西海交戦 韓国軍の発表に疑惑あり(下) | 朝鮮問題深掘りすると?

朝鮮問題深掘りすると?

初老の徳さんが考える朝鮮半島関係報道の歪み、評論家、報道人の勉強不足を叱咤し、ステレオタイプを斬る。

以上、初歩的な疑問をあげましたが、昨日の管理人の記事を通じて、11月10日 18:45MSNサンケイの「北の意図的挑発か? 南北海軍銃撃戦 士気高まった韓国軍」と題した【ソウル=黒田勝弘】の記事のいい加減さがはっきりしたと思います。


管理人が紹介した「韓経ドット・コム」の記事は10日14時の入力となっていますから、黒田記者が探す気になれば探せたはずです。この記事に出た住民の発言を読めば、少しは「読ませる」記事になったのではないでしょうか?まったく取材なしの国防部発表オンリーの記事だと言うことがわかります。かつての「大本営発表」に翻弄された日本マスコミの姿がここにも見られます。楽な作業ですね。


もう一度整理してみます。

①北朝鮮側は韓国側が「警告射撃」ではなく最初から「直接照準射撃」「破壊射撃」を行ったと言っていますが、住民は「「急に雷が落ちたような音」を聞いたと言っていますから、北側の言うように韓国側の大口径砲による攻撃から始まったと見たほうが正解でしょう。

②住民が砲声を聞いた時刻と北朝鮮軍部が発表した韓国軍の攻撃開始時間は一致しており、従って3度に渡って警告をしたと言う韓国国防部の発表をそのまま鵜呑みにするわけには行きません。


③北朝鮮警備艇が小口径砲をわずか50発しか撃っていないことから、北朝鮮には最初から攻撃をする意思はなかったと思えます。少なくとも交戦の規模を最小限にしようとの配慮があったようです。


④20分もあれば北朝鮮の別の艦艇が応援に出ることもできたはずですが、それをしませんでした。砲声が途絶えてすぐに現場を目撃した住民によれば北の艦船が3隻、北の領域に集結していたにもかかわらずにです。


⑤当時、周辺の海には漁船はなく、北側の警備艇と警備艇が追っていた不明船だけがレーダーに映っており、すづに事態の状況が把握できたはずです。


⑥北の警備艇がまだ「越線」するかどうかもわからない時点で、すぐに戦闘体制に入ったのは解せません。しかも


⑦その戦闘態勢は一隻の北朝鮮警備艇に対し2000トンクラスの護衛艦を含む4隻もの艦船を動員しているのですから、始めから攻撃する気でいたと考えるほかありません。そして


⑧その攻撃はまさに撃沈を目指した攻撃規模であることから韓国側が戦闘の拡大を望んでいたようでもあります。しかし


⑨北朝鮮警備艇の迅速な動きと正確な射撃によって韓国警備艇は被害を受け、北朝鮮警備艇は撤収したので、交戦拡大の狙いがはずれ、結局韓国国防部のあのような疑惑だらけの発表になったのではないでしょうか。


以上を考慮した場合、韓国国防部の発表は鵜呑みにできるものではなく、「(南側の)計画的謀略行為」という北朝鮮軍部の通知文での指摘は当たっているようです。


だいたい米朝会談がいよいよ行われるときに、北朝鮮が緊張を激化させアメリカの神経を逆なですることで得るものはありません。今緊張が激化して得するのは韓国の李明博政権でしょう。あれほど米朝会談を嫌っていたのであり、朝米会談の結果に不安を持っているのは事実ですから。


それにしても北朝鮮側の姿勢には余裕が見られます。今回の軍部の通知文にしても「南側右翼保守勢力と軍部好戦集団の計画的謀略行為」と言っており、直接李明博大統領や政権そのものに向けたものではありません。


李明博大統領にまだ選択の余地を残してあげているのでしょう。それだけ懐が深いと言うことでしょうか。今回の西海交戦を「北の意図的挑発」と見るのは無理でしょう。「北の意図的挑発」というスタンスで報道した日本のマスメディアはやはりマスゴミと言われても仕方ないようです。(了)

お知らせ:

明日から9日間日本を離れることになり、ブログを休むことにしました。毎回訪れてくれる皆さんには真に申し訳なく思いますが、ご理解していただけると思います。毎日休まず書いてきたのでこの機会にせいぜい休養してきます。