花王 メリットシャンプーの解析(本編2 コンディショニング剤) | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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大手会社の開発に勤務していましたが、好きな化粧品を好きなだけ追求するため円満退職。
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化粧品コンサルタントとして仕事も受けています。
パームアミノ・ラボ合同会社 imori@palmamino-labo.jp

花王さんのメリットシャンプーの解析の続きになります。
前エントリーは以下になります。

1)花王 メリットシャンプーの解析(前哨編)
2)花王 メリットシャンプーの解析(前哨編2 ラウレス硫酸塩の安全性)
3)花王 メリットシャンプーの解析(本編 洗浄成分について)

今回は、シャンプーでは非常に大事な、コンディショニング剤について話をします。
コンディショニング剤は、シャンプーの使用感は洗浄成分とコレできまる!という(^_^;)
大事な成分です。

資生堂白ツバキと、ラックスダメージケアはどちらもカチオン化グアーを使用しているシャンプーなのですが。
使ったことがある人はおわかりになると思いますが、両者とも似た使用感になっていました。
カチオン化グアーは新しい素材ではないですが、最近の流行ですね。

さて、メリットはどうなんでしょう。

毎度ですが処方を再掲しますね。


コンディショニング剤は、
 1)塩化トリメチルアンモニオヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース
 2)塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液
となっています。

しかし、前のエントリーにも書きましたが、これは医薬部外品用の表記になっています。
メリットシャンプーは医薬部外品だからです。

これを、化粧品のルールで書き直すと以下になります。
参考文献も付記したので、気になる方は本当かどうかチェックしてください。

メリットのコンディショニング剤
 1)塩化トリメチルアンモニオヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース
 ↓
化粧品表記では、ポリクオタニウム-10です。昔風に書くと、カチオン化セルロースです。
参考文献
http://www.matsumoto-trd.co.jp/cgi-bin/search/index.cgi?num=1313

2)塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液
 ↓
化粧品表記では、ポリクオタニウム-7です。
参考文献
http://www.matsumoto-trd.co.jp/cgi-bin/search/index.cgi?num=636


この対応付けが、ほとんどのシャンプー解析サイトでは、できてないですね。
どのサイトでも、よくわからない成分が入っていると書かれて終わるのですが。
いやいや普通の成分なんですが。

ただ、シャンプー解析ドットコムさんは惜しくて。
この方は「塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液は、ポリクオタニウム-22のことである。とにかく非難する。」という感じで書かれているんですが、(リンク参照)
http://www.ishampoo.jp/shampoo/merit2014.html

シャンプー解析ドットコムさんの言われるポリクオタニウム-22は、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル「酸」共重合体液なんですよ。
よって名前は似ているけど、今回の素材とは、違うものです。
参考文献
http://www.matsumoto-trd.co.jp/cgi-bin/search/index.cgi?num=628

今回のは塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル「アミド」共重合体液ね。
凄く似ています。うっかり間違いしやすいですね。

というわけで長くなりましたが、メリットのコンディショニング剤は、ポリクオタニウム-10+ポリクオタニウム-7
です。
まあ、30年ぐらい前から使われている配合です。
すすぎ時の指通りの良さと、乾燥後の髪にまとまりをあたえ、髪の跳ねを抑えます。本当に普通の、というのがぴったりの配合ですね。
この配合だと、古くさいけど安心感のある、良い感じのシャンプーになります。
安全性も、長期間にわたる膨大な使用実績が証明しています。
ある意味メリットらしいですね。

それと、ポリクオタニウム-7の名称に含まれている、アクリルアミドという一部の構造に敏感に反応される方もいます。
意識高い方で、たまにいらっしゃるんですよね。
実はアクリルアミドモノマーは、発がん性が疑われている成分なのですが、ポリクオタニウム-7に含まれているのはアクリルアミドポリマーで、~モノマーは除かれてます。

あとはどのくらいメーカーを信じるかですが、実はこの原料のそもそもの開発会社は、水の処理や土壌の改良をやっている会社です。
昔から、水の処理や土壌の改良にポリアクリルアミドは使われてましたから。
ナルコ社
http://www.nalco.com/index.htm

このナルコ社が出した、化粧品原料がポリクオタニウム-7になります。商標はマーコート550。
http://www.nalco.com/applications/merquat.htm

長期間にわたる使用実績とこのナルコというエコっぽい会社を考えると、ポリクオタニウム-7に対する信用はかなり高いと思います。おそらくアクリルアミドモノマーの残量なども、問い合わせれば答えてくれるんじゃないかな。

あとポリクオタニウム-7については、ライオンもゾロ品を作ってます。
トイレタリー製品を作っている、あのライオンさんです。
あのライオンさんも、実は花王さんと同様に、化粧品原料も作っているのです。
http://www.lion.co.jp/ja/chemicals/catalog/pdf/catalog.pdf

ライオンさんの原料も、やはり日本の会社だけあって安心です。
まあ、ライオンさんの原料をライバル会社の花王さんが使うとは思えないので、やっぱり花王さんが使っているのはナルコ社のやつかな。

寄り道しすぎましたが、結論としてメリットのコンディショニング剤の選択は、処方としては古い。でもそれ故、安心できる。そんな処方を選択したという事のようです。

長々と書いて申し訳ありません。 
次回、完結予定です(^_^;)