KEN筆.txt

KEN筆.txt

鈴木健.txtブログ――プロレス、音楽、演劇、映画等の表現ジャンルについて伝えたいこと

【髙山善廣選手の支援を心よりお願い申し上げます】
プロレスラーの髙山善廣選手が2017年5月4日のDDT豊中大会試合中に負傷し、頸髄完全損傷という診断を受け現在も厳しいリハビリ、ケガと闘っております。そんな髙山選手を応援する「TAKAYAMANIA」が同年9月に起ち上げられ、各プロレス団体協力のもと試合会場にて募金箱の設置、応援グッズ販売、支援イベントなどがおこなわれております。活動状況は髙山選手の公式ブログにて随時更新されています。皆様からご協力いただきました支援金は、髙山選手の治療費等に充てられます



〔銀行振込〕
★三菱UFJ銀行代々木上原支店
店番号:137
口座番号:普通預金 0240842
口座名義:TAKAYAMANIA タカヤマニア
★みずほ銀行渋谷中央支店
店番号:162
口座番号:普通預金 1842545
口座名義:TAKAYAMANIA タカヤマニア
★三井住友銀行渋谷支店
店番号:654
口座番号:普通預金 9487127
口座名義:TAKAYAMANIA タカヤマニア 代表・髙山奈津子
※通帳は髙山選手の奥様がお持ちになられています
〔クレジットカード〕
https://secure.koetodoke.jp/form.php?to=13
〔TAKAYAMANIAお問い合わせ〕
takayamania.staff@gmail.com

【大谷晋二郎選手の支援を心よりお願い申し上げます】
プロレスラーの大谷晋二郎選手が2022年4月10日のZERO1両国大会試合中に負傷し、頸髄損傷という診断を受け現在、治療とリハビリに取り組んでいます。そんな大谷選手を支援する「何度でも立ち上がれ!!大谷晋二郎応援募金」が起ち上げられました。皆様からご協力いただきました支援金は、兄・大谷裕一郎、妹・大谷葉月、妻・大谷江梨子の各氏が管理し、大谷選手の復活に向けた費用へ充てられます。また、大谷選手へ応援の声を届けるために #頑張れ大谷晋二郎 #何度でも立ち上がれ大谷晋二郎 のハッシュタグでツイートしてください



〔銀行振込〕
★ゆうちょ銀行五五八(ゴゴハチ)支店
店番号:558
口座番号:普通預金 0227704
口座名義:オオタニハヅキ
★三菱UFJ銀行広島支店
店番号:511
口座番号:普通預金 0717636
口座名義:オオタニユウイチロウ
〔クレジットカード申し込み先〕
https://otanishinjiro.com/
〔お問い合わせ〕
https://otanishinjiro.com/inquiry

【イベント出演情報】
闘道館presents「鈴木健.txt対決シリーズSeason5 Vol.51~まなせゆうなのガンバレ☆トークライブ」
★5月19日(日)巣鴨・闘道館(16:45開場/17:30開始)
〔出演〕まなせゆうな(ガンバレ☆プロレス)
〔進行〕鈴木健.txt
〔入場料金〕前売り3500円、当日4000円
※プレミアムツーショット撮影権1000円
〔内容〕
開演前:鈴木健.txt余興演奏
第1部:グラビアタレントからプロレス界へ。知られざるスターダム時代
休憩時間後撮影会
第2部:東京女子プロレス~ガンバレ☆プロレス(大家健代表との出逢い)。欠場から復帰、そして団体独立へ
〔申し込み・問い合わせ〕闘道館(TEL03-5944-5588/info@toudoukan.com)もしくは鈴木健.txtメールアドレス kenpitsu.txt@gmail.com まで①イベント名②氏名③当日連絡がとれる電話番号④申し込み人数⑤イベントを知った経緯⑥今後、対決シリーズに出演してほしい選手・関係者をお伝えください
〔諸注意〕参加費をお支払いいただいた順に整理券をお配りいたします(店頭で現金のみの精算)。開場時間に整理番号順にてご案内させていただきます。整理券購入後のキャンセルはお受けいたしかねます



闘道館presents「鈴木健.txt対決シリーズSeason5 Vol.52~カズ・ハヤシ引退直前スペシャル“和魂”トーク」
★6月22日(土)巣鴨・闘道館(15:15開場/16:00開始)
〔出演〕カズ・ハヤシ(GLEAT)
〔進行〕鈴木健.txt
〔入場料金〕前売り3500円、当日4000円
〔内容〕
開演前:鈴木健.txt余興演奏(カズ選手入場テーマ曲『和魂』生演奏あり)
第1部:ユニバーサル~みちのく~メキシコ~WCW編
休憩時間後、参加者全員との撮影会
第2部:全日本プロレス~WRESTLE-1~フリー~GLEAT編
〔申し込み・問い合わせ〕5・19と同
〔諸注意〕5・19と同



