「偽造」アメリカ国債、実は日本国所有の物? | 朝鮮問題深掘りすると?

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初老の徳さんが考える朝鮮半島関係報道の歪み、評論家、報道人の勉強不足を叱咤し、ステレオタイプを斬る。

6月始め、天文学的な額面のアメリカ国債を、二重底のカバンに隠しスイスに持ち込もうとした二人が、国境近くのイタリア警察に逮捕された事件があった。この国債は北朝鮮によって偽造されたものだと報道されたが、すぐに持ち込んだ二人が日本の旅券を所持していたということが判り、北朝鮮の名は消えた。その後、日本では何の追跡取材もないまま、事件は忘れられようとしている。
額面5億ドルの無記名債券249枚と10億ドルの債券10枚、計1340億ドルというとてつもない額の米国債が、不正に持ち込まれようとした特大犯罪であり、アメリカ財務省は即刻偽造債券だと発表しているにも拘らずにだ。どう考えても納得のいかない話なので色々と調べてみた所、大変な疑惑が浮上してきた。マスコミが騒がないので当ブログで扱うことにした。


まず、1340億ドルものアメリカ財務省債券を、当局に何の申告もしないで国境を越えたアジア人2人が、警察の調査を受けただけで、逮捕もされず釈放されたという事実。つぎに逮捕後すぐに釈放された二人の身元や行方について、関係当局がまったく沈黙している事実。そして高額面であるのでアメリカ財務省を通じた慎重な確認作業が当然予想されるのに、わざわざすぐにばれるような偽物を作るようなバカがいるかという疑問。謀略の匂いをかぎつけるのは自然であろう。


ここに事態を理解する鍵となる報道がいくつかある。まず26日付けのニューヨーク・タイムズだ。同紙は「イタリア当局がこの債権が偽造されたということを、公式に発表するのを拒否したことから、陰謀論はいっそう活気を帯びてきた」と書いた。
同紙の報道によると問題のアジア人は日本政府が発行した旅券を所持しており、イタリア・ミラノの日本領事館関係者は「彼らは調査は受けたが、逮捕されたのではなかった」と明かしている。この関係者は「二人は有効な日本旅券を所持していた」としながらも、彼らの身元について明かすのを拒否し、「彼らが現在何処にいるのか知らない」と答えている。
だが、2人が日本人であるなら、不正に12兆円もの米国債券を国外に持ち出したことだけでも犯罪は成立し、したがって領事館関係者が二人の身元を隠のも、行方を知らないというのもおかしな話だ。


さらにアメリカ財務省の言動も怪しい。財務省は肉眼で見ても精巧でない、発行されたことのない高額の額面だという二つの理由で偽造債券だと決め付けたが、これに対しても反論が出ている。まず偽造されたという債券が公式の場で公開されていない。次に発行されたことがないという財務省の主張についても疑惑が生まれている。財務省によると額面1万ドルが財務省が公式に発行している最高額の債券で、1986年以後は電子債券のみを発行しているという。紙に印刷され発行された無記名債券のうち、今だ満期が来ていない債牽は1億5000万ドルに過ぎない。したがって額面5億ドルの財務省債券が本物であるはずはないというのだ。


だが、金融市場不公正行為監視サイト「マーケッティーカー」は「このくらいの高額な債権は、本物かどうかという確認作業をしない限り、一枚も現金に変えることは出来ない」としながら「なんのために高い金を使って、使いようのない偽造債権を作る必要があるのか」と疑問を提起する。

http://market-ticker.denninger.net/archives/1119-The-Saga-Of-The-Bearer-Bonds.html


