136冊目 鍵のかかった部屋/ポール・オースター | ヘタな読書も数撃ちゃ当る

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ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

「鍵のかかった部屋」ポール・オースター著・・・★★★★

幼なじみのファンショーが、美しい妻と小説の原稿を残して失踪した。不思議な雰囲気をたたえたこの小説の出版に協力するうちに、「僕」は残された妻ソフィーを愛するようになる。だがある日、「僕」のもとにファンショーから一通の手紙が届く。

 

著者はアメリカの現代作家(1947-)で、作風はちょっと村上春樹に似ている。

本作は推理物のようなミステリータッチなストーリーなのだが、それなりの結末を期待すると裏切られる。

単なる謎解きではない人間のアイデンティティを問う作品だ。

漠然と分かったような、分からないようなカフカ作品に似た読後感がある。

事実、著者はカフカに多大な影響を受けたようである。

本書はオースターの「ニューヨーク三部作」のうちの1冊で、他に「ガラスの街」「幽霊たち」がある。

また1人良い作家を見つけた感触。

村上春樹が好きな方におすすめしたい1冊です。

この意味深げな題名は何を訴えかけているのだろうか?

 

 

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