KEN筆.txt

プロレス、音楽、演劇、映画等の表現ジャンルについて伝えたいこと

【編集&執筆媒体情報】
〔書名〕月刊スカパー!2016年9月号
〔発行〕ぴあ株式会社
〔価格〕500円
〔内容〕連載「鈴木健.txtの場外乱闘」35回のゲストはプロレスリングFREEDOMS・佐々木貴。「プロレスの神様がくれたデビュー20周年記念大会」

〔書名〕月刊ローチケHMV9月号
〔発行〕ローソンHMVエンタテイメント
〔配布場所〕ローソン、ミニストップ、HMV店頭
〔価格〕無料/フリーペーパー
〔内容〕アニソンアーティスト・綾野ましろ、ヒップホップユニット「ヒルクライム」のメンバー・TOCのインタビュー記事を執筆
〔ウェブ版〕綾野ましろ「アニメの世界観とリンクしつつ自身が描く物語も歌で伝える」 TOC「ヒップホップの精神性を一般層にまで届けたい」

〔携帯サイト名〕週刊プロレスモバイル
〔コーナータイトル〕「EYEコラム」月曜更新「週モバ野郎NOW」
〔8月22日更新〕エルガマニアに贈るG1語録集番外編

〔携帯サイト〕週刊プロレスモバイル
〔コーナータイトル〕「インタビュー」小鹿会長×登坂社長トークバトル
〔期間限定更新中〕7月7日にロフトプラスワンで開催された「大日本プロレスchライヴVol.2」の再録

〔サイト名〕FIGHTING TV SAMURAI公式サイト
〔コーナータイトル〕鈴木健.txtの場外乱闘番外編
〔URL〕http://www.samurai-tv.com/jougai_full/
〔8月4日更新〕第14回ゲストはDDT・竹下幸之介選手。「21年の人生が描いてきたプロレスの惹きつける力」と題し、自身が確信しているプロレスの可能性について熱弁を振るっています

〔サイト名〕中日新聞プラス 
〔コラム名〕達人に訊け!「鈴木健.txtの文化系名古屋プロレス講座」
〔URL〕http://chuplus.jp/blog/list.php?category_id=237
〔7月31日更新〕マニアが唸り、初心者の入り口になり、案内書としても最適な『プロレス語辞典』へこめられた思い

【TV出演情報】
〔本放送〕
【本日放送】サムライTV「DDT8・28両国国技館ニアライヴ中継」:8月28日(日)19:00~24:30/リピート放送:8月29日(月)16:30~22:00
※実況:村田晴郎、コメンテーター:鈴木健.txt
http://www.samurai-tv.com/

■GAORA SPORTS「WRESTLE-1 9・18後楽園ホール大会」:9月29日(木)20:00~22:00/リピート放送:9月30日(金)27:00~5:00
※実況:高橋大輔、解説:鈴木健.txt
http://www.gaora.co.jp/wrestling/1776080

〔リピート放送〕
■サムライTV「DDT8・8~8・13新宿FACE大会」:8月28日(日)15:00~17:00、8月29日(月)14:30~16:30、8月30日(火)13:00~15:00
※実況:村田晴郎、コメンテーター:鈴木健.txt

■サムライTV「DDT7・17後楽園ホール大会」:8月28日(日)17:00~19:00
※実況:村田晴郎、コメンテーター:鈴木健.txt

■GAORA SPORTS「WRESTLE-1 8・11横浜文化体育館大会」:9月11日(日)24:00~27:30、9月27日(火)24:30~28:00、9月29日(木)12:30~16:00
※実況:高橋大輔、解説:鈴木健.txt

【ニコニコプロレスチャンネル出演情報】
ニコニコプロレスチャンネルは月額税込540円ですべての番組を視聴できます→http://ch.nicovideo.jp/nicopro

〔鈴木健.txt出演予定〕
【本日放送】WRESTLE-1 8・21新百合トウェンティ ワンホール大会中継:8月28日(日)19:00~21:00 http://live.nicovideo.jp/watch/lv273848237
※コメンタリー実況:鈴木健.txt

■河野真幸の「どーのこーの」第9回:8月29日(月)20:00~22:00 http://live.nicovideo.jp/watch/lv273790594
※MC:河野真幸、アシスタント:鈴木健.txt

■【全編無料】ニコプロ一週間8月31日号:8月31日(水)22:00~23:00 http://live.nicovideo.jp/watch/lv272458031
※レギュラーコメンテーター:高山善廣&週刊プロレス・佐藤正行編集長

■ニコプロ一週間9月6日号:9月6日(水)22:00~23:00 http://live.nicovideo.jp/watch/lv272895427
※レギュラーコメンテーター:高山善廣&週刊プロレス・佐藤正行編集長

〔タイムシフト視聴可能番組〕
■みちのくプロレス8・27新木場1stRING大会生中継 http://live.nicovideo.jp/watch/lv273659050 9月3日(土)まで公開
※コメンタリー実況:鈴木健.txt

■【G1クライマックス26打ち上げ!】【全編無料】鈴木健.txtのオールナイトニコプロ http://live.nicovideo.jp/watch/lv273763942 9月3日(土)まで公開
※MC:鈴木健.txt、ゲスト:G1クライマックス26全戦現地観戦者・山根淳さん

■アイスリボン8・26上野公園みずどりのステージ大会第1部中継 http://live.nicovideo.jp/watch/lv272895953 9月2日(金)まで公開
※コメンタリー実況:鈴木健.txt

■大日本プロレス8・25上野公園みずどりのステージ大会第2部中継 http://live.nicovideo.jp/watch/lv272895884 9月1日(木)まで公開
※コメンタリー実況:鈴木健.txt

■ニコプロ一週間8月24日号 http://live.nicovideo.jp/watch/lv271407328 9月1日(木)まで公開
※レギュラーコメンテーター:高山善廣&週刊プロレス・佐藤正行編集長

■大日本プロレス8・24上野公園みずどりのステージ大会第1部中継 http://live.nicovideo.jp/watch/lv272895802 8月31日(水)まで公開
※コメンタリー実況:鈴木健.txt

■アイスリボン8・23上野公園みずどりのステージ大会第3部中継 http://live.nicovideo.jp/watch/lv272895721 8月30日(火)まで公開
※コメンタリー実況:鈴木健.txt

■全日本プロレス8・20神戸サンボ―ホール大会中継 http://live.nicovideo.jp/watch/lv272910353 8月29日(月)まで公開
※コメンタリー実況:鈴木健.txt

■WWEサマースラム2016見ながらトーク http://live.nicovideo.jp/watch/lv273141529 8月29日(月)まで公開

■SUPER J-CUP 2016 8・21有明コロシアム大会二次会 http://live.nicovideo.jp/watch/lv272457782 8月29日(月)まで公開

テーマ:
P-MODELのファンとして、ヴァーチャルドラマー・TAINACO以外の歴代メンバーに関してはその後の活動も追うようにしている。音楽から離れた者もいるが、やはり“そっち系”を続けているケースが多い。

そんな中、突然変異的に真逆とされる方向へ進んだ元メンバーがいる。“改訂P-MODEL”のアルゴリズム(ドラム)として存在感を発揮した上領亘だ。

グラスバレーからプロとしてのキャリアをスタートさせ、ソフトバレエのサポートを経て平沢進と出逢い、そのソロライヴのドラムを務めたことでP-MODELに加入。前任者の藤井ヤスチカ(グルーヴァーズ)がエレクトリックドラムで無機質なリズムを刻んだのに対し、硬質な生ドラムを叩き小西健司のハンマービートと相まってサイバー感あふれるサウンドを現出させた。

ソロアルバムもリリースする一方、大物アーティストのサポートでアリーナクラスのステージも経験。メジャーな活動とマニアックな方向性を両立させることで独自性を誇るプレイヤーとして評価された。個人的には平沢ソロでの『夢みる機械』と『舵をとれ』や、P-MODELとしては『OH MAMA!』のリズムアレンジが出色していたと今でも思う。

そんな上領が民謡を題材に活動をしていると聞いた時は、まったく結びつかなかった。平沢も和の要素を採り入れたメロディーや歌唱法を聴かせるが、民謡という言葉は用いていない。ましてや上領は主にロックやポップスの世界を渡り歩いてきており、和の音楽との強い接点はなかったはず。

さっそく、そのプロジェクト――NeoBalladを調べると、ちょうど『会津磐梯山』のMVが発表されたばかりだった。会津若松市で生まれた自分にとっては、民謡の中でもとっつきやすかったわけだが…ひとたび聴くやそのオリジナリティーあふれるアレンジによって、血中テクノ濃度の高い我が身に心地よいグルーヴ感がかけ巡った。ちゃんとテクノで、ノリがあって、なおかつ日本人としてのDNAが駆り立てられる懐かしいサウンドだった。

音楽的に対照と見られるものを融合させれば斬新に映るだろう。でもそれが目的なのではなく、あくまでも民謡に新たな息吹を与える方法論としての現代的なアレンジであることが、この時点で感じ取られた。それはなんといっても、若狭さちのヴォーカルが核に据えられているからにほかならない。

