訴訟書類の速達便 昭和15年9月 | 郵便・切手から 時代を読み解く

郵便・切手から 時代を読み解く

切手コレクター必見! 経済評論家にして郵便・切手評論家でもある池田健三郎が、辛口トークと共に「ゆうびん」や「切手」を通じて時代を読み解きます。
単なる「切手あつめ」や「郵便物コレクション」とは次元の違う、奥深き大人のライフワークの醍醐味をお伝えします。

訴訟書類は裁判所等がその事務遂行上、確実に相手に送達する必要のある書類を届けるための郵便制度で、事実上の強制送達となっているため受取拒絶ができないものです。

 

大東亜戦争中、戦況悪化により郵便遅延が発生する以前においては、もともと郵便の逓送スピードはかなり速かったこともあって、差出人としての裁判所が「わざわざ速達料を納付してまで訴訟書類郵便を送る」という事例は稀でした。

 

そのため、戦前における速達扱いされた訴訟書類は、極めて僅かな事例しか知られていないのが実情で、わたくしのコレクションにも数点しかありません。とくに速達全国化前のものは本当に貴重ですが、それ以降のものでも滅多にお目にかかれません。

 

画像は、最近、幸運にもコレクションに加えることが出来た史料で、昭和15年9月の実例です。第1次昭和切手の東郷4銭と水力発電所3銭切手計27銭分を貼り、仙台の宮城控訴院(現在の仙台高裁)から郡山市内に差立てられました。

 

料金は書状4銭+書留10銭+訴訟書類5銭+速達8銭=計27銭となります。