平成28年10時9日(日)13:00〜、あうるすぽっとにて。
原作/坪内逍遥
脚本・演出/加納幸和
出演・配役/
片桐市ノ正且元:原川浩明
淀君:加納幸和
奥女中 梶の葉、仮面の甲奴 実ハ佐々成政、十河十兵衛:山下禎啓
渡辺内蔵介糺、乳母 お虎:北沢洋
腰元 錦木、木村長門守重成:美斉津恵友
腰元 花野、正栄尼:秋葉陽司
腰元 椋鳥、豊臣右大臣秀頼:大井靖彦
野呂利珍柏:丸川敬之
渡辺銀之丞:谷山知宏
娘 蜻蛉:二瓶拓也
饗庭の局、織田入道常真:横道毅
石川伊豆守貞政:桂憲一
大野修理亮治長:押田健史
大野入道道軒、片桐主膳正貞隆:磯村智彦
大蔵卿の局:松原綾央
仮面の乙奴 実ハ豊太閤 実ハ関白秀次の亡霊:小林大介
豊太閤 実ハ石田三成、一葉の前:八代進一
あらすじ/
天下分け目の"関ヶ原の戦い"後の大坂城。
豊臣家を滅ぼそうと画策する徳川家康は、
方広寺の鐘銘にあった文字に難癖をつけ、三ヶ条の難題を押し付ける。
淀君をはじめとする豊臣家の人々は憤慨するが、徳川との交渉役を勤める片桐且元は条件を呑むべきと主張。
"交渉に時間をかけ、高齢の家康の死を待つ"が、彼の秘策。
しかし反且元の大野道軒一派は、『且元は内通者だ』との噂を流し、城内にて且元暗殺の計画が持ち上がる……。
脚本・演出/加納幸和
出演・配役/
片桐市ノ正且元:原川浩明
淀君:加納幸和
奥女中 梶の葉、仮面の甲奴 実ハ佐々成政、十河十兵衛:山下禎啓
渡辺内蔵介糺、乳母 お虎:北沢洋
腰元 錦木、木村長門守重成:美斉津恵友
腰元 花野、正栄尼:秋葉陽司
腰元 椋鳥、豊臣右大臣秀頼:大井靖彦
野呂利珍柏:丸川敬之
渡辺銀之丞:谷山知宏
娘 蜻蛉:二瓶拓也
饗庭の局、織田入道常真:横道毅
石川伊豆守貞政:桂憲一
大野修理亮治長:押田健史
大野入道道軒、片桐主膳正貞隆:磯村智彦
大蔵卿の局:松原綾央
仮面の乙奴 実ハ豊太閤 実ハ関白秀次の亡霊:小林大介
豊太閤 実ハ石田三成、一葉の前:八代進一
あらすじ/
天下分け目の"関ヶ原の戦い"後の大坂城。
豊臣家を滅ぼそうと画策する徳川家康は、
方広寺の鐘銘にあった文字に難癖をつけ、三ヶ条の難題を押し付ける。
淀君をはじめとする豊臣家の人々は憤慨するが、徳川との交渉役を勤める片桐且元は条件を呑むべきと主張。
"交渉に時間をかけ、高齢の家康の死を待つ"が、彼の秘策。
しかし反且元の大野道軒一派は、『且元は内通者だ』との噂を流し、城内にて且元暗殺の計画が持ち上がる……。
(公式サイトより)
いやぁ、面白かった。
昨年の『毛皮のマリー』や一昨年の『夢邪想』ような幻想性の強い作品もいいが、こういうガチッと骨太な話もゾワゾワするくらい面白く見せてくれる劇団なんだよな、と改めて思った。
演技も所作も確かな座組である。ほとんど全員が男性の役も女性の役も苦もなく演じてみせる。劇中の舞や殺陣も見事だった。
加えて美術や衣装も豪華過ぎて、小劇場の文脈では語れない。かと言って、いわゆる商業演劇という雰囲気でもない。
じゃあ何と似ているかと言えばそりゃあもちろん歌舞伎で、それを洒脱な遊び心で彩る。なるほどネオ歌舞伎とはよく言ったものだ。
ここに書かれているとおり、複雑な人間関係に加えて、ほとんどのキャストが複数の役を演じている。
原作を読まずに劇場へ行った。
始まって最初の数分で(しまった!)と思った。冒頭、可愛らしい腰元たちが掃除の手を休めて噂ばなしに興じる場面である。
噂ばなしだから色々な人の名前が出る。それも、通称や役職名などが織り混ざってくる。真剣に聞いているのに、彼女たちの立ち位置すらよくわからない。わかったのは、銀之丞が蜻蛉という娘に惚れているということくらいか。
次の場面で登場した白塗りや赤塗りの武張った男たちなんて、役がら以前にどなたが演じているのかさえ声を聞くまでわからない。
さあ困った……と思っていたのは、それでもわずかな間だった。
奴と偽奴の場面を面白おかしく観ているうちに、時代背景や、人間関係、主人公の立場などがわかってくる。
そうなるともうホントに面白い。演出の細かい遊びもあるが、原作の面白さをきちんと具現化してくれているであろうことも伝わってくる。
主役の片桐市ノ正且元を演じる原川浩明さんは、軽やかな役やコミカルな役も達者な方だけれど、今回は辛抱の重みをしっかりと見せる。
奥女中や佐々成政、十河十兵衛など、あらっ、ここにも?と思うくらい多彩に活躍なさっていた山下禎啓さん。荒事も女形も惚れ惚れするくらい見事で、舞台の世界観を支える。
北沢洋さんも、敵役と健気な乳母という振り幅の大きい役を演じ分け、それぞれに見応えがあった。
そういうベテラン勢の作った枠組を、中堅や若手が彩っていく。
凛々しい若武者、可憐な姫君、愚かで一途な若者、調子のいい坊主、情に熱い粗忽者、どの役も輪郭がくっきりと浮かび上がるように感じられた。
そしてもちろん、座長の加納幸和氏が演じる淀君である。ああ、いいものを観た、と思わずにはいられなかった。
歴史の波が大きく揺れ動く中で、そこに生きる人々の想いをドラマティックに描き、長めの上演時間が名残惜しく感じるような、見応えのある舞台だった。
例年以上に多彩な予定があるようで、今度はどんな世界を観せてくださるのか、本当に楽しみだ。
近年、歌舞伎ではほとんど上演されていない作品だそうだが、こういう見応えのある話を取り出して上演してくれるのもこの劇団のありがたいところだ。