BAR&FIGHT地下闘技場presents「鈴木健.txt余興演奏Vol.21~TECHNOPALACE Act8」
★5月24日(金)歌舞伎町・地下闘技場(19:00開店/20:00開始)
〔出演〕TECHNOPALACE(鈴木健.txt&マサ川島)
第1部=20:00~20:45 プロレステーマ曲演奏
第2部=21:00~21:45 テクノ&ニューウェイヴ演奏
第3部=22:00~ リクエスト即興演奏タイム
〔イベント入場無料〕飲食チャージ1000円+2オーダー以上(投げ銭制)
〔予約・問い合わせ〕鈴木健.txt X DM 地下闘技場X DM
お店は開店から飲食のご利用ができます。ライブ中の出入り、ご注文は自由。即興でリクエストにもお応えします。イベント入場料はありませんので、飲食と出演者への投げ銭のご協力をお願いします

【テレビ番組出演情報】
■サムライTV「プロレスリングFREEDOMS5・2後楽園ホール大会中継」:5月11日(土) 22:00~24:00/リピート放送:5月12日(日) 8:00~10:00、5月13日(月)17:00~19:00、5月16日(木)21:00~23:00、5月19日(日)14:00~16:00、5月25日(土)4:00~6:00
※実況:塩野潤二、コメンテーター:鈴木健.txt

■サムライTV「DDT5・5後楽園ホール大会中継」:5月14日(火)22:00~24:00/リピート放送:5月15日(水)8:00~10:00、5月16日(木)19:00~21:00、5月19日(日)12:00~14:00、5月20日(月)15:00~17:00、5月24日(金)26:00~28:00
※実況:村田晴郎、コメンテーター:鈴木健.txt

■ZAIKO「天龍プロジェクト5・3アゼリア大正ホール大会生配信」」:5月3日(金)13:00~ https://tenryuproject.zaiko.io/item/364011
※コメンタリー実況:鈴木健.txt。5月9日(木)23:59までアーカイブ視聴可

【執筆・編集情報】
〔書名〕月刊スカパー!2024年5月号
〔発行〕ぴあ株式会社
〔価格〕620円
〔発売開始日〕4月24日(水)
〔内容〕連載「鈴木健.txtの場外乱闘」第118回のゲストは大日本プロレス・青木優也



〔サイト名〕BBM Sports
〔3月19日更新〕「プロレスは仕事ではなくライフワーク」…四十代で和田拓也に訪れた出逢いと導き人



〔サイト名〕DDTプロレスリング公式サイト
〔3月15日更新〕現KO-D無差別級王者を知ることで見えてくる現在地――上野勇希がDDTの中心点へ立つまでにあったいくつかの「心が震える瞬間」



〔サイト名〕DDTプロレスリング公式サイト
〔3月11日更新〕アメリカにいながら日本のベストバウトを狙う――DDT3・17後楽園にAEWから“来日”するKONOSUKE TAKESHITAに直前インタビュー



〔サイト名〕FIGHTING TV サムライ公式サイト
〔3月1日更新〕鈴木健.txtの場外乱闘番外編
※サムライTV版第90回は、全日本プロレス・諏訪魔選手ロングインタビュー。「全日本にとっていい方向につながるなら俺的には今の立場に固執するつもりはない」



【著書紹介】
〔書名〕純烈物語20-21(ニーゼロニーイチ)
〔発行〕扶桑社
〔価格〕単行本四六版544ページ/1818円+税
Amazon 楽天ブックス セブンネットショッピング
〔内容〕『日刊SPA!』ノンフィクション連載書籍化第2弾。コロナ禍に見舞われた中、純烈はどうやって2020年を止まることなく乗り越えてきたのか。離れていてもファンとともに現実と戦い続けたその姿が克明に描かれた、コロナ時代におけるエンターテインメントのサバイバル本
〔電子版特典〕巻末に電子書籍特典画像掲載 Amazon



〔書名〕白と黒とハッピー~純烈物語
〔発行〕扶桑社
〔価格〕単行本四六版304ページ/1500円+税 Kindle版電子書籍限定特典つき/1425円+税 Amazon 楽天ブックス セブンネットショッピング
〔内容〕『日刊SPA!』ノンフィクション連載を書籍化。2019年1月のスキャンダル発覚から2度目の紅白出場までの純烈を追跡し過去の秘話も交えた物語
〔電子版特典〕巻末に2019年12月31日「第70回NHK紅白歌合戦」リハーサル~2020年1月1日「東京お台場大江戸温泉物語凱旋ライブ」の密着撮り下ろし画像を掲載 Amazon



〔書名〕プロレス きょうは何の日?
〔発行〕河出書房新社
〔価格〕単行本四六版176ページ/1400円+税
〔内容〕イッテンヨンだけじゃない、ファンは毎日が記念日! 名勝負、事件、旗揚げ、戴冠、デビュー、命日…一年365日、プロレス界で何があったか、一冊でわかる。すべてのプロレスファン必携。全国学校図書館協議会選定図書
〔著者インタビュー〕Web河出「ネット時代に365日分の出来事を一冊にする意義 プロレスの入り口と、その先へのいざない」

BGV:フラワーカンパニーズ 『感情七号線』

 

