第五場

 

ジェローム、ヴィオレット

 

(ジェローム) ひどいもんだ。

 

(ヴィオレット) あなたにはほんとに苦労するわ。

 

(ジェローム) きみは充分知ってるだろう、あいつを見るのは我慢ならないということを。きみが、ぼくがあいつを見ないでいいようにしてくれないのは、ぼくには理解できない。

 

(ヴィオレット) 仮にでも、あなたと会うことが彼にとって嬉しいとお思い?

 

(ジェローム) そんなこと、ぼくにはどうでもいい!

 

(ヴィオレット) つまり、あなたは思い遣りが全然無いと思うのよ。

 

(ジェローム) そうかも知れない。

 

(ヴィオレット) かなり重要なことよ。

 

(ジェローム) あれは全く軽蔑すべき御仁だとぼくが見做すのを妨げる何ものもない。

 

(ヴィオレット) ほんとに、どんな権利でそう思うのかしら。