「雷鳥の森」マーリオ・リゴーニ・ステルン著・・・★★★☆
戦争の記憶、森の静寂、野生の動物。簡潔で力強い文体によるこの物語は、今日の世界から失われつつある人生の深さと豊かさを併く。孤高の作家の傑作短篇集。
本書には12編の短編が収められている。
それらの作品は著者の体験に基づくノンフィクションに近いストーリーと思われる。
雷鳥やうさぎなどが棲む森での狩猟や戦争体験を心理描写や修飾を削り、臨場感溢れる端正な語り口で綴られている。
狩猟する事は作者が過酷な戦争体験から開放され”自由になった証”として感じ、作者自身の歓びが伝わってくる。
派手さはまったく無いが大人が読むに耐えうる作品である。
こんな本を森のコテージなどで日がな一日読んで暮らしてみたいものだ。
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