「1Q84」村上春樹著・・・★★★☆
1949年にジョージ・オーウェルは、近未来小説としての『1984』を刊行した。
そして2009年、『1Q84』は逆の方向から1984年を描いた近過去小説である。
そこに描かれているのは「こうであったかもしれない」世界なのだ。
私たちが生きている現在が、「そうではなかったかもしれない」世界であるのと、ちょうど同じように。
2週間も掛かって読み終えました。
あまり、詳しく書くとネタばれでヒンシュク買っちゃいますんでサラッといきます。
っていうか、感想が書きにくいんですよね。
ストーリーはハードボイルドとファンタジーを掛け合わせた様な物語が、著者お得意のパラレルストーリーで進行していく。
読み始めると、これがノーベル文学賞候補の作品かと思わせるほど、ストレスの無い文体で小学生でも読めるようにと配慮をしたんじゃないかと感じる程の丁寧で平易な文章表現。(前作の「海辺のカフカ」も)
モチーフは現実にあったであろう事件や団体を使い、今までの村上作品(ノンフィクションを除く)の中では最も社会性が強く意識が内側で無く外側へと向けられている。
その中で村上は問題を提起し批判していく。
今年の2月にエルサレム賞の受賞スピーチで政治的なメッセージを述べた訳ですが本書もその色が濃い。
その辺りが今までの村上作品には無かったテーマで、既存の村上ファン(そういう私も)にとってはちょっと違和感を感じるんじゃないでしょうか。
後半の1/4位から徐々に謎が明らかになっていく訳ですが、それでも読者は謎のまま読み終えるでしょう。
本書の中でも引用されてましたが、”文学は問題を解決するのではなく、問題を提起する”(チェーホフだったっけ?)といった通りの作品であり、本書をどう捉えるかは読み手に委ねられている。
私の好きな村上作品は既にピークを越したかもしれない。。。
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