化粧品犬です。
今回は去年書いた、資生堂アネッサのエントリーの続きです。
関連エントリーはこちら。
資生堂アネッサ パーフェクトUV アクアブースターの解析1 製品概要編2016.5.7追加
資生堂アネッサ パーフェクトUV アクアブースターの解析2 処方解析編2016.5.9追加
資生堂アネッサ エッセンスUV アクアブースターの解析1 製品概要編2016.6.4追加
資生堂アネッサ エッセンスUV アクアブースターの解析2 ウォータープルーフ検証編2016.6.6追加
資生堂アネッサ エッセンスUV アクアブースターの解析3 処方解析編2016.6.8追加
去年書いたといっても、今年のアネッサは処方改定が無く、去年の物をそのまま売っているので(^_^;)
現役製品についてのエントリーとなります。
何故急に続きを書くのかというと。
最新号のフレグランスジャーナル(略称FJ)に、アクアブースターの解説らしき報文が掲載されたからです。
フレグランスジャーナルってのは、化粧品をやってる会社ならどこにでも転がっている雑誌ですね。
理美容業界の「SHINBIYOしんびよう」みたいなものです。
化粧品業界紙と学術雑誌の中間みたいな月刊誌で、化粧品の学会でで目立った報告があったとは、しばらくしてこの雑誌にも載る・・というのが、業界の良くあるパターンなのです。
ちなみに、載っているのはこの号です。
フレグランスジャーナル (FRAGRANCE JOURNAL) No.443
アマゾンでは買えませんが、フレグランスジャーナル社から直で買うほか、Fujisan.co.jpからでも買えます。
Fujisan.co.jpだとデジタル版も購入可能。それでも2571円と、やや高い雑誌ですが。
フレグランスジャーナル社からは最近、記事のばら売りが始まっているようなのですが、詳細は知りません。
またJ dream(JICST系の有料の文献検索サイト。複写サービス可能)では、これまでの各記事の検索ができるのですが、直近の記事は複写を頼めません。
報文名は、「水に応答する自律性塗布膜の開発とサンスクリーンへの応用」で当然ながら、資生堂 の方々が書いています。
内容は最近の化粧品の学会発表されていた物と同じようですが、どれも聞きそびれていたので初めて内容を把握しました。
で、この内容を、これまでの化粧品犬の解析に当てはめてみようというのが今回のエントリーです。
いわば、答え合わせ編といいますか(^_^;)
今回はヤバイ・・・、しかし、報文を読んでしまったので、自分のエントリーの責任は、つけなきゃね!いうkとです。
では、はじまり〜
さてこのFJにのった邦文の概要は、こうです。
1)ステアリン酸と、水道水・海水や汗に含まれる2価のCaイオンが合わさると、不溶性の菌属石けんを作る事に着目。
海水や汗に濡れると落ちにくくなり、むしろSPFが増加する日焼け止めを発想した。
2)以下のモデルサンスクリーンを作り評価したところ、耐水性アップ効果あり。
ステアリン酸10%
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル7.5%
KOH0.5%
PEG/PPG-14/7ジメチルエーテル適宜
水 残部
3)以下のモデルサンスクリーンを作り評価したところ、耐水性アップ効果あり。
ステアリン酸15%
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル7.5%
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル2%
KOH0.5%
PEG/PPG-14/7ジメチルエーテル0.1%
エタノール8%
防腐剤適量
水 残部
4)モデル処方でのSPFの増加効果を、人の測定で確認した。SPF30.7→33.7(10%の向上)
これを見ると、資生堂はこんな配合量でモデルを作るんだ・・・という方に頭が行ってしまいますがそれはさておき(^_^;)
色々と突っ込み所が多い内容ですが、まず重要成分とされるPEG/PPG-14/7ジメチルエーテルが資生堂さんの独自原料なので、追試が出来ない(^_^;)
また上記では省きましたが、海水と水草水に浸漬した場合、明らかにCaイオン濃度が低い水道水の方がSPFが著しくアップしていたり。水素水では90%もSPFがアップしたと書いてあります。
人の測定では、SPF増加効果が10%アップでしかないとか・・一般的に人の試験では、誤差でもそのくらいでるのですけど。
そして更に大問題なのが。
次にアネッサ パーフェクトUV アクアブースターの解析で使った表を再度掲載しますのでみてください。
左が2014年発売の旧製品で、右が2016年に発愛されたアクアブースターの現行品です。
まずですね、今回の話題の中心のステアリン酸は、2014年発売の処方の時点で既に配合されています。
つまり資生堂さんのいう通りであれば、2014年の時点で、既にアクアブーストされている(^_^;)
むしろ2016年製品ではステアリン酸の配合量がやや減らされているぐらいです。
またこの配合の順位では、ステアリン酸配合量はモデル処方のように10%や15%ではなく、ずっと少ないはずです。
結論としては資生堂さんの報文は、ウソではないと思いますが、経験的に良い!と思って配合していたステアリン酸の効果を、改めて測定し直しただけ・・・というところでしょうか。
そこを隠すから、辻褄が合わなくなっているのです。
話を面白くしようとして盛りすぎた、」ってところでしょうか(^_^;)
というわけで、今回は答え合わせには成っていませんでした。
良かった〜
今見るとこの処方(アクアブースターの方)、解析本編で触れた親水性粉体の増加以外に、単純に油ゲル化剤のパルミチン酸デキストリンの量も増えてますね。
先日の花王のビオレUVエッセンス(2017)でも増えていたし、耐水性を上げるには、この辺りがキーなのかもしれません。