出版不況の乗り越えるひとつの方法は、図書館と書店の共存関係にある。

図書の売り上げの減少を、図書館のせいにする見方もあるが、それは、根本的に

間違っている。(ただし、書店とブックオフの共存は難しい利害関係にある。)


あまり、例がないかもしれないが、図書館のとなりに書店を開くべきである。

ともに、繁盛するにちがいない。


なぜ、そう思うのか。

実は、妻の行動をみていると、それに思い至る。

彼女は、市の図書館のヘビーユーザーの一人であるが、同時に大量に図書を買い込んでおり、

いつも、図書館と書店がとなり同士にあれば、いいのにと嘆いているからである。

この相乗効果ははかりしれない。


図書館に足しげく通う人に、図書館は、十分に機能するわけがない。

図書館が、ベストセラーの図書を数十冊買い込んでサービスしたところで、

図書館がユーザーを満足させることはできない。

それでも、数ヶ月1年待ちでも、図書を読む意欲を失わない利用者を図書館が

抱えていることを、書店は見抜くべきである。

図書館のサービスが、市民の需要に応えることはできない。

その集中する需要を解消するためには、数ヶ月から数年という時間が必要になるからだ。


しかし、書店は違う。時間的壁を一挙に乗り越えることができる。

なぜなら、書店はベストセラーの図書を、一度に大量に供給できるという方法が存在するからだ。


そして、図書館のヘビーユーザーは、図書の新刊情報を抜かりなくチェックしている。

(妻の行動観察の結果)

(私自身は、小説、文学のたぐいはほとんどよまないので、新刊情報に無頓着である。)


書店の最大の問題は、新刊書(しかも1ヶ月程度のもの)しかおいてないということである。

野菜や果物ではないのだから、もっと、おいておいてくれれば、よいのだが、1ヶ月や数週間

では、早すぎる。

勢い、利用者は品揃えの豊富な超大型書店やオンライン書店に走ることになる。


一般の書店にしてみれば、返本をしない図書は売り上げとみなされてしまうので、期限内に

売れない図書は、すばやく返本しなければならない。

これで、図書が売れるわけがない。

では、どのような解決策があるだろうか。


図書館と書店の共存しかない。

図書館には、通常1冊から数冊(多い場合には、数十冊 かなり例外的な場合)しか本がないが、

そこには、予約というシステムがある。

すると、その本の現在と未来の需要がわかる。(図書館側からしかわからない。)

もし、なんらかの方法で、この需要がわかれば、書店は、それを仕入れることができる。

数ヶ月、1年先でも、読みたいという需要があるなら、当分、書店に並べておいて大丈夫である。

予約がさほど集中していなくても、よく利用される図書は、その図書の根強いファンがいることが

わかるので、それらの図書を書店に置いていても、売れる可能性が大きい。


公共図書館には、市民の需要を調べる力があり、その需要に応えるためには、数ヶ月、数年の

時間をかけてしか、対応できない。

書店には、大量の図書を同時に販売する力があり、その時間的差を解消する力がある。


私は、大学図書館に勤務しているので、公共図書館の実態をなかなか把握できない。

しかしながら、最近は、オンライン予約ができるようになり、年間100万冊を貸し出すような

図書館では、通常数十万件の予約があるようである。

(個人情報やプライバシーの問題もあるので、その生情報を得ることは不可能である。

 しかし、図書館が通常発表している、貸出ランキングや予約情報システムの

 個々の図書の予約情報をみるだけでも、いろいろな情報を得ることができる。)


---------------後は、蛇足的メモ---------------------------------------


もしくは、町の書店自身が、図書の需要を収集するシステムをつくって、自らの

書店経営に生かすシステムを導入すべきかもしれない。

しかし、現在は、大手流通業者の配本システムと回収システムに振り回されて

書店経営をしているのが実態だろう。

その意味で、書店の販売力を奪っているのは、ほかならぬ大手流通業者とはいえないか?


しかし、かわりにどのような方法があるのかと問われれば、いい方法はない。

本が好きなら、古本屋をやるほうが、よほど、自由に販売することができるので

たのしいだろう。


オンライン書店は、予約もうけつけるし、納品動向もこまかくわかるし、

品揃えも多いので、便利である。


その意味では、オンライン書店、オンライン古書店は、図書館的機能を

持ち始めており、図書館にとっては、脅威になる可能性がある。


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アマゾンが上陸当時、アマゾンが、アメリカで安売りをして急成長してきたが、

日本では安売りができないので、あまり、伸びないのではないかということを

いう人もがいた。

しかし、日本では、誰も本の安売りをすることができないので、安売りを

考える心配もなく、定価販売で、その分の利益はそのまま利益になるので、

一般書店が苦しい中、アマゾンは、日本の中で他の書店に比べて、

高利益をあることができる。今元気のいいのは、アマゾンと組んだ、大阪屋

さんだろう。