マスコミが報じない中国の認識(1) | 朝鮮問題深掘りすると?

朝鮮問題深掘りすると?

初老の徳さんが考える朝鮮半島関係報道の歪み、評論家、報道人の勉強不足を叱咤し、ステレオタイプを斬る。

6月6日、北京大学で今後の北朝鮮-中国関係と関連した中国最高の学者、北朝鮮問題専門家らによる非公開討論会が行われた。北朝鮮の第2次核実験後、朝鮮半島を取り巻く情勢は極めて悪化し、今後の東北アジアの平和と安定にどのように作用するかについて様々な意見が出てているが、何よりも気になるのは中国の態度であろう。日本のマスコミにもときどき流れるが、そのほとんどは北朝鮮に批判的な論調だ。だが、用心しなければならないのは、日本のマスコミに流れている批判的論調もやはり、中国の一部にある意見に過ぎないということだ。未だに中国の姿勢は確定しておらず流動的である。


そんななかで行われた北京大学での非公開討論会は、中国社会科学院と北京大学など中国最高の研究機関と主要大學の代表的な学者、専門家らが中国の姿勢を検討し一定の共通認識を築き上げている。安保理決議に対する中国の姿勢をはじめ、今後の中国-北朝鮮関係を客観的、科学的に展望する上で、北京大学での非公開討論会の内容は極めて参考になると思われる。全体討論と対話の内容を整理し、内部閲覧資料としてまとめた文書の一部が漏れてきたので、ここで紹介したい。一度で紹介するには分量が多いので何回かに分けて紹介することになるという点をお断りしておく。なお内容はこれを伝えてきたチョン・ギヨル教授の文書に依拠している。(http://www.tongilnews.com/news/articleView.html?idxno=85092


まず、始めに全体的な流れについて一言いっておきたい。注目されるのは非公開討論の内容が、アメリカや日本、韓国の保守勢力の期待とは違って、最近になって中国内部の深層で北朝鮮の核開発と関連した混乱した多用な異見が大きく整理されつつあり、方向性としては米・韓・日の既得権勢力と言論媒体の「過去の北朝鮮・中国関係は終わった」といったような展望とは大きく違っているということだ。


討論参加者たちはまず、北朝鮮の核開発と関連して中国内部に生まれた多様な意見が大きく「6派」に分類されると言う点で合意を見ている。
その「6派」を簡単に整理すれば次のようになる。
①西化派-アメリカの立場とほとんど一致する。「中朝友好条約」を破棄し安保理決議を実践しなければならないという立場

②傍観派-北朝鮮が自ら折れるまで傍観し、中国が必要以上に介入すべきではないという立場

③6者会談堅持派―北朝鮮が6者会談に復帰することを要求し、この枠内で「朝鮮半島非核化」を実現しようという主張で、現在世論の主流を成している立場

④冷静処理派-過敏に反応する必要はなく、今後軍備競争にまで発展していくことはないという立場

⑤朝鮮支持派―「北の核問題」の根源的責任はアメリカにあり、当然に中国は北朝鮮を支持しなければならないという立場。新たな「抗米援朝」をはじめるべきだとまで主張する、中国の愛国的知識人と民衆の主流を成している立場だ、

⑥全面的制裁派-これを機会に北朝鮮に対する支援方式を中断、全面的規制を断行し、中国の国家利益を実現すべきだと主張する一部の右翼民族主義的立場。


ところで非公開討論に参加した学者・専門からは「北朝鮮の核実験は主要にはアメリカの圧迫によってもたらしたものであり、北朝鮮に対する国際的圧力に反抗し、自国の安全と祖国防衛のために選択せざるを得なかった決定であった」という点で一致を見ている。内部閲覧資料の中から一部紹介する。


「公正に全ての状況を分析すれば、朝鮮の核実験のいったい何が間違っていると言うのか。(北朝鮮の核実験成功は)ひいては毛沢東思想の勝利だと言っても良い。1964年の中国と今日の朝鮮の状況はあまりにも似ている。当時、西欧とアメリカが中国に攻勢をかけたとき、中国はいかにもすぐにでもつぶれるような国家だといわれた」
「われわれは深思熟考しなければならず、気をしっかりと持たねばならない。この朝鮮の核開発が中国に如何なる不利益を与えるかいう論議では、参加者たちは朝鮮の核開発が中国に実際上、いかなる不利益をもたらさないという点で基本的に一致している。中国は返って朝鮮と良い関係をいっそう強めなければならない。それは中国により多くの利益となって返ってくる」
「大部分の学者は朝鮮譴責(けんせき=警告よりも弱い戒め)に賛成しない。ある学者は時には表面上の譴責が要求されることもあるが、それさえも西欧言論媒体にとって耳障りの良い話に止めるべきである。朝鮮がいかに苦しくとも彼らが今後、政策を西欧についていく方向に変えることは決してないであろう。討論会参加者らは次の見解で一致した。朝鮮に実質的な支持を送らなければならない。良好な兄弟関係をいっそう強化しなければならない。朝鮮を孤立させ制裁を加えるようなことは絶対あってはならない」