平成29年1月28日(土)13時〜、東京芸術劇場シアターウエストにて。
 
作/シェイクスピア
翻訳/松岡和子
演出/木村龍之介

キャスト/
河内大和、真以美
穂高、岩崎MARK雄大、阿久津紘平、大津留彬弘
のぐち和美(特別出演、青蛾館)

東谷英人(DULL-COLORED POP) 、阿部博明 (東京新社)、上田一成 石田将士(渋谷ハチ公前)、大対源(渋谷ハチ公前)
小黒雄太(劇団5454)、小田伸泰(俳優座)
加藤慎吾(ポップンマッシュルームチキン野郎) 、川崎誠一郎 (サイアン) 、慈五郎(THE JACABAL’S)
白倉裕二 、鈴木彰紀(さいたまネクスト・シアター) 、鈴木真之介 (PAPALUWA)
鈴木智久(スタジオライフ) 、塚越健一(DULL-COLORED POP)
柘植ノゾム(東京ジャンクZ) 、山口祥平(碗プロダクション)

葛たか喜代

あらすじ/
「マクベス、いずれは王になる男。」魔女のことばは、夫婦の人生を変えた。野心と、謀略と、転落の物語…何がfairで何がfoulか見分けられない世界で、悪におかされた精神が、美しく燃え尽きる。演劇史上最高の密度で凝縮された悲劇の大傑作。

キレイはキタナイ、キタナイはキレイ。
カクシンハンが東京芸術劇場に描くマクベスのセカイが、鮮烈に上演史を塗り替える。
(公式サイトより)

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シェイクスピアの作品でもっとも観る機会が多かったのは『マクベス』だ。いや、機会が多いというより、好んで観ていた、と言うべきかもしれない。ドラマティックで、外連味たっぷりで、登場人物もバラエティに富んでいて、要は好きな作品なのだ。

この日観た『マクベス』は、濃厚でパワフルで、ガッツリお腹いっぱいになる感じのマクベスだった。

白い下着のような上下でダイナミックに動き回る人々。その中で、マクベスの黒とマクベス夫人の赤が鮮やかだ。

森のなかで魔女と邂逅する場面では、客席通路に役者を配して観客もすべて魔女に見立てたり、王宮の晩餐をコンビニでの買い物によって描いたり(←何を言ってるのかわからないと思いますが、ホントこんな感じだったのです)、パイプ椅子や袋菓子で闘ったり、死者がビニール袋に詰めて転がされていたり。
 
とにかく人々が動き回る。それに連れて舞台は躍動し、脈打つように進んでいく。

動的で、遊びや見立てたっぷりの演出で、笑いも多めだったが、同時にヒリヒリするような緊張感に満ちてもいた。
 
後半になってふと気がつくと、舞台上の人々のやり取りが聞こえないかのように、舞台の下を行き来するマクベス夫人。両手をこすりあわせて落ちない血を洗い流そうとしながら、夢の中を彷徨っている。
 
追い詰められていく中でのマクベスの独白は、「血を吐くような」というありふれた言い回しがいかにもふさわしく感じられた。

そして、ダンカンや門番などを演じた塚越さんの台詞の響きの確かさが印象に残った。

観終わって、がっつり充足感を感じる。

多彩なキャストが縦横無尽に駆け回る濃厚な2時間25分を、観客も共に走り抜けたような気がした。

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