このサイトを運営するカール・デニガ-氏は「財務省が発行した高額の無記名債券はありえないとするならば、財務省が全ての債権を、法が規定している手続きを遵守しながら発行してきたと、信じなければならないのか」と逆に疑問を投げかける。そして「財務省が発行する無記名債券は1982年以後、政府機関や居住民には発行されなかったが、1985年、米国以外の居住民に対しては例外的に発行された。当時アメリカはとてつもない財政赤字に苦しんでいたときだ。財務省が去る10年あるいは20年間、知られて欲しくない赤字を埋めるために人知れず債券を発行してきたとすれば、共犯者はその規模から見て国家しか考えられず、それも中国か日本だけが可能である。
債権を運搬していたのは日本国籍人であった。問題の債券が本物であったら超ど級の波乱をもたらすであろう。問題の債券の規模は日本が保有するアメリカ国債6860億ドルの20%に当たる。まずイタリアは密輸品に対する罰金として3分の1を没収することが出来る。もちろんイタリア、またはアメリカがこの債券を偽者だと宣言し焼却してしまう可能性もあるが、これが本物であったならそのような処理方法は一層の問題をもたらす。」
また彼は「歴代の米政府で財務省が他国に国債を帳簿外に発行したとすれば、とてつもない不法行為であり、関係者らは重刑を免れまい」と警告している。


「ブルンバーグ通信」のアジア経済対等コラムニストのウィリアム・ペセッッは、この債権が本物である場合、誰かがアメリカ国債を大量に売却しようとしたことになるので、ドルとアメリカ債権に対する信頼が根こそぎ揺れる事態をもたらしうる衝撃的事件だと言う。
彼は「アメリカ、中国、日本以外にこの規模の債権を動かせる国はない」としながら、「財務省の明白な釈明がない中で、陰謀論が拡散している」とし、「回答よりもいっそう多い疑問がついて回るこの事件について、より多くの言論が注目しないのはおかしい」と指摘している。
「ターナー・ラジオ」など一部の独立媒体らは、問題の債権が偽物だとのアメリカ政府の主張は、他国がアメリカの債権を投機筋に売り払うような事態が起きないようにするために作り上げた話であり、イタリア警察に摘発されたアジア人2人は、自分たちが日本財務省の職員であると明かしたといった断定的な報道も行っている。(http://www.turnerradionetwork.com/index.php?option=com_content&view=article&id=59:employees-of-japan-finance-ministry-arrested-in-italy-trying-tosmuggle-134-billion-in-us-treasuries-in-suitcases&catid=1:latest-news&Itemid=50


「ターナーラジオ」は「日本がアメリカ政府の負債償還能力に疑問を持ち、1340億ドルに達するアメリカ財務省の債券を、匿名性の保たれるスイスで捨て値で売りさばこうとした」と主張している。さらに「日本政府はアメリカに隠れて売ろうとしたが発覚したのであり、この事件が発覚した途端に日本、イタリア、アメリカ当局は、他国もアメリカ国債を投機的に売りさばこうとするような事態が起きないように、真相について口裏を合わせて嘘をつく以外になかった」とまで言いきっている。


つまり整理すると、一番濃厚な疑惑をもたれているのは、日本の犯行だということだ。まず債券は本物であり、その債券は日本財務省職員を名乗る、2人の日本人によってスイスに持ち込まれようとした。だが、2人はスイスとの国境近くでイタリア警察に逮捕された。2人が日本人であることは日本領事館関係者によって確認されたが、2人の身元は明かされていない。この高額の債券をスイスに持ち込もうとしたのは、アメリカの負債償還能力に疑問を持った日本政府が、アメリカに知られないように秘密裏に捨て値で売りさばこうとしたのであったが、イタリア当局に摘発された。だが、この事件はドルや米国債の信用を根底から覆すような事件に拡大しうるので日本、アメリカ、イタリア共に口裏を合わせている、ということになろう。


最低限確かなことは、債権を持ち込んだのは2人の日本国籍所有者であり、したがって彼らは日本当局に申告しないまま、一兆数千億円にのぼるの米国債を、不法に国外に持ち出そうとしたのであるから、当然罪を犯したことになる。日本としては2人を逮捕しその身元を明らかにする義務がある。債券が本物であるならば、それは国民の血税で買ったものであるが、今の時点でイタリアに3分の1、つまり4兆円近くがタダで取られるという失態を犯したのであるから、自民党政府はその責任を取るべきだろう。

ただ、日本のマスメディアが、何故この問題を追跡取材しないのか不思議でならない。大変な国際事件であり、もし日本政府(財務省)が絡んでいるとしたら、それこそ政権が吹き飛んでも良いくらいのメガトン級の内容であるにもかかわらずだ。お隣、北朝鮮の後継者について云々している場合ではないと思うが。