「夜想曲集」カズオ・イシグロ著・・・★★★★
ベネチアのサンマルコ広場を舞台に、流しのギタリストとアメリカのベテラン大物シンガーの奇妙な邂逅(かいこう)を描いた「老歌手」。芽の出ない天才中年サックス奏者が、図らずも一流ホテルの秘密階でセレブリティと共に過ごした数夜の顛末(てんまつ)をユーモラスに回想する「夜想曲」を含む、書き下ろしの連作五篇を収録。人生の黄昏を、愛の終わりを、若き日の野心を、才能の神秘を、叶えられなかった夢を描く、著者初の短篇集。
いまだ携帯は行方知らず。。。
新しい携帯の電話帳に何とか90件登録。
しかし、分からない人も多数あり、相手から掛かってくるのを待つしかない状況です。。。(TωT)
さて、本書はカズオ・イシグロの最新作であり、初の短編集である。
イシグロらしからぬ明るく読みやすい作風を感じた。
5つの物語はすべて音楽と、上手くいかない男女関係を題材にし、過去の作品には無いような分かりやすく面白いストーリー展開。
逆に言えば、イシグロファンからすると少しオリジナリティに欠けると感じるかもしれない。
この5つの物語、読んでいてその展開に読者に期待感を持たせるのであるが、結末にはオチが無い。
読み終わって「エエッ~、これで終わり?」と感じるのだが、その分余韻は残る。
そこがイシグロ流というか、この本に音楽性を感じるところだろうか。
- 夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語/カズオ・イシグロ
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