592冊目 わたしたちが孤児だったころ/カズオ・イシグロ | ヘタな読書も数撃ちゃ当る

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ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

「わたしたちが孤児だったころ」カズオ・イシグロ著・・・★★★☆

上海の租界に暮らしていたクリストファー・バンクスは十歳で孤児となった。貿易会社勤めの父と反アヘン運動に熱心だった美しい母が相次いで謎の失踪を遂げたのだ。ロンドンに帰され寄宿学校に学んだバンクスは、両親の行方を突き止めるために探偵を志す。やがて幾多の難事件を解決し社交界でも名声を得た彼は、戦火にまみれる上海へと舞い戻るが…現代イギリス最高の作家が渾身の力で描く記憶と過去をめぐる至高の冒険譚。

 

本作はカズオ・イシグロの2000年に発表された五作目の長編小説である。

 

舞台は日中戦争前~戦後の上海(一時イギリス)、主人公のバンクスは私立探偵である。

あらすじは紹介文の通りなのだが、本書は探偵物と聞いて一般的に想い描く、難事件の解決を描いたような探偵物(推理物)ではない。

 

読み終わり感じた事は本書はイシグロらしい作品でもなく、前作の「充たされざる者」のような(いい意味で)イシグロらしく無い作品でもなく、ごくありふれた作品のように感じた。

正直、本書にカズオ・イシグロのクレジットが無ければ大きな評価はされないような気がする。

その為私は、イシグロ作品で初めて★4つ以下の評価をした。

 

しかし、次の作品でイシグロの最高傑作と呼び声が高く、私も5つ★の評価をした「わたしを離さないで」が上梓されるのである。

ただ、本書からまた5年の歳月を待たされることになるのではあるが。。。