P&G 除菌ジョイコンパクトの解析3 処方解析編 | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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大手会社の開発に勤務していましたが、好きな化粧品を好きなだけ追求するため円満退職。
ノラ犬となった化粧品犬が、面白いと思った情報を発信していくブログです。
化粧品コンサルタントとして仕事も受けています。
パームアミノ・ラボ合同会社 imori@palmamino-labo.jp

(2016.4.1ジョイコンパクトモイストケアの公式ページにある、製品処方の誤記載をP&Gさんに報告したところ、ジョイ担当者様から感謝のメールをいただきました。P&Gさん仕事速い!。誤記載については後日直しておくそうです。本文中にも、この旨追記しました)


化粧品犬です。

除菌ジョイの解析3回目。
今回は、処方解析編をお送りします。

タイトルは一番有名な除菌ジョイにしてありますが、レギュラー品のジョイや、手荒れ対応ジョイ(モイストケア)についても処方を見ていきます。
この3つを比較することで、除菌機能は何の成分に由来しているかが分かる・・・というのが、今回のエントリーです。

これも、自主ル-ルではあるけれど、台所用洗剤の処方の公開が始まったおかげです。
家庭用消費者製品における成分情報開示に関する自主基準
http://jsda.org/w/01_katud/jsda/JSDA_jishukijun_seibunkaiji.pdf

良い時代になったな~(^_^;)
では早速、行ってみましょう。
いつものように成分を整理します。
成分は化粧品と違って裏面に書いていないのですよ。
なので、公式HPから拾います。
ジョイ成分情報
http://jp.pg.com/products/seibun/joy/

こんな感じになりました。


解析に入る前に書いておきたい事があります。
ジョイコンパクトモイストケアの処方ですけど、多分誤植があるようです。
公式ページの元データから、おかしいです。
表中では赤字で示しましたが、「ポリオキ」エチレンアルキルエーテルって(^_^;)
たぶん、「ポリオキシアルキレンアルキルエーテル」じゃないかな?
一応、P&Gさんにクレームをいれておきました。返事くるかな(^_^;)

→2016.4.1午後にジョイ担当者様より返事をいただきました。P&Gさんの仕事の速さに驚きです。
化粧品犬の指摘通りのミスなので、関連部署に連絡の上、修正しておくそうです。修正されたらまた追記します。

さて気を取り直して(^_^;)

この3製品どれも似てますよね。使ってもあまり差は無く、モイストケアも除菌も似たようなマイルド感です。

除菌ジョイの独自成分もすぐ分かってしまいます。
クメンスルホン酸ナトリウムですね。これは殺菌剤ではありません。
除菌効果を出しているのは、意外なことに殺菌剤では無かったんですね。

クメンスルホン酸ナトリウムとはなんでしょうか。
洗浄剤の一種で、泡立ちは速いが量は少なく、泡切れが良い特徴があります。
p-トルエンスルホン酸ナトリウムやキシレンスルホン酸ナトリウ ムと類似の成分です。
スルホン酸ナトリウムがくっついてる部分が、メチルベンゼン(トルエン)、ジメチルベンゼン (キシレン)、メチルエチルベンゼン(クメン)という違いです。
ハイドロトロープ剤ともいわれる成分で、これ配合する事で洗浄剤を減粘させる効果があり、これを逆手にとって、洗浄剤の濃度をの高めることができます。
つまり、洗浄剤の高濃度化に大きく寄与する成分というわけです。
特に殺菌剤は配合されていないのですが、高濃度化によって濃度が高まる事が、殺菌に効くのですね。
なんでも濃度が高くなると菌が生きていけなるものです。
例えば身近な例では、ハチミツなんかも水分が少ないので菌は生えません。
除菌ジョイの場合は、このクメンスルホン酸ナトリウムによる高濃度化に、共通成分ですがエタノールが併用されていることが効いているのかもしれません。
クメンスルホン酸ナトリウム(高濃度化)+エタノールが殺菌効果の源というわけです。

クメンスルホン酸ナトリウムは化粧品ではほとんど使われていない成分ですね。
しかし、類似成分のトルエンスルホン酸ナトリウムやキシレンスルホン酸ナトリウ ムは、アジエンスやパンテーンで使用されている成分でもあります。

処方全体にも触れておきましょう。
ジョイは古い製品ではあるのですが、処方はちゃんとアップデートされてます。

洗浄剤から見た、台所用洗剤の歴史は、以下のようになっているのですが。
(参考 台所用洗剤の歴史)
http://jsda.org/w/01_katud/a_seminar09.html

第1世代(1960年代)
 1)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸Na主剤系
 2)アルキルエーテル硫酸エステルNa主剤系

第2世代(1980年代)
 1)アルキルエーテル硫酸エステルNa+両性洗浄剤(アミンオキサイド)併用系
 2)アルキルエーテル硫酸エステルNa+両性洗浄剤(ベタイン)併用系
 3)αオレフィンスルホン酸Na+両性洗浄剤(アミンオキサイド)併用系
 4)αオレフィンスルホン酸Na+両性洗浄剤(ベタイン)併用系

第3世代(2000年代)
 1)第2世代+ノニオン(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)併用系
 2)第2世代+ノニオン(アルキルグルコシド)併用系

ジョイは第3世代(2000年代)の 1)第2世代+ノニオン(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)併用系にあたるわけです。
アルキルエーテル硫酸エステルNaに、両性洗浄剤(アミンオキサイド)とノニオン(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)を併用阿することで、刺激を低下させている処方です。

昔は手荒れしたような気がするのですが、頻繁にアップデートすることで、今の技術にるいていっているののだと思います。

これでジョイの解析は終わりです。
古くさいようでで新しい。そんな製品ですね。
洗浄力勝負の製品かと想いましたが(売り文句が、油べろんちょ、、だし)、意外にマイルド。
意外に手荒れしないし、すっかりきにいってしまいした。