美術の本質【高田博厚】
彫刻家高田博厚による講演 『美術の本質について』の音声
1984(昭和59)年
群馬県前橋市にある書店「煥乎堂」の煥乎堂文芸講座
司会:岡田芳保
※煥乎堂は、高田博厚の親友であった詩人「高橋元吉」が経営していた書店である。
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はじめて高田先生の声を聞いて安心しました。
東松山市は よいことをしてくれました。
亡くなる数年前の講演だが、熱情や確信は身体とは関係ないところにあるようだ。
「思想」というものは何か、ということについて言及されているところが白眉だろう。 人間の感覚・経験という記憶は、それじたいすでに判断によって形成されたものとして、有意味的に存在している。 その記憶の、有意味性を形成している秩序に焦点を当てて、「思想」というのだとおもう。人間を離れた ただの規範ではなく。
「自然と人間の調和〔諧和〕」と先生が言うとき、どれだけの人々がその真意に思いを馳せることができるだろうか。多くは先生から完全な肩透かしをくらうだろう。
先生のお話しの間に紹介される「彫刻通り」の作品の写真がとてもよい。撮り手の主観にとって印象深いところをそのまま撮ると、いちばん客観的な作品紹介になる。そのくらい感覚というものは普遍性をもっている。