日本で最初、北朝鮮の映画10作品一挙公開 | 朝鮮問題深掘りすると?

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初老の徳さんが考える朝鮮半島関係報道の歪み、評論家、報道人の勉強不足を叱咤し、ステレオタイプを斬る。

横浜に住む友人からとても良い情報が入りました。

なんと北朝鮮映画が一挙10本も上映されるということです。

中にはカンヌ映画祭に出品された映画も含まれています。

上映するのは横浜黄金町のジャック&ベティという映画館。日本では北朝鮮の映画を見る機会はまったくなく、まさに未知の世界ですが、映画フアンとしては、この快挙を賞賛したいところです。

実はジャック&ベティは7月18日から31日までの2週間を「北朝鮮映画週間」とし、一挙に10作品を上映するということです。早速映画館とコンタクトを取り、話を聞かせてもらいました。

やはり気になるのは、今の殺伐とした反北朝鮮情緒の中で、何故このようなことを考えついたのかと言うことだと思いますが、答えは極めてシンプルなものでした。「映画関係者として未知の北朝鮮映画に興味を持つのは当たり前」だというのです。そしてそれは映画ファンも同じだろうというのです。文化は文化、変に政治を絡めてはその文化の下で生きている人々のことを理解することはできないということでしょう。ただ心配は心無い右翼の人々が騒がないかと言うことでした。そんなことがあってはならないと思います。対立より理解です。


上映される作品は、フランスの配給会社が買い付け、カンヌ映画祭にも出品された「ある女学生の日記」を始め北朝鮮の映画を代表する作品から人々の日常生活を描いた作品、戦争スペクタル、アニメなど多様です。


とくに「ある女学生の日記」は60年代後半から70年代の北朝鮮映画隆盛期の作品群とは一線を画する、北朝鮮映画の「新機軸」として世に送り出した作品といわれますが、まさに北朝鮮の映画史において大きな転機となる映画だということでしょう。

北朝鮮の現代史は、日本の植民地からの解放を目指して、抗日パルチザン闘争をたたかいぬいた世代である「革命第1世代」、朝鮮戦争を戦った「革命第2世代」、戦後の経済復興と初期社会主義経済建設を築きあげた「革命第3世代」、いわゆる「苦難の行軍」といわれる1990年代中盤の苦難を経験し、克服してきた「革命第4世代」と受け継がれてきましたが、「ある女学生の日記」はこの「革命第4世代」の生活と、彼(彼女)らが革命、社会、民族、国家、家族をどのように受け入れているかを、心情や軽薄さすらも描き出しなが語っている逸作といわれ、現在の北朝鮮の人々を理解するうえでとても参考になると思われます。

紹介のパンフには次のように書かれています。

「党関係者や労働現場の責任者等のオルガナイザーの出てこない映画。勧善懲悪の押し売りもなく、無理矢理なドラマチックさを演出する訳でもない。淡々と描かれる女子学生の日常が、だからこそ瑞々しく、逆に心に訴えかけてくる。」

期待したいです。


他にも北朝鮮を代表する一大革命叙事詩的作品である「花を売る乙女」、古典小説「洪吉童伝」を題材にした北朝鮮最初のアクション映画「洪吉童」、やはり朝鮮の代表的古典文学を映像化した「春香伝」、朝鮮戦争時、マッカーサーの正規の賭博といわれた仁川上陸作戦を「3日間遅延させよ」と言う命令を受け死闘を繰り広げ全員英雄的に戦死する壮絶な戦争ドラマ「月尾島」、フランスとの合作アニメ「好童王子と楽浪王女」、現代の北朝鮮の人々の日常生活を描いた「大同江のほとりで」と「遊園地の一日」、解放後土地改革によって農地を無償で与えられた農民らが、感謝の気持ちを「愛国米献納運動」(キム・イルソン総合大学はこの運動で得た資金を元手に建てられた)という形で表したが、その先頭に立った実在した農民キム・ジェウォンを描いた「農民英雄」、そして北朝鮮が世界に誇る一大総合芸術といえる、大マスゲームを記録した「アリラン祭」などです。


ロクに北朝鮮を知らない「北朝鮮問題専門家」やステロタイプな見方しか出来ない専門家らは、北朝鮮の映画は残らずプロパガンダだと切って捨てていますが、はしてそうなのかは、この映画週間ではっきりすることでしょう。

また北朝鮮での娯楽映画のあり方なども良くわかるだろうと思っています。管理人も今からわくわくしています。絶対に見に行くつもりです。映画の他にも北朝鮮を理解するうえでためになる講演もあると言います。関心のある方、一緒に見ませんか?


参考にジャック&ベティのホームページのアドレスを記載しておきます。映画の上映スケジュールや料金などが書かれています。作品の簡単な紹介も有りますよ。


http://www.jackandbetty.net/


ホームページに入ったら右上部にニュース欄が有りますので、そこから入ってください。