世間への反抗などと、よく云うが、世間とは人間であり、個々の人格、その力なのだ。世間への反抗は、個々の人格のエネルギーとの闘いである。だから、これだけ、反抗は熾烈なのだ。

 

 

ほんとうの「人間」である者ほど、つまり、人間を概念化できない者ほど、「自分」を護るための闘いは、酷いほど熾烈であり、具体的である。

 

 

人間を愛する前に、人間との闘いがあり、むしろこれこそ主要な問題であると言えるほどである。 愛することはそのなかでの例外である。   闘うべき人間達との関係を、意識操作によって逆転できるほど、自分に誠実であろうとすることは甘くはない。 

 

 

例外である愛によって、ほかの人間を忘れることができる。 この愛こそ主要な仕事である。