598冊目 リヴァイアサン/ポール・オースター | ヘタな読書も数撃ちゃ当る

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ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

「リヴァイアサン」ポール・オースター著・・・★★★☆

一人の男が道端で爆死した。製作中の爆弾が暴発し、死体は15mの範囲に散らばっていた。男が、米各地の自由の女神像を狙い続けた自由の怪人(ファントム・オブ・リバティ)であることに、私は気付いた。FBIより先だった。実は彼とは随分以前にある朗読会で知り合い、一時はとても親密だった。彼はいったい何に絶望し、なぜテロリストになったのか。彼が追い続けた怪物リヴァイアサンとは。謎が少しずつ明かされる

 

久しぶりの(2年間のブランクがあるんで誰を読んでもそうであるが)ポール・オースターである。

 

オースターの作品は「ニューヨーク3部作」以降その作風が少しずつ変化してきている。

「ニューヨーク3部作」は不条理で寓話的な作品で読者を煙に巻いたような作品だったが、それ以降現実的で誰が読んでも分かりやすい作風(「偶然の音楽」は不条理だったようだ)になっている。

 

この物語の語り手である私(ピーター)の無二の親友だったサックスと、2人に複雑に関わってきた人物達(殆どが2人の妻たち)との数々のエピソードを丹念に描いている。

 

本作はそれまでの作品の中では多分(過去に読んだ作品内容の記憶が覚束ないので)一番分かりやすい作品(物語)じゃないだろうか。

普通の物語として読めば面白い作品なのではあるが、私が期待するオースター作品とは違う。

 

サックスが何故テロリストになったのかが、いまひとつ釈然としないのであるが、その辺りが本作のテーマとして暗喩になっているのかもしれない。