古巣である週刊プロレスモバイルの連載コラム『週モバ野郎NOW』が2017年8月28日更新分をもって最終回を迎えました。遅れ馳せながら、2011年4月より355回分もの長い間、ご愛顧いただきました皆様へ改めて御礼を申し上げます。

 

終了が伝えられた時点で、ラストは髙山善廣さんのことを書こうと決めていました。5月4日の事故から4ヵ月が経ちなかなか続報が伝わない中で、それでも思いを持ち続けようという呼びかけです。あの時点では、誰もが力になりたいと思っていながら待つしかない状況でした。

 

最終回がアップされた1週間後に記者会見が開かれ、髙山さんの容態報告とTAKAYAMANIA設立が発表され、ようやく私たちは動けるようになりました。各団体・関係者の間でも募金活動が始まり、またたく間にその輪は広がっていきます。

 

それは事故から年11ヵ月が経過した今も、変わることなく続いています。今回の支援に関しては、本当に長期的な活動として継続する必要があります。呼びかける側も、そして支援をする側も一過性ではなく、髙山さんに対する思いを持ち続けるのが何より大切なのだと考えています。

 

これはコラムの最終回で書いたことでもあり、そして今後も変わらぬ姿勢として自分の中で位置づけられています。連載が終了し、現在もアーカイヴとして閲覧はできますが、もっとファンの皆様の目が届きやすいところで感じてもらうことはできまいかと週刊プロレス編集部に相談したところ、特例としてブログへの全文転載を認めていただきました。

 

ご理解と、そして髙山さん支援へのご協力をいただいた湯沢直哉編集長、相談に乗っていただいた奈良知之記者へ心より感謝申し上げます。髙山さんが我々のもとへ戻ってくる日まで、皆様へご協力をお願いする次第です。

 

何が正しくて何が正しくないのかの正解は一つではありません。人によって、価値観によって、状況や環境、立場によっていくらでも変わってきます。その上で、心へ芽生えた自分を突き動かす"動機"に対し、正直になってください。それが信念を育みます。そして、良識のもと信念に基づいた言動であればあなたにとっての正解です。

 

皆様の正直な思いや気持ちを、支援募金という形で我々はお預かりしているにすぎません。大切なのは一人ひとりの思いを髙山さんへ届けることだと思っています。それを忘れることなく、今後もご協力をお願いするべく呼びかけていきます。

 

 

☆        ☆        ☆

 

2013年1月に「ニコニコプロレスチャンネル」が開設されて4年間、髙山善廣さんはもっとも顔を合わせ、時間をともにしてきたプロレスラーでした。週一番組「ニコプロ一週間」の司会進行とレギュラーコメンテーターの関係で、そこに本誌前編集長の佐藤正行さんを加えた3人で毎週水曜に1週間ごとの主な大会やニュースを紹介し、それについて掘り下げていくというものでした。

 

髙山さんと私は昭和41年生まれの同い年、佐藤さんは1つ上なのでプロレスもそれ以外のジャンルに関しても蓄積が共通しており、当初は出来事をなぞっていくだけだったのが回を重ねるごとに会話が膨らむようになって、やがてグルーヴ感を覚えるほどの絶妙な呼吸ができあがっていきました。天然の佐藤さんに私が突っ込みを入れ、帝王が「ガハハハッ!」と豪快に笑いながらさらに突っ込む。自分の活動範囲だけでなく、あらゆる団体の話題について論客らしいコメントをし、そして楽しめるネタに関しては小学5年生へ還ったかのごとくウヒャウヒャする。

 

テレビの方はどちらかというとおカタいコメンテーターのポジションでしたが、こちらではプロレスならではの幅広さを心から楽しんでいるようで、水曜に試合があっても極力休むことなく大きな体でスタジオへ飛び込んできたものでした。「編集長っていうシンドい立場にいるとさ、この番組で好きなことを言えるのが心のオアシスみたいなものなんだよ」当時、佐藤さんはそう言っていました。おそらく、髙山さんも同じような気持ちで出演されていたのだと思います。

 

だから視聴者の皆さんはもちろん、共演するお二人にも楽しんでもらえるよう私は番組の内容をナビゲートしているつもりでした。髙山さんの誕生日が来ると、いいトシした二人のプロレスマスコミが生歌と生演奏で「ハッピーバースデー・ディア帝王」と祝福し、それを生番組でファンに見てもらい一緒にお祝いしていました。

 

▲2013年9月18日、髙山さんの誕生日前夜の生番組中にロールケーキとシャンパンで帝王を祝う

 

また髙山さんが地上波のドラマへレギュラーでキャストされた時には毎週触れて、それさえも話のネタにしともに笑い合いました。プロレスによって鍛えられているので、どんなジャンルでも膨らまして楽しめるのが我々三人の強みだったのです。

5月4日のアクシデントがあった以後、ニコプロ一週間から帝王の姿が消えました。私の左隣へ当たり前のようにあった大きな大きな体の存在感は、あれから4ヵ月が経とうとしている今もかすかなぬくもりのように残っています。

 

