家庭でもできる、防腐剤のチェック法(完結編) | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

大手会社の開発に勤務していましたが、好きな化粧品を好きなだけ追求するため円満退職。
ノラ犬となった化粧品犬が、面白いと思った情報を発信していくブログです。
化粧品コンサルタントとして仕事も受けています。
パームアミノ・ラボ合同会社 imori@palmamino-labo.jp

さてこのエントリーも三回目。
前回のエントリーはこちらです

この話の最初のエントリーはこちらです。

こんなに長くするつもりはなかったのですが(^_^;)
今回で完結させます。

前回の話までで、厚生省告示第331号をよく見ると
・パラベンとフェノキシエタノールの刺激性は、大きく見れば同程度。
・もっと桁違いにマズい成分(刺激の強い成分)もあることがわかる。
と書きました。

今回はこの「もっと桁違いにマズい成分」についてです。
その成分とは、P.8に出ている「メチルクロロイソチアゾリノン・メチル
イソチアゾリノン液」です
ちょっと名前が長いですね(^_^;)
この成分の使用上の配合上限は、洗い流すものの用途(シャンプーなど)で0.1%、洗い流さないもの用途(化粧水たクリームなど)と粘膜向け用途(リップなど)では使用禁止です。
しかし注をよく読むとこの上限は、「メチルクロロイソチアゾリノン・メチル イソチアゾリノン液」1.3~1.72%溶液の場合の値でした。

つまり希釈したものの上限値であるということです。
わかりにくい。わざとやってるのか・・。

とりあえず大体1%濃度として計算すると、実質の配合上限は、0.001%となります。
まとめると、洗い流すものの場合、
●パラベンやフェノキシエタノールの配合上限:1%
●メチルクロロイソチアゾリノン・メチル イソチアゾリノン液の配合上限:実質、約0.001%

です。
というわけで、どちらがヤバイかと色々議論になっているパラベンやフェノキシエタノールに比べて、正に桁違いにヤバイ事が分かります。その差1000倍です。

こんな事が厚生省から公開されている資料で分かっちゃうんですね。

メチルクロロイソチアゾリノン・メチル イソチアゾリノン液なんて聞いたことないよと言われる方もいるかもしれません。
私もあまり使われる事の無い成分なら取り上げません。
結構使われているんです。

とりあえず「メチルクロロイソチアゾリノン」で検索すると、すぐにCosmetic infoさんのページが見つかると思います。
http://www.cosmetic-info.jp/jcln/detail.php?id=4021
ここの中のリンクに、この成分を含有している商品(265件)と言うものがあります。
そこをクリックすると、メチルクロロイソチアゾリノン・メチル イソチアゾリノン液を使用した製品がたくさんでてきます。
http://www.cosmetic-info.jp/prod/result.php?ln=メチルクロロイソチアゾリノン&lop_ln=eq&cq=0

非常に多いのがP&G社、そして日本リーバ社です。
ロクシタン社の名前も見られます。

メチルクロロイソチアゾリノン・メチル イソチアゾリノン液もこれまでの説明のように許可されている成分であり、許可されている濃度で使用する分には、法律的には何の問題もありません。
しかし、P&G社、日本リーバ社、ロクシタン社は大会社なんですよ。
1本の製品に配合されている量はしれていても、生産数が半端ないですから合計量は大きくなります。
また、いくら1本の製品に配合される量が少なくといっても、メチルクロロイソチアゾリノン・メチル イソチアゾリノン液自体は非常に刺激の強い成分なんですよ。
洗い流すもの限定だと言っても、人の肌に触れる製品に配合すると言うことに抵抗を感じないのかなと思わざるを得ません。

実は私も新人のころ、先輩と一緒にメチルクロロイソチアゾリノン・メチル イソチアゾリノン液の配合を検討した事があります。
厳重に保護メガネをかけ、幻獣に保護手袋を付けて計量したりして、明らかに他の化粧品原料とは違う扱いでした。
パラベンとかフェノキシエタノールとか、まあ手袋して扱いますが、素手ででも扱えるものなんですよ。
手に付いたらすぐ洗うということで(^_^;)

P&Gさんや日本リーバさんが、昨年度もメチルクロロイソチアゾリノン・メチル イソチアゾリノン液を使った商品をリリースし続けているのを見るにつけ、残念だなあと思う次第です。

ロクシタンさんは最近の製品では「メチルクロロイソチアゾリノン・メチル イソチアゾリノン液」を改良した防腐剤である、「メチル イソチアゾリノン」を使用しているようですね。
ちょっとややこしいのですが、メチルクロロイソチアゾリノン・メチル イソチアゾリノン液から、メチルクロロイソチアゾリノンを除去すると安全性が増すようです。クロロの有る無しで違うらしい。
とはいえ、配合上限は0.001から0.01%にアップするだけで、まだパラベン。フェノキシエタノールより100倍悪いのですが(これも厚生省告示第331号よりわかります)。
それでも、やはりロクシタンさんはナチュラル系大手だけあって、がんばっているのだな、という事は分かります。

何か上から目線になってしまいましたが(^_^;)、本項は以上です。