「不屈」ディック・フランシス著・・・★★★☆
貴族の血を受け継いでいながら、ひとりスコットランドの山中で孤独な暮らしを続ける青年画家、アリグザンダー・キンロック。ある日、彼は自分の山小屋で待ちかまえていた四人の暴漢に襲われ、あやうく命を落としかける。闇雲に「あれはどこにある?」と脅されたあげく、わけのわからぬままに崖の上から突き落とされたのだ。事件が起きたのは、アリグザンダーが母の屋敷へ行こうとしていた矢先だった。ビールの醸造会社を経営している義理の父が、心臓発作に倒れたとの知らせを受けたのだ。全身の怪我をおして屋敷に赴いた彼は、義理の父の会社が倒産寸前であることを知る。経理部長が莫大な資産を横領して姿を消したらしい。しかも、会社が主催する障害レースの賞品である純金のカップも行方がわからない。会社の危機を救うべく奔走をはじめたアリグザンダーは、自分を襲った暴漢は横領事件に関係があるのではとの疑念を抱くが…。
先日、ディック・フランシスの訃報を耳にした。
前々からその著書は、図書館にずらーっと並んでたのでいつかは読もうと思ってたんですが、どうも私は古典的ミステリィには気が引けてしまい、さらには馬には全く興味の無い私は、競馬とミステリィが合体したストーリーってどんなんだろうと想像もつかず中々手がでなかったが、いい機会(不適切?)なので読んでみた。
思っていたよりズッシリと重い。
非常に丹念に書かれており、私の苦手とする登場人物の多さとも相まって飲んだ後の読書にはちと辛い。
スリルやスピード感は現代のミステリィとは比べ物にならないが、そのオーソドックスさが根強いファンを惹き付ける所以であると感じる。
ただ、訳、特に会話文に違和感を感じた。
主人公の若者(画家)が「なのである」「したのだ」「人々」とかキャラとは合わない言葉使いが目に付いた。
読者にとっては、こういう言い回しで人物像を想像する材料となるのでもう少し推敲した方がいい。
訳者が真面目な人なんでしょうね。
しかし、競馬ミステリィと思いきや馬はおまけ程度で、90%は人間同士の争い事であった。。。( ̄Д ̄;;
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