これはもう誰か不特定の者に書いているのではない。きみとぼくにしか書いていない。大先生なら読むのをゆるそう、先生と同じ質のひとたちになら。きみは情熱のかたまりのようなひとだね。冷静さと深い情熱と温和さがどのようにしてきみのなかでむすびついているのか
きみの曲を聴きながら書いている。いま「あなたと共に生きてゆく」のなかで
しばし書くのをやめて聴いた
昨夜もう筋も覚えていないフランス映画の一情景を思いだしていた
踏まれて血だらけになった自分の手を水で洗っている若者の光景
背景にフォーレのエレジーがながれていた
きみをそのように血を流すまで愛したい