不動心 

 

 

それは、動揺しないことではなく、動揺しても繰り返し戻ってくる自分のなかの静けさの一点を知っていることであり、それゆえに動揺のさなかにあっても自分への信頼を保っていることである。 

 

 

それゆえぼくは他者の批判にも、自分の感情にも、揺るがない。ひとつの感情にとらえられたときには却ってその感情になりきることができるし、他者のあらゆる批判を超越して自分に安らぐことができる。この自己確信はいっさいの根拠づけを超越しており、この自己確信こそがいっさいを根拠づけるものなのである。 この「静けさの一点」には絶対的な明証性がある。  

 

 

 

 人生は奇妙なことを察知させた。それは、このような確信を誰でも持っているのではないようだ、ということである。

 

 

 

 ぼくは何者なのだろう。じぶんにたいしては、「ただの人間だ」 といつも言っている。