彼の言葉を読むとすっきりする。生きればよかったのに。日本はこういう人間を必要としていたのだ。 彼のような孤独が必要だ。
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テーマ:自分に向って
原口統三(1927-1946)
「 君たちは、信仰を持たないと公言して誇らしい顔をするが、それは少しも自慢すべきことではない。
僕は信仰を尊敬する。何故なら、信仰はお喋りをしないからだ。
*
僕は黙っている海が好きだ。波の穏やかな日の海が好きだ。
けれども僕が、語らない海を愛するのは、それがすばらしい語り手であることを知っているからだ。」
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「人間によって生み出されたもの〔ここでは「契約」〕が人間を支配する。
現代人は己惚れた奴隷である。」
「真の明晰さ〔原文では「晰」は別字。傍線は傍点〕は清いものである。それは利己主義者のように「所有」を受け入れはしない。」
「精神の世界にも唯物論は住んでいるのだ。すなわち、ありとあらゆる表現は、精神界における物質である。言語は物質である。」
「僕はいつでも、だれにも知られぬ孤独の中にのみ誠実さを見いだすのだ。」
「 僕の代数の公理は「純潔」の一語であった。そして、この公理に違うものはすべて誤謬にすぎなかった。」
「思想の価値は、表現方法を舞台とする巧妙なかけ引きと、騙し合いと、を経た後に、一つの契約として登場する。
今日、思索を政治だと考えられぬ者は愚の骨頂である。そしてまた、政治家であることに誇りを感ずる思想家も阿呆である。
僕は政治家ではない。僕は〔そういう〕価値そのものを抹殺する。」
「 まことの個性は、沈黙したものである。それは疑いなく僕の中に住んでいる。僕にとって「個性の奪還」という言葉ほど笑止なものはない。人々は、個性とは、口をきくものだと思っているのだ。」197
「 僕はランボオのあの、表現への容赦ない不信と、烈しい意欲とを含んだ、言葉を思い起こす。
――やがて、宇宙的言語の時代が来るであろう。それは、音・色・匂い、すべての陰影を要約して魂へと通ずるであろう、と。」194
「道標がなければ人々は動けない。・・・ われわれはどんな道標をも無視することができる。――純潔の名において。」 156
「悪魔は、傑れた歴史家であり、社会学者である。
それは、いつでも「一般論」の網を張りめぐらして、僕の飛翔を妨げようとする。僕には、こいつを追っぱらうには、一たたき、羽を動かすだけでたくさんだった。」 13(Etudes II)
「悪魔は、傑れた歴史家であり、社会学者である。
それは、いつでも「一般論」の網を張りめぐらして、僕の飛翔を妨げようとする。僕には、こいつを追っぱらうには、一たたき、羽を動かすだけでたくさんだった。」 13(Etudes II)
――「二十歳のエチュード」より(順序不同)――