休みに入った以後も、ニコプロはオープニングVから髙山さんの箇所を抜いていません。出演時には毎週豊富なコレクションの中から着てきたTシャツを紹介していたのですが、それも私が引き継いでいます。髙山さんほど多くは持っていないので、ネタが尽きた頃には戻ってきてほしいという願かけでもあるのです。

 

でも…今の我々には、それぐらいのことしかできません。本当にたくさんの選手、関係者がなんとか力になりたいと思っています。でも現時点では、まだその段階ではありません。力になれる日が来るのを待ち続けるしかないのです。

 

あれ以来、一日で髙山さんのことを一度も思い浮かべなかった日はありません。私のような人間でさえそうなのですから、ご家族の辛さを察すると心が痛みたまらなります。そして何より、今なお孤独な闘いを続けている帝王の気持ちを想うと、何もできない無力さが情けなくて情けなくて。

「髙山は帝王です! 僕だってここまで回復してリングに戻ることができたんです。髙山、絶対大丈夫だからな! 負けるなよ!」

 

8月14日におこなわれた「カッキーライド」のエンディングで、垣原賢人さんは何度も帝王の名と「大丈夫」の言葉を口にしました。それは挨拶という形式的なものではなく、とめどなく体のそこからあふれ出てきて抑えきれぬ思いのたけでした。悪性リンパ腫と今も闘いながら、奇跡的な回復を遂げ夢にまで見たリングへ還ってきたのに、自分のことではなく盟友の力になりたいと泣きながら叫んでいる。

 

 

私はプロレスを通じて「人間は他者のために動いた時、とてつもないパワーを発揮する」ことを教わりました。これまで自分のために闘ってきた垣原さんは、その強さを髙山さんへの思いに乗せて使おうとしています。思いは無形のものであるからこそ、時空を超えて伝わる…そしてそれこそが今、私たちにできることなのだと信じています。だから皆さんも――。(2017年8月28日・記)

 

 

【関連エントリー】

365日続いた闘いと思い。そしてこれからも――

 

【髙山善廣選手の応援よろしくお願いします】

プロレスラーの髙山善廣選手が2017年のDDT5・4豊中大会試合中に負傷し、頸髄完全損傷という診断が下され現在、肩から下が動かない状況の中、厳しいリハビリ、ケガと闘っております。そんな髙山選手を応援する会「TAKAYAMANIA」が起ち上げられ、各プロレス団体協力のもと試合会場にて募金箱の設置、応援グッズ販売、支援イベントなどがおこなわれています。活動状況は髙山選手の公式ブログ https://ameblo.jp/takayama-do/ にて随時更新されていきます。当ブログを閲覧された皆様のご協力を、心よりよろしくお願い申し上げます。皆様からご協力いただきましたご厚意は、髙山選手の治療費等に寄付されます。ご賛同いただける方は、下記口座及びクレジットカードに募金をお振込いただければ幸いです。

 


 

〔銀行振込〕
★三菱UFJ銀行代々木上原支店
店番号137
口座番号:普通預金 0240842
口座名義:TAKAYAMANIA タカヤマニア
★みずほ銀行渋谷中央支店
店番162
口座番号:普通預金 1842545
口座名義:TAKAYAMANIA タカヤマニア
★三井住友銀行渋谷支店
店番654
口座番号:普通預金 9487127
口座名義:TAKAYAMANIA タカヤマニア 代表・髙山奈津子

※通帳は髙山選手の奥様がお持ちになられています
〔クレジットカード〕
日本語:https://secure.koetodoke.jp/form.php?to=13
ENGLISH:https://www2.donation.fm/takayamania-en/
〔TAKAYAMANIAお問い合わせ〕 
takayamania.staff@gmail.com

BGM:P-MODEL『ヘルスエンジェル』

 

バーガーキングという企業は、その名称から王様であることを宿命づけられているがゆえに、ビッグサイズ・ハイになってしまっているのだろうか。とにかく年間を通じて定期的にメガ(あるいはテラ)メニューのキャンペーンが展開され、また私のようにまんまとそれに乗ってしまう層がいて需要と供給がジャンキーなまでに合致しているわけです。

そんな私でさえ「さすがにこれは、手に負えぬのでは…」とためらったのが、2月より発売されている超大型チーズバーガー『グレートキング・イエティ ザ・ワンパウンダー』でごわす。超大型プロレスラーで、キャッチフレーズが“ザ・ワンパウンダー”で、リングネームが「グレートキング・イエティ」という選手が実在してもおかしくないと思われるネーミングです。

 

▲大きさがわかるようマッチ箱かなんかを置いておくべきだった

食品で“グレートキング”を名乗るものが出てくるとは…名乗るとしたら、だいたいグレートかキングのどちらかですよね。さすがの偉大なるザ・グレート・サスケもグレート小鹿もザ・グレートキング・サスケとかグレートキング小鹿とは名乗らない。そこには一抹の遠慮があるわけで。

正式名ではありませんがその昔、ミスター・ポーゴさんがより極悪なポーゴ大王様を召喚し、それでも大仁田厚に敗れたため勢いのあまり「次は大・ポーゴ大王様を呼ぶからな!」と宣言。それを誌面で勝手に「GREAT KING POGO」と英語表記したことがありました。1995年のことです。

