ユニリーバ ダヴ エアリーモイスチャー 泡ボディウォッシュの解析(チアゾリノン系防腐剤について) | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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大手会社の開発に勤務していましたが、好きな化粧品を好きなだけ追求するため円満退職。
ノラ犬となった化粧品犬が、面白いと思った情報を発信していくブログです。
化粧品コンサルタントとして仕事も受けています。
パームアミノ・ラボ合同会社 imori@palmamino-labo.jp

化粧品犬です。

今回はユニリーバ さんのダヴ エアリーモイスチャー 泡ボディウォッシュの解析をお送りします。

この製品は、取り上げるかどうか迷いました。
一見お勧めな処方なのですが、よく見ると問題があり、実際に使ってみても、使用後は痒い・・・という使用感。あまりお勧めできない製品なんです。
どこが問題なのかは、今回のタイトルからバレバレなんですが、そこは見ないふりしていただくとして(^_^;)

化粧品犬ブログはお勧めできないものは、そもそも紹介(解析)しないでおこうと思っているので。この製品も、長らく放置してました。
しかし最近、この商品のおすすめできない原料(チアゾリノン系防腐剤)について、見逃せない情報を見つけてしまいまして(^_^;)
ぜひ取り上げたくなってしまい、今回のエントリーとなりました。
最近泡のボディソープを連続して取り上げていたタイミングでもありますしね。
今回は解析自体は軽くして、今回のみで完結予定です。
では開始~。

まず外観。こんな商品です。


値段は700円ぐらい/450mlです。小さく見えるし、値段もやや高め。
小さく見える理由は、他社品のように泡が三倍出てくる「3倍泡ポンプ」を採用していないので、ノズル部分が小さいという事に原因があります。
泡ポンプが小さいことはデザイン上は良いんですが、使ってみると、3倍泡ポンプを使っている他社品よりはっきり泡量が少なくて、がっかりです。
2015/9/14と比較的最近の発売なのですが、@cosmeでの評価は、 クチコミ 16、件注目人数 12人。評価点3.1点と驚異的な低さです。
人によっては痒みが出る上に、泡が少ないので仕方が無いことではありますが、不人気ですね~

でもこの商品、処方を見ると一見良さそうなんですよ。
そこを確認するために、処方を整理してみました。比較のため、牛乳石鹸さんの泡のボディソープも併記しました。


洗浄剤のパートを見ると、この2製品Jは意外に共通している点が多いことが分かります。
両方ともアミノ酸系洗浄剤のココイルグリシンKを使用し、安い両性洗浄剤を併用するという処方の組み方です。
ダヴはラウロアンホ酢酸 Naが安い両性洗浄剤です。
そのあと、泡立ちやさっぱり感を補助するため、少量の脂肪酸が添加指定あるところまで、処方の考え方が似ています(^_^;)

違うところの一つ目は、まず保湿剤のパートで、泡ポンプの目詰まりを防ぐ溶媒としてPG(プロピレングリコール)を使用している事ですね。
PGは肌バリアを壊す懸念が拭えない原料です。
PGについてはライオンのバストロジーにも採用されており、そちらで詳しく書きました。
http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12137540813.html

牛乳石鹸では、ここははより安全なDPGを使っています。

そして二つ目のより重大な点ですが、防腐剤として、メチルイソチアゾリノンを使用している事です。
このメチルイソチアゾリノンについては以前にも書きましたが、非常に刺激が強いため、日本では配合する際の上限がパラベンの1/100と決められている防腐剤です。
この商品の使用後の痒みの原因も、このメチルイソチアゾリノンにあるのでは!と化粧品犬は思っています。
更に最近それを後押しする情報を見つけました、これが今回の本題です(^_^;)

以前のエントリーでも2013年に出た通達は書いたことがあったのです。
これです。
P&G 新パンテーン エクストラボリューム シャンプー/コンディショナーの解析2 シャンプー解析編
http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12097519310.html
「安息香酸Naはいいのですが、チアゾリノン類が本当に残念です。最近気付きましたが、チアゾリノン類って、2013年にヨーロッパの業界団体から使用中止が呼びかけられてましたね
http://bhn.jp/news/17698
アレルギーを誘発するということのようです(^_^;)」


このチアゾリノン系防腐剤は、パンテーンとかラックス等の外資系製品に配合されていることが多いので、ブログで取り上げる度に、これは刺激が強い原料ですよ~と書いてましたが・・・。
しかし2014年に、よりキツい通達が出ていたようです。こういうやつです。
Cosmetic Infoさんより
http://www.cosmetic-info.jp/jcln/detail.php?id=4020
「2014.9 欧州委員会は2016年7月15日からメチルクロロイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン混合物をリーブオン製品中では使用禁止、リスオフ製品中では15ppm以下へ変更(http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32014R1003)」

これは、チアゾリノン系防腐剤はスキンケア製品には使用禁止。そして、ボディソープやシャンプー用途では、配合上限15ppm(=0.0015%)ということですよ。
これをうけて、欧州では、いままでチアゾリノン系防腐剤を採用していた製品が続々と発売中止になっているようです(^_^;)
例えば、ジョンソン・エンド・ジョンソンの泡じゃない方のベビー全身シャンプーが発売中止です(^_^;)

ジョンソンベビー 全身シャンプー 液体タイプ 生産中止
http://moririn-web.blogspot.jp/2015/07/blog-post.html

ちなみに日本の配合上限は0.01%です(^_^;)
これは以前にも書きました。

家庭でもできる、防腐剤のチェック法(完結編)
http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12010738532.html

この値は、欧州とは、だいぶ乖離していますね。
まあ、分かっている人は分かっていて、日本では明文化されていない自主規制(各社の無言の協調?)によって、チアゾリノン系防腐剤の配合量は0.01%以下におさえてはいたのですよね。上限まで配合すると、刺激が強くて、製品化の際の人パッチが通らないから(^_^;)
ただ、パラベンフリーを言いたいために、チアゾリノン系を採用してしまっているメーカさんもいたりして、その方達はこの欧州の状況にどう向き合うのかなと言う点に興味がありますね。
例えば自然派のmogansさんのシャンプーは、ノンパラベンかつノンフェノキシエタノールをうたう製品なので、刺激の強いチアゾリノン系防腐剤を使ってるんですよね。どうするんだろう、これ(^_^;)
いや、mogansさんの使用感は、大好きですよ~。おそらくチアゾリノンの呂理も最少に抑えてあると思います(痒くないから)。

今回のエントリーは以上です。