注目される朝米将星級軍事会談予備接触 | 朝鮮問題深掘りすると?

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初老の徳さんが考える朝鮮半島関係報道の歪み、評論家、報道人の勉強不足を叱咤し、ステレオタイプを斬る。

米軍の原子力空母強襲団が参加する朝鮮西海での米韓合同軍事演習が近づいています。そこで関心は朝鮮西海に向いていますが、より強い関心を向けるべき動きが続いています。「天安艦」事件の真相究明のために朝鮮人民軍が要求した朝米将星級軍事会談のための大佐級予備接触がそれです。これについてはすでに一度書きましたが、その第4回接触が10日、板門店でありました。まずそれについてお知らせしようと思います。

http://ameblo.jp/khbong/entry-10592894561.html



米軍側は具体的なことを発表していないみたいなので、北朝鮮側の発表にもとづいて描くほかないのですが、ほぼ間違いないでしょう。


今回の接触で北朝鮮側は前3回に渡る実務接触で見せた米軍側の不誠実な言動について言及し、相変わらず「共同評価団」という性格も権限も、目的もはっきりしないあいまいな形で事を収めようとしているアメリカの得意技であるダブル・スタンダードを非難しながら、「天安艦」事件の最後まで明らかにすると言うのが朝鮮人民ぐんと国民のゆるぎない意思であるとし、その真相調査のために国防委員会の現地調査に関する提案に肯定的に応じるべきだと強調しています。



そして双方の主張を包括した新たな提案を出しました。それは朝米将官級軍事会談の早期開催のために、朝鮮人民軍と米軍の共同検閲団を構成し運営すると言うものです。



つまり①朝鮮人民軍と米軍がそれぞれ20~30人が出て共同検閲団を構成し、②検閲機関は3~5日、または必要に応じて期間を延長することもできる、③検閲対象は「天安艦」沈没事件の発生場所と、引き上げられた艦船、該当する証人および物証と対象に限る、④共同検閲団は現場検証、物証分析、証言の聴衆、資料分析など可能な方法を最大限利用する、⑤米軍側は朝鮮人民軍が要求するすべての資料を提供し、陸路通行と身辺安全などの便宜を図る、と言うものです。



そしてこの『画期的な提案」を「(米軍側が)受け入れるのかどうかによって、『天安艦』事件の解明と関連した米軍側の最終的立場を確認することになるだろう」と強調しています。



よく見ると北朝鮮側の提案に重要な変化が見られます。第1に、これまでの国防委員会の「検閲団派遣」と言う要求を取り下げ、朝米共同で共同検閲団を構成しようと言う提案です。米軍の立場を十分に考慮した提案だと言えるでしょう。それに調査結果の客観性をより保てると言う点でも評価される提案です。



第2に、『検閲団が要求するすべての関連資料と対象、物証などを提供すべき」だと要求してきたのが、「事件発生場所と引き上げられた艦船、該当する証人、及び物証と対象」と言う具合に調査対象と範囲を明確に限定していると言う点です。米軍がより受け入れられやすくしたと見てよいでしょう。ここまで米軍の立場を考慮した上で、「米軍の最終的立場を確認」すると言っているのです。



では「米軍の立場を確認」した後、北朝鮮はどういう行動を取ると予想することができるでしょうか。まず米軍がこの提案を受け入れた場合です。その場合北朝鮮は即刻、将星級会談に移行することを主張し、その会談で『天安艦』事件の最終的な平和的解決をはかり、それを朝米間の軍事敵対関係の清算へと進めていこうとするでしょう。



しかしこの提案が最終的に拒否されたときはどうするでしょうか。ここで管理人は「アメリカの挑発は我われの定めた禁止線(デッド・ライン)を超えるものであり、こうした条件下で我われもアメリカが引いたデッド・ラインにこだわる必要は無くなった」(24日、外務省代弁人)「核抑止力をいっそう多角的に強化し、強力な物理的措置を取ることで対応する」(同)「核抑止力に基づいた我われ式の報復聖戦を開始することになるだろう」(24日、国防委員会代弁人声明)といった北朝鮮の姿勢を思い起こします。

http://ameblo.jp/khbong/entry-10604641778.html



つまりデッド・ラインを超えたアメリカに対し、北朝鮮は本格的に「核抑止力に基づいた我われ式の報復聖戦を開始」するという声明を実行する動きを可視化させてくるのではないだろうかと思うのです。その意味で管理人は朝米将星級軍事会談は重要な判断材料になると思うわけです。そして現在行われているのは、その朝米将星級会談を準備する大佐級予備接触なのです。なのでこの予備接触に注目しているわけです。



しかしいまのところこの予備接触は米軍側の消極的な姿勢のために思わしくありません。アメリカは西海岸での米韓合同軍事演習を強行する一方で、この接触を維持しようとしているようですが、北朝鮮がこうしたアメリカのダブル・スタンダードを黙って見ていることはないでしょう。何らかの措置があるはずです。それが何かについては容易に想像することが出来ると思います。