 

▲お懐かしい大・ポーゴ大王様の雄姿。その写真のキャッチに“GREAT KING”の文字が

あれから28年ほど経って、まさかハンバーガーでそのフレーズが使用されることになるとは、ポーゴ大王様の目をもってしても見抜けなかった。海のリハク、何度目かの一生の不覚であります。

そうした大河ドラマwがあったため、あまり意味のない使命感に駆られたことからためらいを払しょくし、チャレンジしましたよ、グレートキングに。1パウンド(約450g)というだけあって手にした瞬間、確実にバーガー人生でもっとも重く感じました。ハンバーガーを持っている感覚ではもはやございません。

一応、証拠として量りにかけてみたところ、包み紙とキャンペーン特典のステッカー込みで551gに。そりゃあ猫だって「ニャんだこれは?」となりますわ。

 



「直火焼きの100%ビーフパティ4枚とゴーダチーズスライス6枚をまろやかなホワイトチーズソースで仕上げた」というのがうたい文句。肉だけでなく、返す刀でチーズも6枚って…さらにwithホワイトソースというわかりやすい形の背徳感。

 

先日、JB's-TOKYOではチキンにもチャレンジしなかったパティ4枚を、こちらの方で経験することとあいまったわけです。ちなみに、これ一つで総カロリー1637kcalと、ラーメン二郎並み。

十二分に腹を空かせてから立ち向かったこともあり、そりゃあうまいですよ。うん、うまい。ただ、すぐに味よりも「今俺は、この肉と闘っているんだな」という実感の方が上回っていきます。ステーキや焼き肉に対する気合となんら変わらず、およそファストフードを食べている時のそれではなくなっていました。

食べても食べても減らないんだもん!(精神的に) パティ4枚の世界って、こういうものなのかと。わずかに入っている(量的にはわずかではないのだが、パティやチーズの量と比較するとわずかに思えてしまう落とし穴)オニオンに、そこはかとなくホッとしてしまいます。これは戦士の休息なのだな。

 

▲まだ半分にも到達していな時点でけっこうな満腹感。パティ4枚分の地層のよう。ご馳走だけに

通常より時間こそかかりましたが(当たり前だ)完食しました。満腹感がハンパありません。ランチで食べましたが、今日のところは晩御飯パスします。

 

「完食…完食!? キサマーッ! よくも大・バーガー大王様をコケにしやがったな。こうなったら、さらに極悪なほどデカく、凶暴的にうまい大王様を召喚してやるっ! 名づけて…特大・バーガー大王様だ! わかったら出てけーっ!!」

……なんか、そのように言われた気がします。このように、4枚がいけるんだったら5枚も、なんなら6枚もいけんじゃね?と、今年の秋あたりにバーガーキングが仕掛けてくるやもしれません。名称としては『スペシャル・グレートキング・イエティ ザ・ワンポイントファイブ・パウンダー』で。

というわけで、期間限定の品目ゆえ売れ切れ次第終了とのこと。ポーゴさんを思い出しつつ、食べてみてくだされ。わかったか? わかったら――。

BGM:平沢進『Caravan』

 

Netflixの人気グルメ番組『腹ぺこフィルのグルメ旅』。現在、シーズン7まで公開されている中、世界中を「誰か僕においしいものを食わせてくれよ!」と飛び回るフィルもなかなか来日せず(来てはいたけど番組とは別だったらしい)、最新シリーズにしてようやく京都を訪れました。うーん、もっともっと食べてほしい店は山ほどあるんだけどな。


で、その番組に出てくる料理はどれもおいしそうなものばかり。テルアビブのシャクシュカなんていうのは、これを見て初めて知ったわけですが、シーズン1の一発目がタイのバンコクで、そこで世界的有名なチェ・ファイおばさん(料理をする時にゴーグルを装着)のカニ肉のオムレツとともに出てくるのがカオソーイです。


カオソーイとは卵麺と揚げたライスヌードルをココナッツカレースープに入れたもので、いくつかのタイ料理屋にいったのですが、なかなかやっていない。やはり本場にいかないとありつけないのかと諦めかけていたところ数年前、たまたま入ったお店のメニューにありました。それが歌舞伎町の「サームロット」です。

 


場所は花園神社とゴールデン街にはさまれた道を東新宿方面に進み、吉本興業とテルマー湯を越えた角(新宿遊歩道出入り口)にあります。実は、現在テルマー湯横の駐車場となっているところには90年代あたりまで小さなスタジオがあり、学生時代にやっていたバンドやP-MODELのコピバンで練習に使っていて、このサームロットの1階にある酒雑貨店で電池を買っていたのだ。


その当時、上がタイ料理屋だったかどうかは定かではないのですが、そういった縁によって導かれたのかもしれません。フツー、ネットやテレビで事前に発見しない限りは入らないでしょうから。


