彼〔ゲーテ〕は、イデアに達するためには、精神を現実の中に沈潜させなければならなかった。イデアと知覚の交互作用が彼にとっての精神的な呼吸であった。「時間が振り子運動によって等分に刻まれるように、人倫的、および学問的な世界は、イデアと経験の交互作用によって等分に支配されている」(『ゲーテ自然科学論集』第五巻430頁)。》

 

「ゲーテの世界観」 シュタイナー、53頁

 

 

 

 

 傍線のシュタイナーのゲーテ理解は、「形が運動のなかに埋もれているから形を取り出さなければならない。」 「知覚することに努めなければならない。」 とするアランの美学的思索の態度と、それとともに、高田博厚の「触知しうるイデー」をもとめての造形実践とに、普遍的に合致する。 

 

 

 

客体の本質に真に出会い、それを触知しうるような作品を創造するためには、その客体の本質に照応するものを自らの根源から生み出しうるようになるしかない。