263冊目 幽霊たち/ポール・オースター | ヘタな読書も数撃ちゃ当る

ヘタな読書も数撃ちゃ当る

ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

「幽霊たち」ポール・オースター著・・・★★★★

私立探偵ブルーは奇妙な依頼を受けた。変装した男ホワイトから、ブラックを見張るように、と。真向いの部屋から、ブルーは見張り続ける。だが、ブラックの日常に何も変化もない。彼は、ただ毎日何かを書き、読んでいるだけなのだ。ブルーは空想の世界に彷徨う。ブラックの正体やホワイトの目的を推理して。次第に、不安と焦燥と疑惑に駆られるブルー…。


オースター作品を読むとそのどれもが夢の中で起きている様な感覚を味わい、掴もうと思って足掻いても掴めないもどかしさがある。

存在と非存在、自己と他者、虚構と現実の境目があやふやとなり、読むものに漠然とした不安感と焦燥感を与え、それを与える物の正体が掴めない。

これは、カフカ作品にも通じていて、ひとつの作品自体が何かを示唆しメタファーとなっている。

その示唆する事について思索する楽しみがオースター作品の興趣だと思う。


幽霊たち (新潮文庫)/ポール・オースター
¥420
Amazon.co.jp