なので、初めていった時はガパオやトムヤンクン、グリーンカレーのようなどのタイ料理屋にもあるものを食すつもりだったのですが、メニューからカオソーイを発見した時には「これ、フィルが食っていたやつやん!」と歓喜。もちろん注文しましたよ。


カレーもそうですが、タイ料理はココナッツミルクを使っているのがいい。自分には絶対に合うと思っていました。番組に出てきたのは通常のラーメンのように最初からスープにヌードルと具が入っていたのに対し、ここのはつけ麺風に別々で登場。それを椀に取ってまぜまぜするスタイルです。

 


麺以外の具は油かす(のようなもの)と、よいアクセントになるタクアン、エシャロットなど。スープの方に鶏肉が入っています。ノーマルな麺と揚げ麺の両方が入っているというのも実に秀逸で、麺モノという感じがあまりせず、タイ料理としての実感の方が強い。


ココナッツミルクカレー麺なんて、字ヅラを見るだけでたまらないじゃないですか。もちろん実際の味も、ココナッツミルクのコクと絶妙に抑えられた辛みがちょうどいい塩梅。ここにライスを追加したらタイカレーライスとしても楽しめます。


このカオソーイ、一度は食べてみた方がいいですよ。これでお腹いっぱいになったあと、隣のテルマー湯にいってお風呂に入ったりなんかしたら最高なんだろうな。

BGM:串田アキラ『キン肉マン Go Fight!』

 

いつかいきたいと思いつつも、思い切りを要すためなかなかたどり着けない店がありました。それが東新宿駅副都心線口から徒歩3分、明治通り沿いにある「にんにく焼肉プルシン」でごわす。

店名にある通り、ここはにんにくを避けて通れぬ焼き肉店です。焼き物に関しては焼く前からにんにくダレがたっぷりと絡んでおり、そのまま焼いて、つけダレにもにんにくが入っていて、さらには一皿ごとに必ずにんにくが丸のまま添えられているという、にんにくの三段逆スライド方式(©ハトヤ)だよ。

つまり明日、誰とも会う予定がないタイミングを計らなければいけなかったわけです。ラーメンで言うところの二郎系…もっとも「にんにくマシマシ!」とコールすることなく、テーブルにはにんにく塩ダレが置いてあるので、好きなだけ増せます。

それにしても禁断だろ、これは。間違いなくにんにくはどの部位にも合うのだから。いや、禁断を超越して背徳感に満ちた焼き肉です。

写真1枚目が「極ミックス」で和牛のカルビ&ハラミ&ロースの特上厳選三銃士。2枚目がタンの全部位が味わえる「タンミックス」。3枚目の「白ミックス」は小腸、ハチノス、レバー、ハツ、テールなど6種類がにんにくまみれ。4枚目の「和牛切り落とし」も十分うまいのにリーズナブル。

 


にんにくを絡めることで米泥棒から米大泥棒…いや、もはや米ルパンです。食している最中も、店前で立ち止まりながら中に入らず去っていく人たちがけっこういました。おそらく、心情的にはものすごく惹かれつつも、翌日の予定が頭に浮かび泣く泣く諦めたのだと思われます。

とはいえ、そんなにスメルが気になりません。なぜなら、ちゃんとしたにんにくを使っているからです(いいにんにくほど臭わない。これ重要、重要)。その筋では有名な、青森は田子町のにんにくだけに間違いないのだ。なので焼いたにんにくまでホクホクとおいしかった。

 



ちなみに「プルシン」とは“シンプル”を逆さにしたのが由来。メニューからして今どきなネーミングの部位(トモサンカクとかザブトンとか)はなく、すべてをにんにくの味付けで勝負といたってシンプルな方向性。

東新宿以外にも三田、中野、三軒茶屋、そしてもともとの拠点だった沖縄に2店あります。焼き肉はどの店もうまいものですが、いつもと趣向を変えてパンチの効いたシロモノが食いたい場合はこのプルシンをオススメします。

 

すBGM:Survivor『Eye Of The Tiger』

 

昨年の『アントニオ猪木をさがして』、現在公開中の『無理しない ケガしない 明日も仕事! 新根室プロレス物語』に続き4月5日よりプロレスを題材とした作品『アイアンクロー/原題:THE IRON CLAW』が全国ロードショー封切りとなる。12月22日より北米2774館で公開されるや3日間で505万ドル(約7億4200万円)のゲートをはじき出し、初登場で興行ランキング6位に。観客の満足度も96%と高評価された実績を引っさげて“来日”を果たす。

 



熱心なプロレスファンでなくともアイアンクロー(鉄の爪)がフリッツ・フォン・エリック、あるいはその家族を表す技名であるのは知っているだろう。この一家の歴史については、日本人が想像する以上にアメリカ国民の中へ深く刻まれた80年代の出来事なのだと、前述した数字を見るにつけ推測できる。

スポーツエンターテインメントとして、カルチャーとして身近にあるPRO-WRESTLINGは、アメリカの時代性や空気感とともに記憶の中へとアーカイブされる。本作の中で描かれるプロレスという魔物に憑りつかれたエリックファミリーの悲劇は、夢と成功を求める自分たちの人生と遠く離れたところで起こった“ニュース”とは認識されていないはずだ。

