人間は、楽をしたい。それは本性のひとつ。しかしけっして楽をしてはいけない核がある。それが自我意識だ。換言すれば美意識である。そしてこれがしっかりしていてはじめて優美がある。そこでは高められた安楽がある。代償を払っている安楽が優美である。たいていはこの核における緊張と労働を逃げて楽をしている。だから本性的に負い目を感じている。そこで第二義的次元での自立で負い目を埋めようとする。神なき日本人のたいていはこの倒錯意識を生きているのである。