ブックフェアが開催されているというので、新聞に大きな記事が掲載されていた。5回シリーズで掲載するという。出版不況の大きな原因は、購入後、読書後の図書をどうするのかという概念がないからに他ならない。それは、著者や出版社に関係ないことだという意見があるかもしれない。
しかし、すべてのものには、飽和という現象がある。一定量を超えると、もう次の段階を模索しなければならない。結論から、いうと、デジタル化以外に、出版不況を乗り越える方法はない。この結論は間違いないだろう。(と、だめ押しをしておこう。しかし、こういう意見は他では聞かないので、ここが、初出かもしれない。)
ハリーポッターの第6巻が出る。1巻から並べてみると、その膨大な量に驚かされないか?
しかし、この本の大きさに手をこまねいている家も多くないか。
かつて、図書を読むのは、文化人で、学者と決まっていたので、裕福な家で読んでいたのだ。書斎もあり、なんと、数十巻もする大百科事典をどーんと置いて、なおかつ、部屋は整理され、たくさんの図書の置けるゆとりがあった。
しかし、今、そんな家は数えるしかない。
携帯電話やパソコンなら、壊れていくので、捨てるという概念が登場するが、図書が壊れることがない。
といって、買った本を並べておくスペースはない。

この現象を、だれも、コメントしない。
著者権という大きな問題もあるので、なんともいえない。
コピーすることは著作権問題になるが、ゴミとして捨てる分には、著作権問題にはならないらしい。
本好きには、相反する感情が渦巻いているかもしれない。

いったい、日本中で、一年間で印刷される図書の量は、何十キロメートル分、何千キロメートル分であろうか。出版点数でも、7万から10万冊とも言われているのだから、それが、何千冊、何万冊と印刷され、2兆円以上の金額を国民が支払って、国民の元、家の中に流れ込んでいくのである。

こまったもんだ。図書をくらいとっておけばいいのだろうか。
デジタル書籍のように、購入して60日で印刷した字が消えてしまえば、あきらめもつくかもしれないが、
自分の人生を変えた本や、主人公のいっしょに冒険し、泣き、笑った本をどうしたらよいのか?

量という観点、家の中の存在という観点では、音楽CD,DVD,ビデオテープなど、同じ宿命を背負っている。しかし、かれらは、メディアの変換という、とんでもない裏技をもって、その量の変換をなし遂げてきた。
かつて、1万枚のLPレコードを持つとしたら、家一件分のスペースが必要だっただろう。しかし、いま、1万曲も手のひらの中に入ってしまう。
だから、曲は売れるのである。無限という量を確保した。

しかし図書は、1万冊を購入したら、1万冊分を保管するスペース 家1軒分が必要である。(1万冊じゃ、3件分ぐらい必要かな。)しかし、現在せいぜいできるのは、文庫化程度であるが、新たに買いなおさなければならない。すると、2冊になってしまう。

さて、出版不況をのりきる方法は、デジタル化しかない。
本を物理的に、その存在を確保できないからである。
LPを愛するものに、CD,ネットの音楽は、はかなく、むなしく感じてしまうかも知れない。
しかし、今、LPを聞くというのは、難しい。そんな環境を、子供たちに作ってあげることも出来ない。
大きなステレオ装置、LPの棚を子供たちに作ってあげることはできないのが現実だろう。

寝る間も惜しんで読んだ、ハリーポッターの膨大な図書は今、子供たちの机の上でどうしているのだろうか。
宝物として大切されているのだろうか。
それとも、置き場もなく、流浪しているのだろうか。
やむなく手放した子供もいるだろう。
親に捨てられまいと、密かに隠した子供もいるだろう。

本の置き場もだれも確保することも出来ずに、本を買って読んでほしいという。
それは、大人のわがままだ。
子供たちに、素敵な読者環境を作ってあげなければならない。
一生涯、その人の人生によりそう、素敵な本棚を作ってあげなければならない。

無責任を図書を印刷すべきではない。
素敵な個人のための本棚を確保できずに、本を売ってはならない。

出版不況の最大の問題点は、本と人間のライフサイクル、関係が整理されていないところにある。

音楽、映像などの動きから考えられることは、デジタル化であろう。
そして、家の中から、宝物を大切に残しながら、個人のための本棚を確保してあげる方法を確立すべきなのだ。一生涯を友とする本棚を作ってあげるべきだ。

多くの家で、子供たちの大切なハリーポッター(象徴的な意味で使っていますよ。たくさんの思い出深い図書の代表として使っています。)を、大人たちが呪いのことばをかけていませんか。
この本、なんとかしなさい。もう読んだんでしょ。捨てるわよ。
そんな声は、日本中でたくさん聞こえていることはないのでしょうか。
その声の中、子供たちは嬉々として、図書なんて買えませんよね。

デジタル音楽の時代に、肩身を狭くしないで、音楽を密かに楽しめるようになった人も多いのかも知れません。自分の部屋もなく、大人たちに、CDを蹴飛ばされたり、投げつけされたりせずに、私のための私の音楽を確保できたのですから。

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まとめ
子供たちには、宝物のハリーポッターを隠しておけるところもない。
狭い住宅環境の中で、本は呪われている。
本は壊れにくいので、何十年も呪われ続ける。
親は、子供たちに生涯使える書棚を確保してあげなければならない。
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個人のペースで、買った本を簡単にデジタル化する方法が確立できるといいですね。
ソニーさん!
せっかく、携帯読書端末があるんだから、そのセットとして、買った図書を、デジタル化する
方法を提供しましょうよ。