民謡特有のコブシを効かせたヴォイスがシンセサイザーサウンドの上に乗せられながら、そこに違和感は微塵もなくむしろ水を得た魚のように音と戯れながら舞っている。さっそく2枚目のアルバム『02~黄金の里~』を購入すると、それはもはや古めかしいものとして敬遠される民謡全集とはまったくの別モノだった。

比較するならば、上領のファーストソロアルバム『鴉』(これに収録された上野洋子ヴォーカルの『君』は名曲!)よりもニューウェイヴの味がしたし、前者が実験的要素の強い方向性だったのに対しこちらはわかりやすさでも幅広い層に受け入れられる作りになっていた。

いろいろ探ってみるとNeoBalladは地方のイベントに呼ばれるとシンプルなドラムセットとオケを出すシステムを携え出向いていた。ある時は通りすがりの人々が立ち止まって眺めるような野外ステージで、ある時はお爺さんお婆さんが集まる中でビートの効いたサウンドを響かせ、若狭が一人ひとりに語りかけるかのごとく民謡を歌う。

グラスバレー時代から見続けてきた者ならば、その光景は衝撃的だったはず。“あの上領亘”が袴姿になり、数十人のオーディエンスの前で朗々とドラムを叩き、リズムを刻んでいるのだから。

いったい、どのような思いでこのNeoBalladをやっているのかを確かめたくなり2014年8月、高円寺HIGHのワンマンライヴへ足を運んだ。ステージ上の上領は、じつに楽し気で充実感に満ちた表情をしていた。P-MODELの頃はその中で自身のカラーを際立たせるかのごとく叩いていたのに対し、NeoBalladでは若狭やオーディエンスの存在を俯瞰して見られる距離感を保ちつつ、それでもプレイヤーとしての物足りなさは見受けられず…とでもいうべきか。

さらにライヴで印象的だったのは、若狭がまとう艶である。それは民謡や和服姿である以上に、ステージ上で見せる動きによるところが大きかった。

指先まで神経が行き届いた振り付け。手をかざした時の横の間合いがじつに独特で、歌と音を包み込む動きが民謡で描かれる人間ならではのやさしさやぬくもりを表現しているかのようだった。

手拍子をする者もいれば、グルーヴ感に乗せられ体を揺らす者もいる。ロックのようなカタルシスはなくとも、日常の中で忘れかけている根源的なものが染み込んでくる…それがNeoBalladの世界観だった。

国内ではまだ小規模のステージが多いNeoBalladだが、日本文化を表現することからフランス・パリで開催された「Japan Expo 2015」に招へいされ、台湾の台北でもステージを経験している。おそらく今の時点では、外国の方が先入観を持たれることなく受け入れられやすいのだろう。

伝統的な民謡と並べたら、NeoBalladのアプローチの仕方に対し同じカテゴライズとすることに異を唱える者もいるかもしれない。だが本来は土地土地に根づく世相を反映し、その物語を歌にしたものだったはず。ならば時代に合わせて表現を自由に変えていくことこそが、あるべき形だと言えまいか。

そんなNeoBalladの活動が、キングレコードの大槻淳氏の目に留まった。90年代からプロレステーマ曲のアルバムをリリースし続け、最近では新日本プロレスの田口隆祐が扮する道標明をCDデビューさせた仕掛け人とつながるとは、夢にも思わなかった。

「民謡のような純音楽はそのままやっているだけではどうしても地味なジャンルで、習っている人口も昭和の時代と比べて激減しています。これを後世に残すべく私の先輩たちも元に戻す作業をやってきたのですが、どうしても民謡をやっている人にしか響かないんです。昔は唄や音楽を習うといったら民謡や童謡、あるいはクラシックがあったと思うんですけど、今はポップスやダンスミュージックというセレクトが出てきて、テレビに出たいとかAKBに入りたいとかそちらの方にいってしまい、民謡はやってもすぐやめてしまう。

それならばもっと洗練された形で、もっと自由に日本人のDNAを揺さぶる唄を自然に歌えればいいじゃないのかと思っていたところで彼らがいたんです。さっちゃんは声だけでなく動きもきれいで、全体的に華がある。そしてまさかの上領亘…これは今でも信じられないんですけど、僕もNeoBalladを見て目の前にいても最初はピンとこなかった。ということは、リスナーはもっと衝撃だろうなと。民謡を今風にするという切り口は会社の理解を得られました。今まで通りインディーのツールで活動するのもいいけど、メジャーのツールにすることで彼らのやっていることがワンランク上がるわけです。上領さんをなんとかメジャーに引き戻して、さっちゃんにはメジャーの世界の華やかさを体感してほしかった。それによって民謡をやっている子たちにあこがれてほしいんです」

かくしてNeoBalladは、3枚の自主製作アルバムを経て『04~寿~』でメジャーデビューすることになった。過日、大槻氏のはからいで新MV収録の場を取材させていただいた。音楽専門ライターでもない何者かもわからぬ私を、2人は笑顔で迎えてくれた。

まさかP-MODEL時代『電子舟訪日行脚』というツアーで渋谷クアトロ3DAYSを見にいった自分が、このような形でそのステージ上にいた上領と出逢うとは夢にも思わなかったし、若狭のように華を持ったアーティストが会津から輩出されたのも自分のことのように誇らしかった。この収録は、NeoBalladが定期的にライヴを開催していた築地・無玄流でおこなわれたのだが、けっして大きくないステージが絵画のように栄えて映った。

それは、ここにアップしたショットを見ても伝わるだろう。撮影の合間を縫って、2人に話を聞くとその出逢いがいかに運命的なものだったかがわかった。

――小さい頃から祖母の影響で民謡を習い、接してきた若狭さんですがロックもポップスも聴いている中で、最終的に自分を表現する音楽が民謡に定まったのは何が大きかったんでしょうか。
若狭 向いているというのが一番にあるのだと思っています。演歌も歌謡曲も好きなんですけど、自分が歌うとしたらアレンジした民謡だなと大学の頃からずっと思っていました。
――民謡、ではなくアレンジした民謡ですか。
若狭 幼い頃から民謡が好きで歌っていましたが、廃れていると感じておりまして。お年寄りの音楽というイメージを持たれていて、民謡を習っているというと「そんな古臭いのやってんの?」とあしらわれる感じだったんです。それでも自然を歌ったりお国自慢を歌ったりするのが気持ちよくて、これをアレンジして表現力をつけて向き合えば自分しか歌えないやり方で伝えられるんじゃないかなと思ったんです。
――ということは、上領さんと出逢う前からそういった発想があったんですね。
若狭 はい。民謡調でロックを歌っていました。でも、民謡そのものは歌えなかったんです。アレンジできる方と巡り会えない中で、上領さんと出逢い「民謡やっているんだよね? じつは民謡をアレンジしたいと思っているんだ。できたら歌ってくれる?」と言われました。

驚くべきことに、若狭は上領と出逢うよりも前から民謡を今風にアレンジして歌う発想を持っていた。一度はそれぞれの活動があり音源化されるまでにいたらぬまま終わりながら、数年後にふとしたきっかけで再会、NeoBalladは結成されたという。

若狭は小さい頃から民謡に慣れ親しんでいたからわかるとして、上領はどの段階でその方向性を見いだしたのか。

――これまでのキャリアにおいてはニューウェイヴ、テクノ、ロックという方面で活動してきた上領さんにとっては、民謡は真逆のジャンルになります。そういった新たな試みをやろうと思ったのは、何かきっかけがあったのでしょうか。
上領 じつはそれほど新しい試みとは思っていないんです。というのも、80年代にグラスバレーでデビューした頃、オリエンタリズムを採り入れたアーティストがカッコいいなって思ったんです。JAPANとか…YMOはこちら側からの発信でしたけど、そういう表現をするバンドが多かったんですね。グラスバレーの時もP-MODELの時もやる上で影響を受けていましたし、自分の中でもこっちから発進したいという思いがその頃から常にあったんです。完全にそれを消化できる状況ではなかったんですけど、若狭に出逢って彼女は民謡が歌えると。じゃあ、昔から温めているそれをやってみようと思って1曲アレンジしてやってみたら面白い感じになったんですね。
――キャリアを重ねていくうちに行き着いたというよりも、以前から持ち続けていた発想だったんですね。
上領 エレクトロニクスに関しては80年代の音楽の手法が僕の中には流れていて、アナロングシンセの使い方とかもそのつどやってきたことで、ジャンルごとに変えてはいましたけど僕がいじるとそういう音にはなっていた。それが民謡をアレンジすることに変わっただけで、やり方は変わっていないんです。
――それこそNeoBalladのルーツをたどるとJAPANの『ブリキの太鼓』(東洋のサウンドやメロディーがフィーチャリングされたアルバム)に行き着くわけですか。
上領 そうなりますよね。グラスバレー自体が影響を受けていましたし、尊敬もしていましたから。
――民謡そのものとの出逢いは、どの段階になるんでしょう。
上領 じつはNeoBalladが初めてなんです。だから正直言って、民謡文化そのものがわからなかったですね。でも、こういうものだと教えてもらって、そこからネタ探しが始まるわけです。ネタ探しをすると当然聴くようになる。いろいろ勉強して、なるほどなーと思うことが山のようにあって、それが現在にいたっている感じです。


