「パルムの僧院」スタンダール著・・・★★★
“幸福の追求"に生命を賭ける情熱的な青年貴族ファブリスが、愛する人の死によって僧院に入るまでの波瀾万丈の半生を描いた傑作。
「赤と黒」と共に名著の誉れ高い、フランスの文豪スタンダール1839年の作品である。
先日私が絶賛したマイケル・オンダーチェ著「イギリス人の患者」の中で、イギリス人の患者に看護婦のハナが朗読して聞かせていた本が本作で、気になったので読んでみた。
イタリア貴族デル・ドンゴ侯爵の次男の主人公ファブリスはナポレオンを崇拝しワーテルローの戦い(この敗戦によりナポレオンは退位)に参加するも大した活躍もしないまま怪我をして帰還。
反ナポレオン主義の兄アストニアがファブリスを密告し亡命を余儀なくされる。
ファブリスに異常なほどに恋愛感情を持つ(ほとんど近親相姦)叔母さん(公爵夫人)の勧めでファブリスは僧となる為留学をする。
五年後、ファブリスは偉くなって帰ってきたと思いきや、女性がらみの殺人を犯し収監され、そこで出会った監獄長官の娘クレリアと恋に落ちる。
叔母さんとクレリアの助けでファブリスは脱走するが、なんやかんやあり(だいぶ省略)再び入獄する。。。
上下巻の長編をだいぶ端折りましたが、この物語を超簡単に言えば、一人の男を巡る女二人の駆け引きと、二人の女に翻弄されるお偉い男達の話である。
読みながらまず感じたのは、読みにくさ。
全然話が頭に入ってこなかった。
美貌を誇る叔母さんが、ファブリスの気を惹いたり、助けようとする為に叔母さんに惹かれている男たちに取り入るのであるが、誰がどういう関係で、話の内容も盆暗頭に入らずチンプンカンプンだった。
現代のこの手の愛憎劇作品と比較すると退屈で冗長的と感じ、私的には何が面白いのか分からなかった。
オノレ・ド・バルザックは「当時にあって最も意義深い作品」だと述べたそうであるが、”当時にあって”というのがミソかもしれない。
そして本作の一番の謎がこの題名である。
この題名からして”パルムの僧院”内で起きた物語だと想像していたが、作中で”パルムの僧院”が出てきたのは結末の一回だけ(ファブリスの引退先)という不可解な題名である。
という訳でこの歴史的名著は私には合わなかった。(iДi)
Amazonでは絶賛している方も多くいらっしゃるが、コメントを読むと皆さん一流読書家の方々である。
まともな書評をご覧になりたい方はそちらを参考にして下さい。!(´Д`;)
次は身の丈に合った、読みやすそうな現代物を読みます。(*゚ー゚)ゞ
パルムの僧院 (上) (新潮文庫)
Amazon |