家庭でもできる、防腐剤のチェック法(続き) | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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大手会社の開発に勤務していましたが、好きな化粧品を好きなだけ追求するため円満退職。
ノラ犬となった化粧品犬が、面白いと思った情報を発信していくブログです。
化粧品コンサルタントとして仕事も受けています。
パームアミノ・ラボ合同会社 imori@palmamino-labo.jp

前回エントリーの続きです。
前エントリーで厚生省告示第331号を紹介しましたが、見方までは紹介できませんでした。
リンク:
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/keshouhin/dl/keshouhin-a.pdf

ちなみこれ、一般の人は見た事無いと思いますが、化粧品会社の人とか化粧品のOEMをやってる人とかは、たぶん全員知っている告示です。

見所は多いのですが今回見るところは、PDF中のP.7-P.8の「別表3-2 化粧品の種類により配合の制限がある成分」の表です。
あと、その表の前半にあたる、P.6の「別表3-1 すべての化粧品に配合の制限がある成分」の表も、ですね。こちらは前エントリーでは言い忘れましたけど。

この表が何かというと、それはP.2にこう書いてあります。
「4 防腐剤、紫外線吸収剤及びタール色素の配合の制限 。化粧品に配合される防腐剤(化粧品中の微生物の発育を抑制することを目的として化粧品に配合される物をいう。)は、別表第 3 に掲げる物でなければならない。」

要するに、化粧品について使用できる防腐剤の種類と使用上限量、及び使用用途をまとめた表なんです。

使用する用途にによって、細かく使用上限が決まっており、特に洗い流すもの(シャンプーなど)と、洗い流さないもの(化粧水やクリームなど)を分けて設定してあることが特徴ですね。
洗い流さないものが厳しい基準で、唇など粘膜に塗るものはもっと厳しくなっています。
これを逸脱すると、法律違反(薬事法違反)となるので、化粧品会社はこの表をいつもチェックしています。

色々と面白い表なのですが、今回はまず「パラオキシ安息香酸エステル及びそのナトリウム塩」(パラベン類と言われる成分です)と、フェノキシエタノールに注目してみましょう。
この二つは、化粧品ではよく使われる防腐剤で、どっちが効果があるとか、どっちが刺激が強いとか、常に議論になる成分です。
最近では特にパラベン類は、環境ホルモン的成分であるとかが大きな話題になってました。
国内ナチュラル系化粧品の最大手であるファンケルさんなどが、パラベンを叩く論文をたくさん出して、業界としてはちょっと困ってしまったりしました。
当然ファンケルさんは、事前に自社のパラベンを使用した化粧品をリニューアルして、フェノキシエタノールにチェンジしてからあのようなキャンペーンをはったわけです。上手ですね。
当時ファンケルさんが出されたデータは、世の中をセンセーショナルに煽る程のデータでは無かったと思いますが、一理はあったと思います。
http://www.fancl.jp/laboratory/report/17.html

正直って私もパラベンよりもフェノキシエタノールの方が好きなので、ファンケルさんの議論に乗せてもらって、たくさん商品を開発させてもらいました(笑)
ノンパラベン系とか受けも良いし、ファンケルさんのデータは、それなりに一理あるデータだと思います。

ただ私が問題だなと思うのは、ファンケルさんはグループ会社のアテニアさんでは、パラベンを使用した化粧品を販売していることです。
一例で且つ引用で申し訳ありませんが、これとか。
http://bihada-mania.jp/cosme/7241

アテニアがファンケルのグループ会社であることは公開されています。
http://www.fancl.jp/about/group/

一方であれだけ叩いた成分を、一方で使い続けるというのは、ちょっとダブルスタンダード過ぎでしょう。
アテニアがファンケルのグループ会社であることは、一般の方は知らないから、どうでも良いと思っているものと考えざるを得ません。

パラベンとフェノキシエタノールについては、Yahoo知恵袋上でも色々な議論があるようですね。

余談が長くなりましたが、このようにどっちがよいかで議論が分かれるパラベンとフェノキシエタノールですが、厚生省告示第331号上ではどちらも配合上限1%で同等です。
処方屋さんの好みはあるが、大きく見ると同程度の刺激性であることが分かります。
ちなみにそれらの代替で使用される安息香酸塩の上限は1%、サリチル酸は0.2%が上限で、サリチル酸は若干刺激が高いことが推測されます。

しかし、厚生省告示第331号をよく見ると、もっととんでもなく刺激が強いやつがいることが分かります。
しかもちょっと分かりにくいように、偽装しているというか。

今回も語りすぎて、長くなってしまったので、次エントリーに続きます。