これも意外な回答だった。真逆と思われていたテクノ/ニューウェイヴと民謡が、元をたどると上領の中ではつながっていたのだ。

民謡を音楽としてやるにあたり、上領はメロディーだけでなくその背景にある物語や歌詞の意味まで勉強したのだという。「そうでないとできないんですよ。僕も最初の頃は安易に考えていた部分があったんですけど、地域に密着している分すごく大事にされているとか、先人たちが育ててきて残っているものとかをある程度理解していないとダメなんだとわかってきた」

そして2人は、民謡の魅力とその背景にある文化を伝えるためならば、固定した価値観にとらわれぬ信念を共有している。

上領 地元の方に言わせたら「それは違う」となるかもしれませんけど、メロディーラインとか守るべき部分は守った上で自分たちなりの解釈をしていけばいいんじゃないかって。最終的には伝わるかどうかが重要であって、民謡をいかに聴いてもらうかが僕らの目指している部分ですから。ドラムを叩いて、ギターも使って民謡をやるということは、裏を返せば元のものをどこまで大事にできるかが勝負だと思うんです。それで地元の方に面白いですねって言ってもらえたら…何ものにも代え難いですよ。地方にいくと、ご年配の方々とか車イスに座っているお婆さんがテクノビートに乗って体を揺らしているんです。元のメロディーラインを大事にしているから一緒に歌ってもらえる。
――グラスバレー時代やビッグアーティストのサポートなどで何千、何万というオーディエンスの前で歓声を浴びていた上領さんが、町のイベントに呼ばれてお爺さんお婆さんが座る前でシンプルなドラムセットを叩いているのを初めて見た時、心を揺さぶられました。これができるのは素晴らしいと思いました。
上領 見る人によっては「上領、落ちたな」という声もあるでしょう。でも自分にとってはやり甲斐がすごくあって。要はふれあいなんです。ふれあいってすっげえ大事なんだなって、この活動を始めてみてよくわかりました。終わったあとに「よかったよ」って声をかけてもらえたり対話ができたりするのが、いいなあって。年配の方に「なんかよくわかんないけど、あのピコピコするのがいいんだよなあ」って言われたりして、とても嬉しかった。

若狭 私はお婆ちゃん子で、祖母との思い出がいっぱい詰まっているのが民謡なんです。その分、曲に対する思い入れが強くて、アレンジしているといってもお借りしている曲という受け取り方をしています。その分、地元にいって一緒に楽しめる…民謡にはそういうパワーがあります。流派に属さずやっているので、いろいろなことにチャレンジできるのが楽しいところでもあります。和物の習い事も含め守っている方がいて、代々受け継がれてきているものをある意味壊してやるのは、愛情を感じてもらわないといけないと思っているので、曲に対し尊敬の心を持ちながら、背景にある人々の気持ちを考えて採り入れられたらいいなと。


なぜ何千人規模のオーディエンスの前でプレイした経験を持つ上領が小さなイベントステージでドラムを叩いているか、これでご理解いただけただろう。このことはグラスバレーやソフトバレエ、P-MODELのファンにも知ってほしい。

また、若狭の舞いに関してはまったくのオリジナルである事実にも驚かされた。日本舞踊を習い始めのたのはごく最近らしく、ちゃんとした下地があるとばかり思っていたところ「曲によって決まった振り付けもなく、その時の気分で空気をつかむ仕草を、自分なりに表現してやっている感じ」なのだという。

「彼らがやってきたことはそのままでいいと思うので、それをクールジャパンとして海外へ持っていきたい。哀しいことに日本人には受けずとも、外国の方が日本の伝統に詳しかったりするので、外国で認められたということを逆輸入して日本の人にも認めさせたい。ウチの大塚文雄さんという民謡の超大物に聴かせたところ『これが今の民謡だろ』と言ってくださいました。やはり、いいものは形を変えてでも知ってほしいし、日本人の文化として誇りを持ってほしい。それは手を変え品を変えでいいと思うんです。ほかの国の人には絶対にできないことなんで、私は自信を持って世界に出せます」(大槻氏)

このMV収録後には2度目となるJapan Expoへ出演。ニューアルバムは8月3日にリリースされ、8月18日にレコ発ワンマンライヴもおこなわれる。新しいモノ好きにも、伝統的な価値観を愛する者にもわけ隔てなく伝わる音と歌、そして老若男女が味わえる艶と美――NeoBallad(新たなる民謡)は、あなたにとって音楽以上の何かになるはずだ。(文中メンバー敬称略)


◆8月3日(水)キングレコードより4th Album『04~寿~』-ZeroYon Kotobuki-発売開始
【収録曲】
大漁唄い込み~斎太郎節~ (宮城民謡)
沢内甚句 (岩手民謡)
三条凧ばやし (新潟民謡)
会津磐梯山 ~寿Ver~ (福島民謡)
潮来あやめ踊り (茨城民謡)
黒田節 (福岡民謡)
長崎のんのこ節 (長崎民謡)
秩父音頭 (埼玉民謡)
越中おわら節 (富山民謡)
山形大黒舞 (山形民謡)
10曲入り2500円(税込み)



◆8月18日(木)赤坂グラフィティ「NeoBallad 04~寿~レコ発ワンマンライヴ 天地人神心Vol.6」
【場所】東京都港区赤坂3-21-10赤坂NSビルB1 
【OPEN/START】18:30/19:30
【Guest】 津軽三味線.寂空/Gt.夢時/篠笛・お囃子.ミカド香奈子/VJ.岩下達朗
【入場料金】前売り4000円、当日4500円(+1Drink600円)※中学生以下は保護者同伴
のもとドリンク代のみで入場可
【発売場所】チケットぴあ、赤坂グラフィティ
【メール予約】neoballad@gmail.com
【公式サイト】
http://www.neoballad.com/

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7月8&9日にニコニコプロレスチャンネルにて実施しました「プロレステーマ曲グランプリ2016」と「ベスト・オブ・ザ・スーパー技2016」のトーナメント結果です。事前にファンの皆様からエントリー曲と技のリクエストを募り64曲・技が決定。1回戦から決勝戦まで3位決定戦を含む64回分のアンケート投票を実施し、勝ち曲・技を決めていった結果、以下のようになりました。

今回初の試みとなった技の方は、派生技や同型異名の技も含めての投票であり、誰が使っているかも想定した上で技vs技を選手vs選手に置き換えて楽しむというやり方も自然に生まれました。

プロレスファンが選ぶ今年のプロレス神曲は関本大介のテーマ曲に、最高の技はジャーマン・スープレックスとなりました。ジャーマンに関しては、やはり「プロレスの芸術品」というフレーズがアドバンテージになっているようでした。

どの組み合わせも極力意味のあるものにしましたので、改めて1回戦からひとつずつ確認していただければと思います。なお、遅れ馳せながらエントリー曲リクエストに応募いただいた方、そして当日アンケートに参加していただきました視聴者の皆様に心より御礼を申し上げます。

「プロレステーマ曲グランプリ2016」
▼トーナメント1回戦
●A・猪木「炎のファイター」vs新日本プロレス「The Score」○
○M・TOKYO&平田一喜「TOKYO GO!」vsS・マイケルズ「Sexy Boy」●
●ゼウス「祭」vs旭志織「スーパーヒーロー」○
○獣神T・ライガー「怒りの獣神」vsK・カシン「スカイウォーク」●
●後藤洋央紀「覇道」vs大家健「BAD COMMUNICATION」○
●黒潮“イケメン”二郎「HELLO」vsT・J・シン「サーベルタイガー」○
●A・ザ・ジャイアント「ジャイアントプレス」vs梶トマト「トマトダンス」○
※トマトが223cmのアンドレにレッドアイをかけて3カウント奪取という妄想で盛り上がる
●ベストフレンズ「フレンズ」vsR・スティムボート&維新力「Rydeen」○
○木高イサミ「不死身のエレキマン」vsDDTオープニング「Get Ready」●
●宮原健斗「BREAK HEART」vs真霜拳號「Shadows on the east」○
○柴田勝頼「Takeover」vs永田裕志「MISSON BLOW」●
○みちのくプロレス「みちのくプロレスのテーマ」vsS・オースチン「I Won't Do What You Tell Me」●
●田口隆祐「MASTER OF DROPKICK」vsバラモン兄弟「バラモンのうた」○
●FMW「FMWテーマソング」vs大日本プロレス「BJW Deathmatch wars」○
●丸藤正道「HYSTERIC」vsハヤブサ「Fight With Dream」○
●ジ・アンダーテイカー「Rest in Peace」vs藤原喜明「ワルキューレの騎行」○
●B・ブロディ「移民の歌」vs桜庭和志「SPEED TK REMIX」○
○ザ・ファンクス「スピニング・トーホールド」vs引き分けのテーマ「カクトウギのテーマ」●
○M・マスカラス「スカイハイ」vsA・ザ・ブッチャー「吹けよ風、呼べよ嵐」●
●伊東竜二「DRAGON ROAD」vs関本大介「Crown of winners」○
●高木三四郎「FIRE」vs鈴木みのる「風になれ」○
○トリプルH「THE GAME」vsザ・ロック「If You Smell」●
○UWF「UWFメインテーマ」vs高田延彦「Training Montage」●
○棚橋弘至「HighEnergy」vsHARASHIMA「SOUMATO」●
○橋本父子「爆勝宣言」vs大森隆男&征矢学「Get Wild」●
●G・馬場「王者の魂」vs天龍源一郎「Thunder Storm」○
○長州力「パワーホール」vsJ・鶴田「J」●
●武藤敬司「HOLDOUT」vs小橋建太「GrandSword」●
○三沢光晴「スパルタンX」vs前田日明「キャプチュード」●
●オカダ・カズチカ「RAINMAKER」vs内藤哲也「STAR DUST」○
○中邑真輔「Subconcious」vsJ・シーナ「The time is Now」●
○S・ハンセン「サンライズ」vsH・ホーガン「Real American」●

