2011/5月

うつむいて作業をしていると、
ふと桜の花弁が降りてくる。
はじめから決まっていた約束の場所へ吸い寄せられるように、
空気をステップしながら、そこへ向かって軽やかに着地する。



静かである。
すべては「静か」に彩られ侵され、
ただ春の霞に沈む太陽に、すべての存在は見とれている。


時間が止まる。
春の日の終わりは、その十二単を裾長く伸ばしてゆく。
ほんの最後の一瞬まで、繊細な模様は続く。
止め処ない雪解け水
うたた寝をする桜の木
影を落とす鶏小屋
積み重ねられた薪の山と、
それにもたれる古いマサカリ。
地球にもたれ、
「今日」は地面に染み込ませて、
また明日。


きぼうしゅうらく