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フランスの知性者は、誠実な者ならすべて、そういう明晰で大いなる迷いの道を生涯かけて歩み探求している、と思う。迷いそのものが、緻密で重厚な「思想」になっている。 もはや、東洋思想などで概念的に括られる〈迷い〉などとは、全然まったく違う境位の思索行為となっている。高田さんの師であるロマン・ロランが、その権化であった。

 

 


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世のなかには、「迷いが大きいほど大物」という言葉がある。ここで「迷い」とは、真っ正直で純粋なために、人間の存在する状況の二律背反がよくわかることであり、実際に迷いではなく悟りに近い明晰判明さなのである。その知性と誠実と感覚と忠実のゆえに選択に迷うことであって、蒙昧で優柔不断だから迷うのや、融通無碍だから迷いもしないような、小物の次元ではないのである。