▼トーナメント2回戦
●新日本プロレス「The Score」vs真霜拳號「Shadows on the east」○
●旭志織「スーパーヒーロー」vs梶トマト「トマトダンス」○
○M・TOKYO&平田一喜「TOKYO GO!」vsR・スティムボート&維新力「Rydeen」●
○獣神T・ライガー「怒りの獣神」vs大家健「BAD COMMUNICATION」●
●ザ・ファンクス「スピニング・トーホールド」vsハヤブサ「Fight With Dream」○
●みちのくプロレス「みちのくプロレスのテーマ」vsM・マスカラス「スカイハイ」○
○天龍源一郎「Thunder Storm」vs木高イサミ「不死身のエレキマン」●
●大日本プロレス「BJW Deathmatch wars」vs関本大介「Crown of winners」○
○鈴木みのる「風になれ」vsT・J・シン「サーベルタイガー」●
●UWF「UWFメインテーマ」vs武藤敬司「HOLDOUT」○
○長州力「パワーホール」vs藤原喜明「ワルキューレの騎行」●
○S・ハンセン「サンライズ」vsトリプルH「THE GAME」●
○棚橋弘至「HighEnergy」vs柴田勝頼「Takeover」●
○三沢光晴「スパルタンX」vsB・ブロディ「移民の歌」●
●中邑真輔「Subconcious」vs内藤哲也「STAR DUST」○
※2014年の優勝曲が2回戦で敗退!
●橋本父子「爆勝宣言」vsバラモン兄弟「バラモンのうた」○

▼トーナメント3回戦
○M・TOKYO&平田一喜「TOKYO GO!」vs梶トマト「トマトダンス」●
○獣神T・ライガー「怒りの獣神」vsハヤブサ「Fight With Dream」●
●真霜拳號「Shadows on the east」vs関本大介「Crown of winners」○
●M・マスカラス「スカイハイ」vsバラモン兄弟「バラモンのうた」○
○天龍源一郎「Thunder Storm」vsS・ハンセン「サンライズ」●
※前年度優勝曲が敗退!
●武藤敬司「HOLDOUT」vs内藤哲也「STAR DUST」○
○鈴木みのる「風になれ」vs棚橋弘至「HighEnergy」●
●長州力「パワーホール」vs三沢光晴「スパルタンX」○

▼トーナメント準々決勝
●M・TOKYO&平田一喜「TOKYO GO!」vs天龍源一郎「Thunder Storm」○
○獣神T・ライガー「怒りの獣神」vs三沢光晴「スパルタンX」●
○関本大介「Crown of winners」vs鈴木みのる「風になれ」●
○バラモン兄弟「バラモンのうた」vs内藤哲也「STAR DUST」●

▼トーナメント準決勝
○関本大介「Crown of winners」vs獣神T・ライガー「怒りの獣神」●
○天龍源一郎「Thunder Storm」vsバラモン兄弟「バラモンのうた」●

▼3位決定戦
○バラモン兄弟「バラモンのうた」vs獣神T・ライガー「怒りの獣神」●

▼トーナメント決勝戦
●天龍源一郎「Thunder Storm」vs関本大介「Crown of winners」○
※Crown of winnersは初優勝


「ベスト・オブ・ザ・スーパー技2016」
▼トーナメント1回戦
○エルボーvsチョップ●
●パワーボムvsドロップキック(ミサイルキック)○
○外道クラッチvs首固め●
○ワキ固めvs極楽固め●
○パイルドライバーvs卍固め●
○足4の字固めvsアンクルホールド●
○逆エビ固め(逆片エビ固め)vsヨーロピアンクラッチ●
○スタナー(RKO、エースクラッシャー、ダイアモンドカッター)vs3D●
●STFvsDDT○
○ジャーマン・スープレックス(クロスアーム式、だるま式)vsアルゼンチン・バックブリーカー●
○毒霧vs呪文●
●ボウリング攻撃vsフェニックス・スプラッシュ○
●雁之助クラッチvsツームストーン・パイルドライバー○
●コブラツイストvsラ・ケブラーダ○
●アイアンクローvsキドクラッチ○
○スリーパーホールドvs逆さ押さえ込み●
●フロントキック(ビッグブーツ)vsローリングソバット○
●ダイビング・ヘッドバットvsダイビング・ニードロップ○
○ムーンサルト・プレスvsシャイニング・ウィザード●
●パワースラムvsクロスフェース○
●セントーンvsシューティングスター・プレス○
○カーフブランディングvsジャイアントスイング●
●リップロックvs腕ひしぎ十字固め○
●延髄斬りvsトラースキック(スーパーキック、スウィート・チン・ミュージック)○
○フランケンシュタイナーvsテキサス・クローバー・ホールド●
●スピアーvsダイビング・ボディープレス(フロッグスプラッシュ、ハイフライフロー、スーパーフライ、マッドスプラッシュ)○
○タイガードライバーvsチキンウイング・フェースロック●
○ダブルアーム・スープレックスvsキャプチュード●
○バックドロップvsブレーンバスター●
△アックスボンバーvsサソリ固め(シャープシューター)△
※アンケート結果が50.0%-50.0%だったため両技とも2回戦に進出しトリプルスレットマッチで再度対戦

○ラリアット(クローズライン)vsチョークスラム●
●レインメーカーvsキンシャサ○

▼トーナメント2回戦
○エルボーvsダイビング・ニードロップ●
●ドロップキックvsダイビング・ボディープレス○
○外道クラッチキドクラッチ●
○腕ひしぎ十字固めvsワキ固め●
○パイルドライバーvsツームストーン・パイルドライバー●
○足4の字固めvsクロスフェース●
○逆エビ固めvsスリーパーホールド●
○スタナーvsキンシャサ●
○DDTvsジャイアントスイング●
○ジャーマン・スープレックスvsダブルアーム・スープレックス●
●毒霧vsフランケンシュタイナー○
○フェニックス・スプラッシュvsラ・ケブラーダ●
●タイガードライバーvsバックドロップ○
●ローリングソバットvsトラースキック○
アックスボンバーvs●サソリ固めvsラリアット○
○ムーンサルト・プレスvsシューティングスター・プレス●

▼トーナメント3回戦
●エルボーvsラリアット○
○ダイビング・ボディープレスvsフェニックス・スプラッシュ●
●フランケンシュタイナーvsムーンサルト・プレス○
●スタナーvsトラースキック○
●外道クラッチvs腕ひしぎ十字固め●
●パイルドライバーvsDDT○
●足4の字固めvs逆エビ固め○
○ジャーマン・スープレックスvsバックドロップ●

▼トーナメント準々決勝
○トラースキックvsDDT●
●ダイビング・ボディープレスvsムーンサルト・プレス○
○腕ひしぎ十字固めvs逆エビ固め●
●ラリアットvsジャーマン・スープレックス○

▼トーナメント準決勝
●トラースキックvsムーンサルト・プレス○
○ジャーマン・スープレックスvs腕ひしぎ十字固め●

▼3位決定戦
●トラースキックvs腕ひしぎ十字固め○

▼トーナメント決勝戦
○ジャーマン・スープレックスvsムーンサルト・プレス●


「30時間ニコプロ~プロレス愛は地球を救う3」タイムシフト
<1枠目>http://live.nicovideo.jp/watch/lv2675064617月16日(土)まで公開
オープニングノンストップインタビュー:三田佐代子
プロレステーマ曲グランプリ前編(1&2回戦48試合)
G1クライマックス全公式戦勝敗予想会
早朝試合中継:ドラディション7・4後楽園ホール大会
希月あおいのモーニングハッピー
俺たちの週刊プロレスNOW:井上光記者、松川浩喜記者
視聴者発案企画番組 プロレス団体で働く人々:木原文人リングアナウンサー(全日本プロレス)、平井丈雅代表(リアルジャパンプロレス)
夢の興行を妄想せよ~業界識者によるプロレスドラフトPART2:ナオミ・スーザン元ユニオンプロレス代表、東京スポーツ・岡本佑介記者、2代目須山浩継(翔太)
<2枠目>http://live.nicovideo.jp/watch/lv267506668 7月17日(日)まで公開
ベスト・オブ・ザ・スーパー技(1回戦~決勝64試合)
G1クライマックス出場選手インタビュー:天山広吉
プロレステーマ曲グランプリ後編(3回戦~決勝16試合)
SUPER J-CUP 2016トーナメント勝敗予想会
30時間ニコプロEDトーク
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テーマ:
一昨年の「28時間ニコプロ」(終わってみたら29時間半でしたが)、昨年の「30時間ニコプロ」に続き、今年も7月8日(金)~9日(土)に「30時間ニコプロ~プロレス愛は地球を救う3」を放送します。今回は30時間の中に10プログラムをラインナップ。全番組でMC、コメンタリー実況、進行をやらせていただきます。

