$きぼうしゅうらく

5月25日

食用菊の苗を隠居さんからもらう。
「1~2本、30センチずつね。
これ、秋に三杯酢にするとおいしくてね」


むこう側には、物干竿に色鮮やかなケツ袋が干されていた。
(ケツ袋とは山菜採りのときに着る着物をリメイクしたもの。背中に山菜を入れる。)
白む朝に唯一いろをもち、
あぁあのときの、チューリップのようだった。
洗い立てらしく、霧と朝日からしぼりだされたようにぐっしょり濡れて、
朝日に照らされ、布から落ちる雫が、一瞬の流星のように煌めき大地へ消えていく。


隠居さんは、苗をピンクと黄色に分けて新聞に包んでいた。
私はそれを畑に植えた。
移住する前、収穫祭で食べた隠居さんの食用菊がおいしくて、
池谷に来たら絶対作りたいと思っていた、食用菊だった。