本作の監督・脚本を務めたショーン・ダーキンはカナダ出身ながら1980年末から1990年初頭の幼少時代をイギリスで過ごし、そのタイミングでWWF(現WWE)を入り口にプロレスなる沼へハマったという。同じ英語圏でありながらアメリカとは違った文化と環境にありながらどんどん浸かっていき、気がつけば“エリックランド”と称されたテキサスの団体・WCCW(ワールドクラス・チャンピオンシップ・レスリング=のちにWWFのライバルとなるWCWとは別のプロモーション)の虜になっていた。

ビデオを入手するのも困難な時代、ダーキンは数ヵ月遅れで書店に並ぶアメリカの専門誌「プロレスリング・イラストレーテッド」をむさぶるように読んでは写真一枚からパンパンに想像を膨らませていた。ある日、中華料理屋で食事をしながら最初のページを開くと、そこには「ケリー・フォン・エリック死去」とあった。

1981年よりダラスのローカル局がスタートさせたケーブルテレビ放送番組「ワールドクラス・チャンピオンシップ・レスリング」が録画されたビデオテープでテキサスの試合を見ていたダーキンは、ファミリーの大ファンだった。ショックと哀しみは深く、またそれがエリック一家探求の旅のはじまりとなる。子どもの頃に強く深く刻み込まれたアメリカ・テキサスの日常感と匂いは、やがて映像記録メディアやネットの発達によってより具現化され、脳内で育まれていった。

ダラスと7648kmも離れたロンドンに住んでいたダーキンが、あの頃のアメリカを忠実に描いているのは、このような原体験があったから。プロレス名門一家の史実に基づく、ドキュメンタリーに近いドラマというだけでなく、スクリーンに広がる情景によってファン以外もまず物語へ引き込まれるに違いない。

こうした監督自身の経歴を書き連ねると登場するプロレスラーたちの再現度の高さや、ダラスのプロレスのメッカ・スポータトリアム(映画字幕ではスポルタトリアム)が現代に蘇ったかのようなセット、ホンモノと見間違えるようなNWA世界ヘビー級のベルトといったマニアを唸らせるディテールも当然となる。中でもハーリー・レイスとリック・フレアーは“わかっていなければこうはならない”クオリティー。個人的にレイスが映画に登場するならジョン・C・ライリーしかいないと思っていたが、ほかにもハマリ役がいたのは衝撃だった。

だが、ダーキンが伝えようとしたのはそうした自身のマニア気質やプオタとしてのこだわりを満たすためのものではなかったことも、ストーリーを追ううちに伝わるはず。それらの列記したものは、すべてエリックファミリーを描く上で礼を尽くすためのパーツにすぎない。

物語はアイアンクローの元祖・フリッツの息子であり、デビッド、ケリー、マイクの兄であるケビンを主人公として紡がれていく。1959年、ケビンがまだ幼かった時に長男のジャック・アドキッセンJr(ジャック・アドキッセンはフリッツの本名)が雨の日に誤って高圧電流に触れ、6歳で感電死。

そのことから、ケビンは大好きな弟たちのために長男のポジションを全うするのがアイデンティティーとなる。父に顔つきも気性も似ていた一つ下の弟・デビッドと比べると穏やかで堅実な性格、何よりもファミリー全体を考える姿勢が宿命づけられていた。

これまで「呪われた一家」として世界中で何度となくドキュメンタリー化されたが、それらは悲劇的な描かれ方だった。真実とされるものを忠実になぞれば、当然そうなる。

そうした中、ダーキンが映画の手法によるドラマ仕立てでエリック一家を伝えようとしたのは、真実に基づいた物語とすることでそこへ“救い”を描けると思ったからではないか。それが一家の中で唯一人存命するケビンと自身の間合いであり、子どもの頃に多くのポジティブな感情を与えてくれたエリックファミリーへの情愛によるものと思えてならない。

どのような映画にしたいかが固まるまでダーキンはケビンとコンタクトをとらず、自分の中で方向性が決まったタイミングに連絡をしたというから、その点に関しては最初から最後までブレなかったはず。デビッドの来日中の急死、マイクの服毒自殺、ケリーのピストル自殺と、史実に基づくだけにストーリーが進むごと華やかさや栄光(ケリーのNWA世界ヘビー級王座奪取)との対比が凄まじすぎて重く突き刺さる。

事実としては映画に登場しない六男のクリスも自ら命を絶っているが、そこは描かれていない。作品としての尺の問題もあっただろうが、ダーキンの中で心のブレーキが働いた部分もあるだろう。

独り残されたケビン――そこで終わっていたら、これまでのドキュメンタリーとさほど変わらない。ファミリーとしての悲劇を題材としながら、ダーキンが“救い”を託したのは…家族だった。

愛する兄弟を次々と失ったケビンには妻と2人の息子がいた。これも史実的な話だが彼らはやがてロス・フォン・エリック(長男)&マーシャル・フォン・エリック(次男)としてプロレスラーの道を歩み始める。