〔7月8日(金)〕
18:00~19:30 オープニングノンストップインタビュー:三田佐代子
20:00~22:30 プロレステーマ曲グランプリ前編(1&2回戦48試合)
23:00~05:30  G1クライマックス全公式戦勝敗予想会
〔7月9日(土)〕
06:00~08:30 早朝試合中継:ドラディション7・4後楽園ホール大会
09:30~11:00 希月あおいのモーニングハッピー
11:30~13:00 俺たちの週刊プロレスNOW:井上光記者、松川浩喜記者
13:30~15:00 プロレス団体で働く人々:木原文人リングアナウンサー(全日本プロレス)、平井丈雅(リアルジャパンプロレス代表)
15:30~17:30 夢の興行を妄想せよ~業界識者によるプロレスドラフトPART2:識者は当日発表
18:00~20:00 ベスト・オブ・ザ・スーパー技(1回戦~決勝64試合)
20:30~22:00 G1クライマックス出場選手インタビュー:天山広吉
22:30~23:30 プロレステーマ曲グランプリ後編(3回戦~決勝16試合)
23:30~24:00  30時間ニコプロEDトーク
※プログラム内容については予告なく変更される可能性があります。また進行により時間帯が変更となる場合もございますのでご了承ください
1枠目(8日18:00~9日18:00)
http://live.nicovideo.jp/watch/lv267506461
2枠目(9日18:00~24:30)
http://live.nicovideo.jp/watch/lv267506668

URLが2枠に分かれているのは、ニコニコのシステム上、1枠最大24時間までしか放送できず、分けたためです。番組が延びても対応できるよう、各番組のあとに30分間(「早朝試合中継」と「希月あおいのモーニングハッピー」の間のみ1時間)の余裕を持っています。

プロレスドラフトは、世界中のプロレスラーがフリーになったという前提のもと「もしも自分が興行を開催する場合に出したい選手、組みたいカード」を妄想する企画です。選手をいくつかのカテゴリーに分け、ほしい選手をリストアップ。その場合、他の参加者と重なった場合は抽選(ドラフト)により獲得者を決め、外れた場合は代わりの選手を指名していきます。最終的に獲得した選手により全カードを組んで発表。ニコプロ視聴者のアンケートにより、もっとも見たい興行が決められるというものです。昨年は菊タロー選手、小佐野景浩さん、佐藤正行・週刊プロレス編集長に参加いただき大いに盛り上がりました。

G1クライマックス全公式戦勝敗予想会と並ぶ30時間ニコプロの目玉企画「プロレステーマ曲グランプリ」は2回に分けて1回戦~決勝戦を進めていきます。視聴者リクエストにより選ばれたエントリー曲64曲がトーナメントを争う方式。勝敗は単純明快、アンケート機能により「どちらの曲が好きか」の投票を続けていきます(音源は流しませんので、ご了承ください)。より票数を獲得した曲が勝ち進み、今年の神曲をプロレスファンが決めます。エントリー曲数が昨年までの128曲から半数になり、よりし烈な争いとなります。


一昨年は中邑真輔「Subconcious」が橋本真也「爆勝宣言」に勝ち、第1回優勝曲に選ばれました。そして昨年はスタン・ハンセン「サンライズ」がバラモン兄弟「バラモンのうた」の猛威を振り切り優勝。今年も視聴者の皆さんにリクエストをいただいた上で64曲を決定後、ニコプロ運営がランダムに1回戦の組み合わせをおこないました。1回戦全32試合の組み合わせは以下。赤字は今回初エントリーとなった3曲です。

★A・猪木「炎のファイター」vs新日本プロレス「The Score」
※オープニングから新日本創立者と団体の歴史的対決
☆M・TOKYO&平田一喜「TOKYO GO!」vsS・マイケルズ「Sexy Boy」
※派手さならいずれも譲らぬ一戦
ゼウス「祭」vs旭志織「スーパーヒーロー」
※いずれも中継時に流れるとコメントに歌詞職人が登場する
☆獣神T・ライガー「怒りの獣神」vsK・カシン「スカイウォーク」
※90年代後半の新日本ジュニア対決
★後藤洋央紀「覇道」vs大家健「BAD COMMUNICATION」
※どこか共通項があるように思える2人
☆黒潮“イケメン”二郎「HELLO」vsT・J・シン「サーベルタイガー」
※イケメン入場シーンのあとにシンが荒れ狂って登場したら…
★A・ザ・ジャイアント「ジャイアントプレス」vs梶トマト「トマトダンス」
※トマトダンスのあとに人間山脈がやってくる。確実に怒ってやってくる
ベストフレンズ「フレンズ」vsR・スティムボート&維新力「Rydeen」
※一般的にもヒット曲同士
★木高イサミ「不死身のエレキマン」vsDDTオープニング「Get Ready」
※BASARAvsDDT本体
宮原健斗「BREAK HEART」vs真霜拳號「Shadows on the east」
※三冠戦の再現
★柴田勝頼「Takeover」vs永田裕志「MISSON BLOW」
※NEVER無差別級戦線で激闘を繰り広げてきた2人
☆みちのくプロレス「みちのくプロレスのテーマ」vsS・オースチン「I Won't Do What You Tell Me」
※過去にみちのくはストーンコールド招へいを画策した史実あり
★田口隆祐「MASTER OF DROPKICK」vsバラモン兄弟「バラモンのうた」
※いつの間にかバラモン兄弟に近い方へ来てしまった方が直接対決
☆FMW「FMWテーマソング」vs大日本プロレス「BJW Deathmatch wars」
※人気団体テーマ曲同士が雌雄を決する
★丸藤正道「HYSTERIC」vsハヤブサ「Fight With Dream」
※ハヤブサさんへ強い思い入れを持っていた丸藤が夢見ていた一戦
☆ジ・アンダーテイカー「Rest in Peace」vs藤原喜明「ワルキューレの騎行」
※入場シーンからお互いの世界観のぶつかり合い
★B・ブロディ「移民の歌」vs桜庭和志「SPEED TK REMIX」
※これも超異次元対決。総合格闘技全盛時に超獣が生きていたら…
☆ザ・ファンクス「スピニング・トーホールド」vs引き分けのテーマ「カクトウギのテーマ」
※昭和の全日本の香り漂う一戦
★M・マスカラス「スカイハイ」vsA・ザ・ブッチャー「吹けよ風、呼べよ嵐」
※これも昭和の全日本の風景を再現
☆伊東竜二「DRAGON ROAD」vs関本大介「Crown of winners」
※大日本のデスマッチ×ストロングBJ二大エース対決
★高木三四郎「FIRE」vs鈴木みのる「風になれ」
※東京ドームでの一騎打ちを約束している2人
☆トリプルH「THE GAME」vsザ・ロック「If You Smell」
※WWEアテテュード時代の名勝負を再び
★UWF「UWFメインテーマ」vs高田延彦「Training Montage」
※U系テーマ曲で特に人気が高い曲が激突
☆棚橋弘至「HighEnergy」vsHARASHIMA「SOUMATO」
※昨年のDDT両国大会における一騎打ちの再戦はテーマ曲で
★橋本父子「爆勝宣言」vs大森隆男&征矢学「Get Wild」
※夢のタッグマッチが実現するのもテーマ曲GPならでは
☆G・馬場「王者の魂」vs天龍源一郎「Thunder Storm」
※タッグでは馬場さんに勝っている天龍さんがシングルでも勝利なるか
★長州力「パワーホール」vsJ・鶴田「J」
※“俺たちの時代”が蘇る名曲対決
☆武藤敬司「HOLDOUT」vs小橋建太「GrandSword」
※こちらも現実では実現していないドリームシングルマッチ
★三沢光晴「スパルタンX」vs前田日明「キャプチュード」
※時空を超えた極上の対決。テーマ曲も人気は五分
☆オカダ・カズチカ「RAINMAKER」vs内藤哲也「STAR DUST」
※今年の新日本上半期のメインストリームになった2人がここでも激突
★中邑真輔「Subconcious」vsJ・シーナ「The time is Now」
※WWE入りを果たしても根強い人気を誇る中邑曲。近いうちにこの一騎打ちは実現するか
☆S・ハンセン「サンライズ」vsH・ホーガン「Real American」
※昨年の優勝曲は往年のライバルとの1回戦。ホーガンが足元をすくうか!?

