一個の人間はさまざまな要素をもっていて、状況に応じて各々の要素が表に出る。状況そのものが有為転変の複雑なものであり、一様でも単純でもないからだ。人間も複合要素でできていないと、生き通せない。  思想とは、それをわきまえるという反省・操作でもあるのだ、と思う。 人間というものをせっかちに判断しないことを学ぶことである。 自分をわきまえることは、他者について判断をわきまえることにつながる。 他者の語ることは、自分を照らすものである。