手を携えてがんばろう!北朝鮮から慰問金 東日本大震災⑧ | 朝鮮問題深掘りすると?

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初老の徳さんが考える朝鮮半島関係報道の歪み、評論家、報道人の勉強不足を叱咤し、ステレオタイプを斬る。

朝鮮新報が24日、朝鮮中央通信24日電によれば北朝鮮の金正日国防委員長が東日本大震災によって被害を受けた在日コリアンのために慰問金として50万ドルを贈ったと伝えています。また朝鮮赤十字社が日本赤十字社を通じて被災者と犠牲者の家族らにお悔やみを伝えるとともに10万ドルの慰問金を贈ったと言います。北朝鮮が日本に災害見舞金を贈るのは、2004年の新潟中越地震以来。1995年の阪神大震災の際も、金総書記が100万ドル、同会が20万ドルの見舞金をそれぞれ贈っています。


現在、日朝関係は政治的に敵対関係にあり、日本政府は北朝鮮に制裁を加えているだけにこの慰問金がどのように送られてくるのか興味あるところですが、それより敵対関係にある中で贈られるこの慰問金は犠牲者の遺族の方々や現在、避難生活を余儀なくされている被災者の皆さんに力と希望を与えてくれる暖かい配慮だと言えるでしょう。


これまで管理人は兵庫・淡路大震災のときに見られた民族差別が繰り返されてはならないと幾度か書いてきましたが、現在のところ東日本大震災と関連して在日外国人、分けても日本に永住する在日コリアンに対する差別(意識的あるいは無意識の)はとくにないように見え、安堵しています。


今回は在日コリアンが地域集中型で暮らしていたわけでもないので、みなさん日本人とともに避難所に非難している人が多く,一緒に避難生活をしているので目立った差別はないようです。それよりも在日コリアンと日本人が助け合いながら避難生活を送っているという暖かい話がたくさん生まれています。


朝鮮新報日本語版によれば,在日朝鮮人総連合会は大災害の直後に中央に東日本大震災緊急対策委員会を設け、全国の在日コリアンに救援金の募金と救援物資の調達を訴えましたが、その支援の手が徐々に現場に届いています。


現在、福島の福島朝鮮小中級学校は市当局の指定避難所として認められており、市当局から救援物資も届けられているようです。もっとも福島朝鮮初中級学校にもうけられた避難所では、在日コリアンからの支援物資などが続々と届いていることなどから、市当局の支援物資をありがたく受け取りながら、再度それを他の避難所に届けてくれと、在日コリアンの仲間達から送られてきた救援物資を上乗せして返していると言います。


総連緊急対策委員会宮城県本部は、在日コリアンが避難生活を送っている東北朝鮮初中級学校の周辺に住む日本住民のために、在日コリアンの仲間達から送られてきた救援物資を使って20日12時から仙台市立八木山中学校の運動場で炊き出しを行いました。


同対策委員会では、東日本大震災発生後、各地の総連組織、在日コリアン同胞から寄せられた救援物資でまかなわれた豚肉ミソ汁やおにぎり、キムチ、牛乳など400食を地域の住民にふるまいました。


朝鮮問題深掘りすると?-八木山中での炊き出し 対策委員会では、ビラ、Eメールなどを利用して今回の炊き出しを事前に地域住民に広く知らせていたおかげで、東北初中のテントを張り、「みんなでがんばろう 八木山住民支援炊き出し」と書かれた横断幕を広げた炊き出し場では、12時前から近所の大勢の日本住民の行列ができたといます。午後1時半には、準備した400人分がすでになくなりました。同対策委員会は、地域住民のための炊き出しを1回きりではなく、今後も続ける予定です。 この様子は20日のTBC(東北放送)が「国籍を超えた支援の輪が広がっている」と題して放映したようです。できれば全国放送で放映して欲しかったです。


他方、在日朝鮮人商工会が運営する「同胞若手飲食業経営者研究会(通称=焼肉塾)」の救援隊が、冷蔵車とワゴンの2台に便乗し、2泊3日の日程で宮城、福島を回り炊き出しを行う予定です。また、救援物資と義援金もともに届けるといいます。救援隊の冷蔵車とワゴンには、牛肉360kg、キムチ40kg、汁100人前の具材、米270kg、飲料水が積まれ、被災地の同胞や避難所で働くメンバーに負担をかけないよう、紙コップや紙皿、割り箸などの食器、鍋や調理道具も全て用意したといいます。


まず23日に岩手県石巻市で最初の炊き出しを行いました(写真)。


朝鮮問題深掘りすると?-焼き肉塾」の炊き出し 同緊急対策委員会宮城県本部では、この「焼き肉塾」が提供してくれた食材をもって24日にも仙台市若林区蒲町中学で焼き肉600食分を供給したと言います。それでなくても被災を受けさらに、冬の寒さにさらされている被災者にとって、焼き肉の炊き出しはうれしい限りでしょう。


総連緊急対策委員会茨城県本部では宿泊型高齢者施設である「グループ・ホーム東海荘日だまり」に,震災三日目の13日に12㍑の水を七筒、15日には16筒合わせて276㍑を伝達しています。同高齢者施設では震災直後から飲料水が切迫した問題になっていましたが、当時行政当局から与えられる飲料水は3,4時間順番を待ってもわずか5~10㍑に過ぎなかったといい、かといって高齢者を他に移すこともできず困っていたのですが、この飲料水の提供を受けることによって入所者の食事を何とかまかなうことができたと言います。


かと言えば日本人も在日コリアンの救援活動を支援しています。「焼肉塾」メンバーが今回、肉の搬入を依頼した日本の精肉業者からは、独自に豚、鶏肉、ウィンナー計120kg、そして紙おむつやマスク、除菌スプレーなどの日用品が救援物資として持ち寄ったそうです。業者は、さらに冷蔵車を無償で貸し出してくれたといいます。さらに、米の搬入を依頼した酒屋からは、水のペットボトル(2㍑)約50本が寄付されました。この日本人業者は「現地まで行けずに申し訳ない。少しでも被災した方々のたしになれば」と涙ながらに話したといいます。

また21日には神戸国際支援機構の主幹であり神戸バイブルハウスの常任理事の岩村義雄牧師の一行が、岩手県仙台市内の東北朝鮮初中級学校に非難している被災在日コリアンへの救援物資を手渡しています。岩村牧師他20代の青年4人がインスタント食品などの食料、衣料、生理用品、自転車、燃料などを乗せて兵庫から車で駆けつけたのです。在日コリアンにとって力強い励ましになったでしょう。


福島原発の危機はいよいよ深刻です。今後、いっそう深刻な危険と試練に直面する可能性があります。こうしたなか、民族を越えた,政治的信条を越えた人道的な助け合いがどんどん行われることを切に願いたいです。在日コリアンは日本に永住し,同じく税金を払い、日本人従業員とともに企業活動を行い日本の経済発展に貢献してきました。差別なく大震災も経験しています。ともに手を携えて生きている人々です。様々な政治的問題はありますが、それは対決や対立ではなく、ともに手を携え会いながら解決していけるものだと信じています。今回の東日本大震災の経験が歴史の記憶に深く刻み込まれることを願うのみです。