第1回全結果:https://www.facebook.com/notes/825344454163697
第2回全結果:http://ameblo.jp/kensuzukitxt/entry-12053178761.html


そして今回初開催となる「ベスト・オブ・ザ・スーパー技」の方もテーマ曲GP同様ファンの皆様にリクエストしていただき(同系の技は合算)64の技をエントリー。こちらもアンケート機能により「どちらの技が好きか」の投票を続けていきます。果たしてプロレスファンが選ぶ最高のプロレス技は何になるのか? トーナメント1回戦の組み合わせは以下。

★エルボーvsチョップ

☆パワーボムvsドロップキック
★外道クラッチvs首固め
☆ワキ固めvs極楽固め
★パイルドライバーvs卍固め
☆足4の字固めvsアンクルホールド
★逆エビ固めvsヨーロピアンクラッチ
☆スタナーvs3D
★STFvsDDT
☆ジャーマン・スープレックスvsアルゼンチン・バックブリーカー
★毒霧vs呪文
☆ボウリング攻撃vsフェニックス・スプラッシュ
★雁之助クラッチvsツームストーン・パイルドライバー
☆コブラツイストvsラ・ケブラーダ
★アイアンクローvsキドクラッチ
☆スリーパーホールドvs逆さ押さえ込み
★フロントキックvsローリングソバット
☆ダイビング・ヘッドバットvsダイビング・ニードロップ
★ムーンサルト・プレスvsシャイニング・ウィザード
☆パワースラムvsクロスフェース
★セントーンvsシューティングスター・プレス
☆カーフブランディングvsジャイアントスイング
★リップロックvs腕ひしぎ十字固め
☆延髄斬りvsトラースキック
★フランケンシュターナーvsテキサス・クローバー・ホールド
☆スピアーvsダイビング・ボディープレス
★タイガードライバーvsチキンウイング・フェースロック
☆ダブルアーム・スープレックスvsキャプチュード
★バックドロップvsブレーンバスター
☆アックスボンバーvsサソリ固め
★ラリアットvsチョークスラム
☆レインメーカーvsキンシャサ

なお、30時間ニコプロに関する追加情報はニコプロHP及び同ツィッターで随時発信しますのでチェックを。それでは8~9日、体調と相談の上、無理することなく見たい番組、参加したい企画をチョイスしてお付き合いください。よろしくお願いします。
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ジプシー・ジョーさんの訃報が海外から伝わってきた。6月15日(現地時間)、82年間に及ぶ放浪の旅を終えたという。哀悼の意とともに、最後の来日となった2010年12月に取材したリポートを加筆・修正しここに再録する。SMASH公式電子書籍『SMASH×SMASH No.2』に掲載されたものだが、ジョーさんの伝説を一人でも多くの方に知っていただくべく編集を担当した佐久間一彦・元週刊プロレス編集長から承諾をいただいた。



★   ★   ★

「おい、昨日は凄かったよ! ジプシー・ジョーっていうやつがいるんだけどさ、そいつがイスで背中をバンバン叩かれても全然平気でさ、相手に向かってに気をつけするんだぜ」

曖昧な記憶をたどっていくと中学生の頃、クラスメイトのそんな言葉に突き当たる。当時、私はジャイアント馬場とアントニオ猪木、そしてジャンボ鶴田。“ガイジン”ではアブドーラ・ザ・ブッチャーにミル・マスカラスといった名前を知る程度のプロレスとは縁のない日々を送っていた。

教室の中で男子が繰り広げるプロレスごっこを横目で見ているような生徒だったのだが、そのうちのひとりが会場まで足を運ぶほどのファンで、前日に見てきた報告を始めたのだ。彼は「マスカラスが来る!」と興奮していたが、第一声で聞かれたのは別のリングネームだった。

ジプシー・ジョー――顔や姿を見ていないのに、名前のインパクトは強烈だった。それまでの知っていた外国人選手のリングネームとは明らかに匂いが違った。

「おまえさあ、マスカラスが見たいからいったんじゃないの?」「マスカラスもカッコよかったけど、驚いたのはジプシー・ジョーの方だよ。ありゃあ、本物のジプシーだな」

くだんの友人は、その後もジョーについて熱く語り続けた。口に鉈(ナタ)のようなものを加えて入場してきたこと。髪はおよそ手入れなどされていなさそうで、小さい体を猫背にして見上げるように相手をにらむこと。そして背中をイスで叩かれるや一転して背筋を伸ばし、今度は頭を殴ってみろと言わんばかりにアピールすること…。

数日後、全日本プロレス中継にチャンネルを合わせると、ジプシー・ジョーを名乗る男がブラウン管の中にいた。友人の言っていた通りの風貌で、この日は脳天をイスで一撃され流血しながらも、やはり気をつけしてみせた。

現在、30代後半から40代後半にかけた年代のプロレスファンは、みな同じような原体験を持っているはずである。ブッチャーは毒針エルボードロップ、マスカラスは空中殺法を連想するのに対し、ジョーは自分の技ではなくやられる姿がサムネイルのように植えつけられた。

当時、そうした価値観で認知されたプロレスラーは、ジョーだけだったように思う。みんなが相手を攻めることで地位を確立していた日本のプロレスシーンにおいて、まったく逆の方法で記憶に刻まれた。

時は流れ、私は週刊プロレスの記者としてリングの神々たちを追うようになった。もう、すっかり過去のスターとして思い出の中の住人と化したジョーの実像を目の当たりとしたのは1991年8月、W★INGの旗揚げシリーズだった。

6年ぶりに来日する直前、ジョーはテネシー州ナッシュビルのバーで腹部を銃撃されるアクシデントに見舞われるが、手術で縫合した箇所を写真に撮り、それをW★INGへ送りつけ「俺は大丈夫だ。試合に出るとファンに伝えてくれ」とアピールしてきた。イスはおろかピストルで撃たれてもリングに上がろうとする彼を、人は不死身と表す以外になかった。

W★INGと、その後のW★INGプロモーションにも上がり続けたジョーは、10年ぶりの金網デスマッチに身を投じ“極悪魔王”の異名をほしいままにするミスター・ポーゴと激突。敗れたものの、ここでも脳天へのイス攻撃を何発も受けてはマニアのファンを狂喜させた。

ボサボサに痛んだ髪と、血でグシャグシャになった顔面。まさにボロボロなその姿には、昭和のレスラーからしかにじみ出ない哀愁があった。こうしてジョーは平成のインディーシーンにも名を刻み、2002年8月のIWAジャパン川崎球場大会にて引退セレモニーをおこなう。

ジョーを招へいしていた故ビクター・キニョネス(プエルトリコのプロモーターで、当時はIWAジャパン代表)のはからいによるものだった。これを最後に来日は途絶えたが、アメリカ国内ではインディープロモーションのリングにスポットで出場しているとの話は風の便りで伝わってきていた。

とはいえ77歳となった今、約8年ぶりに来日するばかりかプレイヤーとしてリングに上がり、しかも現役バリバリのTAJIRIとシングルマッチで対戦すると発表された時はさすがに驚いた。誰よりも、ジョー自身がこのトシになって日本に来られるとはまったく考えてもいなかったという。

「俺が今までやってきたようなスタイルからレスリングは変わった。今のボーイズには、今のレスリングがある。そういう中で自分が呼ばれて、いったい何ができるのだろうかと考えたよ。でも、気持ちだけは18歳の頃とまったく変わっていない。周りはそのトシでできるはずがないと言うだろうが、俺に言わせれば年齢は関係ない。むしろレスリングが移り変わってしまったことの方が俺にとってはクリアすべきテーマなんだ。俺の血の中にはレスリングが染み込んで体中を循環している。体を血が巡るかぎりは、レスリングを続けるのが当然だと思っている」

無事日本へ着いた翌日、新宿歌舞伎町にあるホテルのロビーへ現れた放浪の殺し屋は、Tシャツ一枚にスソのあたりが破けたジーンズ、そしてキャップというスタイルで取材に臨んだ。そして、こちらが聞くよりも先に77歳の現在もプロレスを続けている理由を口にした。

年老いたからやめるのではなく「自分がサンタマリアに抱かれる時まで」当たり前のようにあるもの。それがジョーにとってのプロレスだった――。

ジプシー・ジョーこと本名ヒルベルト・メレンデスは1933年12月2日、南米の楽園プエルトリコにて生を受けて、5歳の時に家族でニューヨークへ移住したというのが“史実”とされている。本人に確認したところ「記憶が曖昧」とのことだったので、一応それに基づいて話をたどるようにした。

家族でアメリカへ移ったのは、極貧だったからにほかならない。このままプエルトリコへいるよりも大国の方が、まだ可能性があると思った。

「何しろ家にテレビがないほどだったから、テレビでレスリングの番組を見るという習慣がなかった。はじめてレスリングを見たのは、ガキの頃に地元の鳥小屋みたいなところでやったのを覗き見した記憶がある。きっかけは忘れたが、会場にいったらドアが少しだけ開いていて、そこから覗くことができたんだ」

