訴訟書類は裁判所等がその事務遂行上、確実に相手に送達する必要のある書類を届けるための郵便制度で、事実上の強制送達となっているため受取拒絶ができないものです。
大東亜戦争中、戦況悪化により郵便遅延が発生する以前においては、もともと郵便の逓送スピードはかなり速かったこともあって、差出人としての裁判所が「わざわざ速達料を納付してまで訴訟書類郵便を送る」という事例は稀でした。
そのため、戦前における速達扱いされた訴訟書類は、極めて僅かな事例しか知られていないのが実情で、わたくしのコレクションにも数点しかありません。とくに速達全国化前のものは本当に貴重ですが、それ以降のものでも滅多にお目にかかれません。
画像は、最近、幸運にもコレクションに加えることが出来た史料で、昭和15年9月の実例です。第1次昭和切手の東郷4銭と水力発電所3銭切手計27銭分を貼り、仙台の宮城控訴院(現在の仙台高裁)から郡山市内に差立てられました。
料金は書状4銭+書留10銭+訴訟書類5銭+速達8銭=計27銭となります。