親愛なる友人へ
２７歳コックの小さな夢
これは１９９２年の韓国のとある田舎での話です。
2年制の短大まで落ちて高校を卒業した彼は、光も入らない小さい部屋に1週間も閉じこもって将来のことを考えていました。
友達に会うこともなく、誰かに連絡もせず、家族と会話もしないで真剣に考えました。
自分の夢は何か、自分がやりたい事は何か！を彼は分からなかったです。
「私は何がしたいんだろう！」
「何をすればいいんだろう！」と悩み続ける日々でした。
何ことにも情熱を持てず、お酒におぼれて遊んでばかりの高校時代を送った彼には、当然の結果でした。
それから４年後・・・
彼は料理学校を優秀な成績で卒業し、ソウルの五つ星ホテルに就職することができました。
その４年の間に一体何が起きたのでしょうか？
彼はどんな夢をみつけたのでしょうか？
どうやって夢を見つける事が出来たのでしょうか？
高校を卒業した彼は地元の工場で働いてから韓国男子の宿命を果たすため入隊しました。
入隊して間もなく、命令による料理の仕事をやらされることになりました。
誰に文句を言うこともできずしばしば始めた料理の仕事が、
彼には「運命の出会い！」だと感じるまでそう時間は掛からなかったです。
先輩に色々と料理の事を学びながらだんだんその仕事が好きになりました。
料理に関してはど素人で、ただレシピをみて作った料理をみんな笑顔で食べてくれることが何よりも嬉しかったです。
そこで仕事のやりがいを感じるようになりました。
彼はようやく自分の夢を見つける事ができました。
「先輩のように上手くなりたい、もっと美味しい料理を作りたい！」と思うようになり、料理人になることを決心しました。
そして除隊後料理学校に進学し、生まれてはじめて勉強に励みました。
みんなが寝静まった後、一人で明かりをつけて毎日勉強しました。
彼はとても幸せでした。
夢を見つけ、夢に向かって歩んでいる自分の姿が自分でも信じられないくらいでした。
彼は料理学校を卒業して一番目の目標だったソウルの五つ星ホテルに就職することができました。
それから4年が経ったある日、日本から仕事のオファーを受けて海を渡る事にしました。
２７歳コックの小さな夢
彼は「日本でもっと韓国料理を広めよう！」、
「もっと沢山の人々に韓国料理を分かって貰えるように頑張ろう！」と思いました。
頑張って日本語の勉強をして料理教室を開き、自分の店を開こう！と決心しました。
それは彼にとっては小さな夢でもあり、目標でもありました。
情熱を失う
日本に来てからも彼は料理の仕事を続けていましたが、彼の情熱は冷めていました。
いつも繰り返される同じ日常と寂しさに彼の心は疲れていました。
料理の仕事を辞め、転職することを真剣に考えていました。
そんな彼に料理への情熱と夢を目覚めさせてくれたのは、何気なく始めたブログでした。
楽しくワクワクする日々！
家ではキッチンに立つことがなかった彼ですが、ブログを始めてからは毎日のように家でも料理をしました。
片言ながら動画を撮って配信するようにもなりました。
撮影は仕事の後、朝方まで続く時もありましたが、彼は楽しんでいました。
その理由は、自分の忘れていた小さな夢が実現できたからです。
形のある料理教室ではないものの、ブログを通じて沢山の人々に韓国料理を教えられることがとても嬉しかったです。
自宅のマンションからの始まり！
彼が来日してあれこれ10年の月日が経ちました。
軍隊から始めた料理の仕事はもう16年になりました。
彼は名古屋の小さいマンションで＜カタコト料理教室＞を開いて幸せな毎日を過ごしていました。
夢への憧れ！
彼は自分の小さい夢だった料理教室が実現できて、楽しい毎日を過ごしていました。
しかし何か足りないことを感じました。
それはまだ実現していない独立への憧れでした。
「このままだと夢は夢で終わってしまう。」
彼は再び将来への不安と焦りを感じました。
東京行きを決心する。
そんなある日、彼は東京にいる先輩に会うために新幹線に乗りました。
初めて新大久保に行った彼は活気溢れる風景に驚きを隠せなかったです。
「ここだ、ここで俺も勝負したい」と彼は思いました。
東京の人波に紛れて「東京で成功をつかむぞ！」と心から叫び、名古屋に戻りました。
その二日後、彼は１０年間勤めていた名古屋の韓国料理店に退職届を出して東京行きをみんなに告げました。
職場も決めず、東日本大震災の前日の３月１０日、彼は東京へやってきました。
彼には迷いも不安もなかったです。
前に前に進んで、自分の夢を実現させることだけを考えていました。
ところが彼には豊富な資金も人脈もありません。
どうやって自分の夢のレシピ本の出版とお城(店)を築き上げるでしょうか！？
韓国のアツい男のこれからをあなたも一緒に見守ってやってください。
韓国料理家キムチ王子