それが原風景として残ったため、ジョーの中にプロレスはスモールビジネスという認識がこびりついてしまう。貧困からの脱出を夢見る少年にとって、大金をつかむ夢の世界は野球だった。

16歳になると、ジョーはフロリダへ移りプエルトリカンが働くトマト農園で生計を立てるようになる。来る日も来る日も枝についた実を収穫し、いつしか大リーガーになって裕福な生活をすることだけが希望だった。

でも、なんのきっかけもつかめぬまま時間だけが過ぎていく。いつまで経っても赤いトマトは白いボールに変わらなかった。3年間、農園で働いたジョーは環境を変えるべくニューヨークへ戻る。

「そこに団体名さえ忘れてしまったプロモーションがあって、レスラーになるためのトライアウトを実施するという話を聞いたんだ。試しに受けてみたら、合格してしまった。力仕事をやっていたから、それが役に立ったんだろうな。そうでなければ、俺のような小さな体で受かるはずがない」

プロレスラーになりたいとの願望はまったくなく、むしろ少年時代のイメージがあったからとても稼げる職業ではないと思っていた。けれども、またトマト農園で働くよりはいいだろうと、とりあえずやってみることにした。

同じプエルトリカンのペドロ・モラレス(第4代WWE王者)やカルロス・コロン(カリートの実父で、プエルトリコの団体WWC=ワールドレスリングカウンシル主宰者)とトレーニングを積み、1963年にのちの名物マネジャーであるルー・アルバーノを相手にロングアイランドでデビュー。ただ、リングへ上がるようになってからもどうにも芽が出ない。

技術云々以前に、当時のレスラーたちの中に入るとジョーは小さかった。今のようにジュニアヘビー級が独立したクラスとして認知される時代ではなかったから、闘う相手はみんな自分よりもビッグガイばかり。

当然のごとくプロレス一本では食っていけなかったため、ジョーはレストランでコックをやりながらリングへ上がっていた。その後、オクラホマに移りダニー・ホッジへレスリングを学ぶ。

ホッジも小さい体ながら、ヘビー級の相手とやっても負かしていた(NWA世界ジュニアヘビー級王者として有名)。だからなのか、いつもデカい男にコテンパンとされていたジョーに目をかけた。

オクラホマにいた2年間で、ジョーはレスリングのベースを身につけた。そしてホッジに別れを告げてこの地を出たところからプロレスラーとしての放浪の人生が始まったといえる。

「俺の足跡は鉛筆で書いた文字のようなものだ。大して活躍しなかったから、何も記録が残っていない。“ジプシー・ジョー”という名前が書かれても、消しゴムで消されて何も残らない。だから、100%正確なジプシー・ジョーのヒストリーを追うのは誰にも不可能なんだ。『おい、昨日までいたジョーがいないぞ。どこにいったんだ?』『知るかよ。あいつは家もないから連絡がとれない』…そんな会話がドレッシングルームではおこなわれていたんだろうな」

どこかに定住せず、リングを求めてアメリカ、カナダ、メキシコ、そして日本を50年近くも流浪してきた。今でもジョーは、実生活もジプシーそのもの。

18歳のひ孫に一番下の弟が生まれ、この1月で1歳になった。4世代に及ぶ家族たちがいながら、一緒には住まずにいる。そもそも、自宅にあたるものを持っていないのだ。

現在は「マイ・ガールフレンドとルームシェアして」テネシー州ナッシュビルの郊外にあるライルスという街に住んでいるそうだが、3カ月前までは別の友人宅に居候していた。こうして、知り合いのところを転々とするジプシー生活を続ける。

「一個所でジッとしているのは性に合わなくてな。俺はトラディショナル・ジプシーだ。それにしてもアメリカの政府は立派だ。俺のようなジプシーにも年金をくれるんだから。ハッハッハ」

少年時代に夢見ていた億万長者にはなれずとも、食うには困らぬ環境の中で好きなレスリングを続けていられるのはしあわせだとジョーは言う。

消しゴムで消した鉛筆の文字には、いくつものリングネームが記されている。最初のうちは、テリトリーを移るごとに“ジョー”は同じでもファーストネームの方を替えられた。

「メキシコではアズテック・ジョーを名乗れと言われた。アラスカでは“チーフ”ツナ・ジョーと名づけられた。俺が魚? おかしな名前をつけるなと思ったんですぐに飛び出した。ボボ・ブラジルが『ツナ、ツナ』って俺をからかった。あの時は今よりも金がなかった。その後、どこかのテリトリーで“ジプシー”を名乗れと言われた時、今までの俺の足跡と合っているなと思って定着させた。そこからカナダに渡りモーリス・バションというタフ野郎に出逢った。彼との出逢いが、俺の運命を変えた」

元AWA世界ヘビー級王者マッドドッグ・バションとして知られるモーリスの当時の主戦場は、少年時代に過ごしたカナダ・モントリオールだった。そのライバルとして、ジョーは名を馳せるようになり、地元のタイトルであるGWA世界ヘビー級王座を獲得する。

激しい抗争を繰り広げながら、小さくとも無類のタフネスさに手こずったバションは「こいつとなら日本のファンが驚くような試合ができる」と、国際プロレスへ売り込んだ。初来日となった1975年9月に、その後のジョーの運命を決定づけるイス攻撃との邂逅は訪れていた。

「あの頃、場外戦でイスを使う時はみんなが相手に投げつけていた。それを見て、投げるよりも叩く方が凄いだろうと思った。でも待てよ、叩くよりも叩かれてそれでも平気な方がプロレスラーらしいじゃないか。そう思って、仲間のレスラーに『俺の背中を叩いてみろ』と言って叩かせた。そのあと、トーキョーでモーリスとビッグマッチを闘った時、俺がイスで叩かれたことを当時のマガジンのライターが大きく扱ってくれた。そうか、俺はこれが評価されているのかとわかったんだ。それでカナダに帰ってからも同じことをやったら、案のじょう大ウケさ」

それからのジョーは、毎日のように背中や脳天をイスで殴られ続けた。なぜ耐えられるのかという素朴な疑問を向けると「俺は叩かれるのが好きだし、叩かれても平気なんだ。耐えているのではなく、まったく苦痛に思わない。なんで頑丈なのかと聞かれたら、それは俺にもわからないがな」が返答だった。

国際に来なければ、もしかすると自分の体をイスで叩かれるという“見せ場”に気づかぬままのレスラー人生だったとも考えられる。もっとも、殴られるばかりでは勝てない。そこで得意技として使うようになったのがコーナー最上段からのダイビング・ニードロップだ。

「ニードロップを使い始めたのがいつだったのかは…思い出せないな。ただ、ひとつ確かなのは、当時は誰もそれをフィニッシュに使っていなかった。キラー・コワルスキー? 確かに彼もニードロップを使ってはいたが、あれはスネやカカトが当たる時がある。俺のニードロップは、必ずヒザを相手に突き刺す。その意味では別の技だと思っている。

ヨシワラカンパニー(国際の社長は吉原功氏)でキムラさん(ラッシャー木村)とケージマッチをやった時も、コーナートップからニーを落としたら観客が大興奮した。ほかにもへッドバットを多用してみたんだが、どう見てもニーの方が興奮している。そのうちジプシー・ジョー=ニードロップというイメージができたから、それはもう使い続けるしかないだろう。客はそれが出るのを見に来ているんだから」

彼を知る者であれば誰もが代名詞と認識するイス攻撃受けとニードロップは、いずれも日本における試合が大きく影響していた。このような過程を経てジョーは全日本の常連外国人となり、記憶に残るレジェンドの仲間入りを果たした。

ここから先は、TAJIRI戦をリポートした私のブログに加筆・修正したものを転載することで、ジョーの過去と現在を結びつけさせていただく。2010年12月11日、我々がSMASHで聴いた、放浪の殺し屋が奏でるボヘミアン・ラプソディーを――。

☆   ☆   ☆

大会前々日の記者会見で、ジョーさんは右ヒザの負傷と右足小指の切断について明かした。まず、TAJIRIもいきなり見せられ息を飲んだ足の小指は2年前に化膿した。試合中のケガによるものではなく、なんらかの原因でばい菌が入り、年齢による免疫力の低下で思いのほかヒドい状態となってしまったらしい。

ジョーさんがジョーさんらしいのは、大きく腫れあがった指を見て「これは中に血が溜まっているんだな」と思い、病院へいかず針で小指をグリグリとやったこと。想像しただけで痛みを覚えるが、それで治るならばと無茶をした。

ところが、血も膿も一滴たりと出ない。おかしいと思いようやく病院へいくと「これはとんでもない状態ですよ! 小指を切断しなければ、ここから全身にウィルスが回って確実に死にます」と診断された。

さすがの放浪の殺し屋も、まだプロレスを続けたいのに死ぬわけにはいかない。「OK、ひと思いに切ってくれ」と言って、切断手術を受けた。現在もその個所が痛むらしく、一日1粒の鎮痛剤を常用している。

