり支援。雇用行政との連携、出口を見つけにくい。
企業の方で雇用のインセンティブがないので・・。
啓発も含めてアドバイスがあれば。

Aまさに就労支援がネック。
社会生活をきちんとするところから始める。
認定就労訓練事業所というスキームがあるが、
民間に協力してもらう。
市町村というよりは都道府県で開拓してくれれば。
都道府県が出番ですよ。


Q福祉は地域に入っていかないといけないし。全体で分野またぐものとか。

A境界領域やニーズが多様化している中で、縦割りでは解決できない。
8050問題。80歳の親と50歳の引きこもり。
いろんな問題が重なっている。
カギは生活困窮者自立支援法。
やらなければならない支援はありとあらゆる支援。
個人ベースではなく、世帯ベース。
あと、法律もシンプルに書いていて、
あとは書いてないことも含めて工夫してくださいねという話。





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