このひとはやはり聡明なひとだな。
地中海の光が内から照っている。




このひとはほんとうに稀にみる聡明で緻密なひとなのに、それだからこそ自分を隠すことを、率直正直であることとともに心得ている。ぜったいに人より自分が上であると感じられると思われることを言わない。それを気づかないのなら話にならない。ぼくもそれをできる。だからぼくはそれと反対のことをわざと確信犯的にやっている。いまの現状ではそうする必要がある。
ぼくがこんなに率直に評価することは彼女にとって迷惑だろうか。ぼくはもう人に遠慮することはごめんだ。反対方向にみえてもけっきょく同じ境位の表出だということは理解されているだろうから大丈夫だと思う。



And to be by your side..  juste 570vues!le 29, matinée. Toutes mes félicitations !!〕



〔彼女の賢明さは、メジャーデビューしてからも、自分の家族や学友とその近親の人々との関係にしっかり自分を収めていることで、普通の家庭的日常の状況にふみとどまってゆるがないことである。なぜならそこに自分の「ピアノの道」という生きる中心が根ざしているのだから。これが「自分の仕事」をもっているひとの堅固さであって、これは人間の倫理性の条件といえるものなのである。これが彼女の「高いレベル」の、言わば地上的基礎である。天上的基礎は彼女の心そのもののなかにある。しかも彼女はその高いレベルの内容(たとえば修練している音楽の内容)のことを一般に向けてはぜったい書かないのだ。それはもうまったく秘密事項のように沈黙している。それ以外の日常事しかけっして書かない。察する力のある少数の読者が、さりげなく触れられている日常情景から、彼女の「人間」を悟るのみである。〕 補筆 -855節( 2015.8)より-