勉強会を紙上再現するシリーズ

 

 

「認識疾患と糖尿病」 第15回

 

 

 

ぼくは、営業職の方たちに問いかけます。

 

 

Q:「教育入院」って何でしょう?

 

 

 

営業職の方たちは、答えます。

 

 

「正しい生活習慣、適切な食事内容や食事習慣を身につけてもらい、実践してもらうためにの教育をおこなう入院ですよね」

 

「入院して、何が正しい生活習慣なのか、何が正しい食生活なのかを教育する目的がありますよね」

 

「入院することで、不摂生な普段の生活から隔離して、正しい生活習慣にもどして、血糖値をよくする目的もありますよね」

 

 

ぼくは、答えます。

 

そうですね。そういう目的で、教育入院がおこなわれますよね。

 

ここで、一緒に考えてみてください。「糖尿病は身体(Body)の病気であり、行動制御ができない病気」という大前提を思い出してください。「行動の制御」という観点で、教育入院を観てください。

 

 

A: 行動の制御ができない人に、他人が行動を制御させようとして、うまくいかないとき、しばしば、「力」をつかって他人の行動を制御させます。「力」とは何でしょうか?

 

 

はじめは、「命令・指導」します。教育する側は「上」、命令される側は「下」です。上下関係がうまれます。「命令・指導」がうまくいかないと、別の力を使います。

 

「脅す」ことです。脅して恐怖心をつかって行動を制御します。そして、脅しがうまくいかなかったらどうしましょうか?

 

「暴力」をつかいますか?暴力をつかって行動を制御することはできます。でも、暴力をつかったら犯罪ですよね。そこで、特定の環境・施設内に「隔離(閉じ込めて)して」、行動を制御すること・行動を変えさせようとします。発想は刑務所と一緒ですね。「洗脳」と呼ぶこともありますね。医療では、「教育入院」と呼びます。

 

 

教育入院は、特定の環境・施設に閉じ込めて、行動を変えさせるという視点では、「力」を使って他人の行動をかえようとする医療行為です。けれども、教育入院は、通常短期間であるため、洗脳するまではいたりません。そのため、退院して、通常の環境にもどると、今までの行動にもどってしまいます。自発的に行動を制御する、あるいは、自発的に行動がかわらないと、継続しません。

 

 

注:教育入院で、自発的(自律・自立的)に、行動を自ら変容させることで、行動を制御して、糖尿病を改善・消失させる方たちは、もちろんいらっしゃいます(ただし、全体の10%未満)。

 

 

 

このようなお話をさせてもらうと、営業職の方たちは、「う〜ん」とうなっています。

 

 

そこで、ぼくは、営業職の方たちに、尋ねました。

 

 

それでは、行動を制御させるのに、「力」をつかってもうまくいかないのであれば、また「外をとりいれましょう」。

 

 

Q: 糖尿病は、「身体(Body)の病気であり、行動の制御ができない病気です」という大前提(公理)に外をとりいれると、どうなるでしょうか?

 

 

 

つづく