300冊目 罪と罰/フョードル・ドストエフスキー | ヘタな読書も数撃ちゃ当る

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ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

「罪と罰」フョードル・ドストエフスキー著 江川卓訳・・・★★★★

その年、ペテルブルグの夏は長く暑かった。大学もやめ、ぎりぎりの貧乏暮らしの青年に郷里の家族の期待と犠牲が重くのしかかる。この悲惨な境遇から脱出しようと、彼はある「計画」を決行するが…。


300冊目。(^_^)v


さぁ、さぁ、出ましたよ。

定番中の定番。小説の中の小説。名作中の名作。

今頃読んで、よく書評ブログ書いてるな!と、お叱りの言葉も聞こえてきます。ハイ。


しかし、こりゃ困ったね。

カラマーゾフはまだ良かったんだけど、これは何を書けばいいのやら。


まず、感じたのは舞台演劇を見てるような、一言一言の全てに感嘆符が付いていそうな大仰な台詞回しと、突拍子もないへんてこりんな言動。

本当にロシア人って、こういう喋りと考え方するんでしょうかねぇ?


そして何より、主題である主人公の老婆殺しの件をそっちのけで、平行して語られるサブストーリーの数々。

ボリューム的にはそちらの方がよっぽど多いですからねぇ。

主題だけなら、前半の1/6と最後の1/6位を読んどけば事足りちゃう。

これについて訳者解説によると、まず本書の1/6位の中編があったんだけどうまくいかず「酔っぱらいたち」というマルメラードフが出てくる小説を合体させて、この長編になったという事です。

逆に言えば、老婆殺しだけの小説では余りに貧弱な小説になってしまったんでしょうね。

サブストーリーがあってこその、この作品が名作として評価され得たんでしょう。


そして本書の主題である、主人公のラスコーリニコフが犯した殺人の動機ですが、単に金欲しさの為の犯行でありながら、マホメットやナポレオンまで引き合いに出して「全人類の利益のためにはしらみのような老婆など殺してもかまわない」という論理は余りに身勝手で誇大妄想的で噴飯物じゃないでしょうか。

犯行後の心理的葛藤や苦悩も、何か非現実的でよく理解できなかった。

私にとっては先日読んだ「ライ麦畑でつかまえて」のホールデンの苦悩の方がよっぽど理解できるし、親近感を覚えます。


という事で私には本書がよく読みきれなかったんですが、この本に心底感銘した!という方を私は尊敬してしまいます。

世の中「罪と罰」感銘派ばかりじゃないと思うんですが。。。

解説本も出てますから、それ読んでちょっと復習をした方がいいようです。

でも、評価となれば生涯一度は読んでみるべき本でしょうから、最低4つ星は付けとかないと怒られるかな。



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