「十三階段」高野和明著・・・★★★☆
犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。だが手掛かりは、死刑囚の脳裏に甦った「階段」の記憶のみ。処刑までに残された時間はわずかしかない。二人は、無実の男の命を救うことができるのか。江戸川乱歩賞史上に燦然と輝く傑作長編。
「このミス」2002年版8位の作品。
本書のテーマは冤罪と死刑制度。
主人公の青年三上は、傷害致死罪の服役から仮釈放される。
実家に帰るが、被害者への賠償金の支払いから小さい町工場を営む両親の生活は困窮していた。
そこへ担当刑務官だった南郷が、一人の死刑囚の冤罪を晴らすため多額の謝礼金を見返りに、事件の調査協力を求めてくる。。。
人が人を裁くという行為は非常に難しい。
それも、死刑か無罪かのどちらかともなれば、刑が執行されればその命は永遠に戻ってこない。
裁く側、裁かれる側、そしてそれを取り巻く人間達の苦悩は大きい。
冤罪、死刑制度を問うテーマ性と、冤罪の殺人事件と主人公が起こした殺人事件とを関連づけたプロットは面白く、死刑執行時の描写は緊張感があり迫真に迫っている。
ただ、事件関係者たちの関連づけが少々強引で無理を感じた事と、文章に拙さを感じた。
TVのサスペンス番組には恰好の原作だと思ったが、既に反町隆史主演で映画化されていた。
でも、反町隆史じゃ、ちょっと恰好良すぎじゃね?
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