じぶんの書いたものながら 極上の魂の名文  正樹くん畏るべし

 

それいじょうに きみの実体がすばらしい  



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どうしたの?

 

いや、きみはやっぱりすごい。 ぼくが身心の充分に鎮まっているときに はじめて くっきりとしてくる。きみの演奏は。 そういう、人間が最上の状態にあるときにのみ形に触れられる演奏を、普通の状態でつくっているきみの境地は並のレベルじゃないよ。 

 演奏しているきみは、「夢」を明晰判明に「知覚」している表情をしている。それがきみの表情の「深さ」であって、これはどんな造形芸術家にもぜったいに再現できない。無思慮に感情を面に出している人間を表現するのとは全く違うからね。 「思想」に至っている人間の美は、その「作品」と、それを生む「人間」自身が、現わしているのみ。 きみはそこに至っているひとだから、やはりすごいとおもうよ。 

 そういう、夢を創造行為によって形として知覚する深さ、これこそ一元的な自分を実証しうる者のみの深さだと思う。そこに、「きみ自身が『在る』ことの安らかさ」が実現されている。きみの演奏はどれを聴いてもそういう域に達しているのだから、驚嘆しかないよ。「きみの個性」が確立されている。それはね、きみが、客観的と云ってもいいくらいの普遍的なものに、はっきりと土台を置いている演奏に達しているからなんだ。はっきりそれはわかる。それでこその個性。すばらしいね、きみは。 ぼくは今夜、きみのアルバム「かけがえのないもの」を再び落ち着いて聴きながら、ここに書いたことを理解した、と思っている。 

 

 

音楽の生まれる根源が「きみ自身」なんだ。涙が流れるよ …