切手収集は「王者の趣味」といいいますが、これは単なる比喩ではなく、各国の王族が趣味として楽しむにふさわしい品格と知的側面を兼ね備えたものであることを的確に言い表した言葉であると思っています。ですから、私も自らのフィラテリーの活動における、判断の基準として品格と知的側面というのはかなり重要な要素として位置づけています。
さて、前置きはともかく、まさに高貴な方によって愛蔵されていたことで知られる有名な切手といえば、手彫切手の大珍品「玉六の(ヨ)」ということになるでしょう。この切手はかつてルーマニアのキャロル2世のコレクションに収められていたことでつとに知られています。
この切手が久々に公開のオークションに登場するというので、私も注目してみておりました。そしていよいよ10月15日(日)午後フロア開催のタカハシオークションのラストロットとして登場、日本切手を代表する世界的大珍品「玉六の(ヨ)」 は、最低値460万円のところ、フロアでは950万円(メール入札の2番値の1刻み上)からスタートし、結局1,100万円までビッドアップされて落札されたそうです。
これで東宮ご婚儀未発行シート以来、久々の8桁落札ということになるのでしょうか。このところ手彫のマーケットの軟調を指摘する声がきかれていた最中、これは何とも素晴らしい結果であります。この勢いが11月のJPSオークションにまで引き継がれてほしいものです。