叔父の悲劇を知っているにもかかわらず同じ道を選択した彼らも、想像を絶する葛藤を超えてきたと思われる。それを頭の片隅に置いて本作を見ていただければ、また受け取り方が違ってくるはずだ。

リアルをそのまま描いていたら、悲劇のままだった。そこにダーキンは映画ならではのリアリティーを持ち込んだ。事実とは違う時系列、記録に残っていないエピソードによる脚色はドキュメンタリーとかけ離れるが、大きな問題ではない。

リアルとリアリティーはよく混同されるが、リアルをより際立たせるのがリアリティーの正しい用い方である。それを誤ると、事実をスポイルしてしまう。

そして、誤ることなく用いれるかどうかのカギは、対象への愛だ。ロンドンの自宅で、本屋でダーキンはエリック一家によってたくさんの夢とLOVEをもらった。

制作に関わったスタッフや出演者たちにもそれが伝わったから、ここまで作品とファミリーに対する愛に満ちた仕上がりとなったのだろう。クルーの面々はスポータトリアム(2003年に解体されたので跡地)だけでなく家族が実際に暮らした農場など、ケビンたちの息遣いが残る地をロケーションしたという。

また、出演者たちも監督からリクエストされるまでもなく肉体改造に励み、元WWEスーパースター、チャボ・ゲレロJrの指導のもと技を受けまくり、バンプをとった。中でもケビン役の俳優、ザック・エフロンは「過酷なトレーニングと食事制限は辛かったけれど、それによってケビンとは何者なのかという深い洞察につながった。彼が自身の運動能力やプロレス、肉体に捧げようとしたものや、完ぺきを求める姿勢が見えてきたんだ」と語る。

役を全うしようとする姿勢によって、その人生の一端を疑似体験し、より自身をケビンへ近づけていった。それが、スクリーンの中で躍動するケビン・フォン・エリックとなって表れたのだ。

自身もザ・シーク役として登場するチャボは、通常の試合とは違い何テイクも撮る必要がある映画ならではのファイトシーンの過酷さを知った。そこまで俳優たちが没入したからこそ、スポータトリアムにおける毎週金曜夜の定期戦の熱狂ぶり(4500人のキャパシティーが常にフルハウス)を再現させるに至った。

プロレスファン的には、WWFによる1984年の全米侵攻開始前のテリトリー時代(それまでは各地のプロモーターが仕切っており、そのカルテルとしてNWA=ナショナル・レスリング・アライアンスがあった)の古き良きアメリカンプロレスの風景に郷愁を刺激されるはず。TVショーならではのプロモ(アナウンサーが差し出すマイクに向かって相手を挑発、罵倒する)、ガランとした冷たいドレッシングルーム、出待ちするグルーピー…ダーキンの頭の中を覗いているような気分になる。

 


プロレスファンは反射的にどのシーンも現実と結びつけた上で物語を追うと思われるが、それ以外の層がこの作品を見て何を感じるか実に興味深い。また、これを機にエリックファミリーというこのジャンルに殉じた家族が存在したことを知ってもらうのも、感慨がある。

私はケリーと父・エリックの死去をアメリカで知った。いずれも週刊プロレス在籍時代、何年に一度あるかどうかの海外取材中にその報を知ったのだ。1993年2月、フロリダへ“プロレスの神様”と呼ばれたカール・ゴッチさんのもとを訪れたさいに、ケリーの訃報が飛び込んできた。

4年後の1997年9月11日には、ダラスと同じテキサス州のアマリロへいた。テリー・ファンクの地元引退興行前日にフリッツが死去したと大会当日の朝に聞かされたのだがその日の夜、会場内はそうしたものを感じさせない雰囲気で、テキサスらしく「アマリロにプロレスが帰ってきた!」と言わんばかりにショーがスタートする前から熱気に包まれていた。

そうした喧騒が、フリッツの名が告げられるやまたたく間にやんだ。驚きの声がなかったところを見ると、多くのファンはすでに知っていたようだった。たった今までビールをあおっていた男たちが、紙コップを置いて直立し始めた。

十数秒前と同じ場所とは思えぬほど、水を打ったように静まり返る中、追悼のリングベル(ゴング)が打ち鳴らされていく。この黙とうをもって、フリッツの死が現実のものであることを知らされたのだ。

 

テンカウントゴングが終わると、一人の観客がキャンバスへ向けてテキサスの象徴である黄色い薔薇を投げ入れたが、無常にもそれは届くことなくリング下へ落ちていったのを今でも憶えている。

デビッドの代わりにテキサス・スタジアムで3万2123人の大観衆の後押しを受け、一家の悲願だったNWA世界ヘビー級のベルトをケリーが獲得した時も(1984年5月6日)、ダラスは黄色い薔薇で包まれた。セピア色とイエローに染まったあの頃の追憶…ショーン・ダーキン監督にとって『アイアンクロー』は、どんな彩りで紡がれているのだろうか――。

 

【公式サイト】映画『アイアンクロー』

各TOHOシネマズ、kino cinema新宿ほか4月5日(金)より全国にて上映