ジョーさんが痛み止めに頼るもうひとつ理由が、右ヒザだ。韓国での試合中に攻められてジン帯がイカレてしまった。それは、十八番であるダイビング・ニードロップを打つ方。常識的に考えたら、もう出すのは不可能となる。

にもかかわらず、今もニードロップをフィニッシュとしている。「観客が“ジプシー・ジョー=ニードロップ”というイメージを持ち続け、見られるのを期待するかぎりは出さなければならない」が、そのプロレス哲学だからだ。

「そうはいっても、ヒザの負担をできるかぎり抑えるために今はセカンドコーナーからしか出せなくなった。ヨシワラカンパニーで試合をした時、ケージの最上段からニーを落としたが、今の俺にはハッキリ言って無理だし、それどころかトップコーナーからもやれなくなっちまった。でも、客がそれを望んでいるならば、たとえ最上級のものではなくとも現時点での最高なものを出さなければならない。タジリとの試合で俺は、セカンドコーナーから最高のニードロップを突き刺してやるよ」

日本のファンはダイビング…つまりはコーナー最上段からのニードロップを見たいと思うだろう。その願いに応えるべく、ジョーさんは狙う気でいた。

TAJIRIとのレスリングによる会話に何かを感じ、セカンドではなくトップまで登り出したら…もう、その時点で観客は涙腺が決壊するに違いない。

プロレスのリングは、そしてファンの声援は時として選手自身が想像し得ない力を与える。ジョーさんだって、あの頃のようにトップコーナーからニーを落とせたらと願っている。TAJIRIと観客と、本人の思いが結集した瞬間、奇跡は起きる。

たった数十センチの違いであっても、ジョーさんが登るセカンドコーナーとトップコーナーの間には、これほどの大きすぎる違いが存在する。1992年2月、W★ING後楽園ホール大会でおこなわれたポーゴとの金網デスマッチのタイトルは「ジプシー・ジョー10年ロマンス」だった。

TAJIRI戦でジョーさんが、トップコーナーまで登ってダイビング・ニードロップを成功させれば「77年ロマンス」が現実のものとなる。放浪の果てに、ジョーさんは夢を見るか――。

そして当日。開始前にSUNAHOリングアナウンサーが「ジプシー・ジョーさんの試合を見たことがある方はどれぐらいいらっしゃいますか?」とアンケートをとったところ、手を挙げたのは600人(主催者発表)中20~30人ほどだった。つまり、新宿FACEへ足を運んだ方のほとんどは放浪の殺し屋を情報でしか知らない。

まさに伝わった説…伝説としての対象であり、深い思い入れを持たず「いったいどんなものなのだろう」という感じで臨んでいたはずだ。だからこそ、そうしたジョーさんを知らない現在のプロレスファンが見た時に何を感じるのか、さらに興味が増した。


TAJIRIの入場後、流れてきたのは5月に他界されたラッシャー木村さんが国際末期と新日本に乗り込んだはぐれ国際軍団時代、そしてファミリー軍団でも使っていた『Rebirth of the beast』だった。このチョイスは素晴らしい。

私は、W★ING参戦時の曲を予想したのだが、TAJIRIは当時を知る識者にいろいろとリサーチした結果、この曲をかけようと思ったのだという。確かに、木村さんのテーマであると同時に国際プロレスのイメージにも合っている。アントニオ猪木と抗争を繰り広げていた頃、毎週金曜の夜にかかっていたほどだから、そうした印象が強く残っているのも当然だった。

木村さんと金網デスマッチで壮絶なる激闘…イマっぽい言い方をすればハードコアな試合を繰り広げたジョーさんは、そのテーマが流れる中を放浪の殺し屋よろしくしばしリングサイドを徘徊し、ロープをくぐる。イスを1脚持ちながら姿を現した時点で、腕や脚が少年のように細くなっているのがわかっても、たたずまいはプロレスラーのそれだったから観客はどよめいた。



77歳の肉体ながら眼光は鋭く、構えにスキがない。そして開始のゴングが鳴らされると軽く体の前に伸ばしていた両腕でロックアップにいき、TAJIRIの腕をむんずとばかりにハンマーロックで捕える。そこからグラウンドに移行するとアームバーへつないだ。



29歳でデビューし、48年間もの歳月をかけて体に染み込ませてきたレスリングによって、ジョーさんはTAJIRIと時空を超えた会話をしていた。2日前に取材したさいは少しばかり耳が遠くなり、古い記憶が消えていて言葉が出てこないところもあったのだが、声を発するより何倍も雄弁に見えた。



スタンドに戻るとTAJIRIの胸板にチョップを放ち、その後は場外戦へ。SMASHでは旗揚げ以来、欠かさずキニョネスさんの遺影が本部席へ飾られている。

そのビクターが微笑む背中越しに、TAJIRIとジョーさんが乱闘を繰り広げている。SMASHだから、3人が同じ空間に集えた。

場外戦から戻ると、ジョーさんはコーナー下に置いてあったイスを持ち込み、振り上げる。TAJIRIが距離を広げ攻撃を受けないようにすると、すべてを理解しているかのごとくスペシャルレフェリーを務める遠藤光男さんがそれを取りあげ、相手に渡した。

ジョーさんにとって、イスは使うのでなく使われるためにある。そしてTAJIRIは…思いっきり振りかぶり、その脳天へ振り下ろした。



「世界に一羽しかない朱鷺(トキ)を扱うような緊張感でした。やっぱりそれ(イス攻撃)によって死ぬ可能性があっても、ジョーさんはやると思った。だから僕も、覚悟を決めないといけない」

考えてみてほしい。誰が愛してやまぬ77歳の頭をイスで貫けるだろうか。たとえジョーさんがプロレスラーであり、今なおそれをウリにしていると理解はできても、ためらいがあって当然だ。

それでもTAJIRIはイスでぶっ叩いた。そこで手を抜いたら、ジョーさんの伝説に泥を塗ってしまうからだ。文字で書けば「プロレスラーがプロレスラーの頭をイスで殴った」と簡単に済まされてしまうが、言葉などでは表せぬ凄みが、2人にはあった…そんな瞬間だった。

ジョーさんは、2脚のイスの底を抜いてしまった。それでも倒れることなく「もっとやって来い!」とばかりに身構えた。



「この前、試合をやったばかりなんだが、その時もアタッシュケースの角で頭を殴られた。でも、血は出なかった。それで大丈夫だったのかと思って頭をかいたら、バラバラッと肉片のようなものが落ちてきやがった。頭を殴られること自体は耐えられるが、さすがに最近は歩く時に体のバランスがとれなくなってな」

取材時に私へ見せた頭頂部の傷はこの攻撃によりパックリと開き、血が湧き出てきた。長年のダメージが脚の神経に来ているのと、右ヒザの負傷によって歩くのもシンドい現実を、TAJIRIは前々日の会見へ向かうさいに偶然目撃してしまったと言っていた。

「ジョーさんはニードロップをやるって言っていたんですけど、ヒザがボロボロで…サポーターも僕が貸しました」

「トップコーナーは無理だが、セカンドコーナーからだったら…」と言っていたものの、TAJIRIの話を聞くと本当はそれさえも出せる状態ではなかったのだと思う。しかし日本のプレスの手前、観客が期待してやまぬニードロップを打てませんとは、口が裂けても言わない。

最後の最後まで、放浪の殺し屋の得意技はニードロップだと言い張るのだろう。

イス攻撃を受けきり驚愕させた直後に、ジョーさんはグリーンミストを浴びて丸め込まれた。ニードロップ・ドリームは見られなかったが、TAJIRIの呼びかけによってリング内へ上がってきた選手たちがスタンディングオベーションで称えるその空間には、77年ロマンスが確かに在った。



私は、プロレスが好きでもレスラーになろうと思ったことはない。あんなに厳しくて辛い練習など、自分のような人間には到底不可能であるのがわかっているからだ。

そんな私でも、プロレスラーが心底羨ましく思える時がある。この日のTAJIRIのように、自分が愛したり影響を受けたり、あるいは心の底から尊敬したりする先人と直接肌を合わせることによって会話ができる特権。

こればかりは、数えきれぬほど試合を見てこようが、フロントとして団体に携わろうが不可能。同じプロレスラーだからこそ、このような形で敬い、輝ける舞台をプレゼントできるのだ。

TAJIRIは、SMASHという自分の器を作ったことでファンの頃に感動を与えてもらった神々たちを迎え入れられるようになった。2008年のレッスルマニア24で引退したリック・フレアーを、翌日のロウにおけるフェアウェルセレモニーで進行役を買って出て盛大に送り出したのは、トリプルHだった。

心を揺さぶられてたまらなくなるぐらいに愛する人間国宝級のレジェンドに対し、そこまでやれるのはプロレスラー冥利に尽きる。あの日のトリプルHが、ジョーさんを抱き締めるTAJIRIと重なった。

サポーターが施されていない方のヒザをキャンバスにつけて、ジョーさんはTAJIRIとSMASHと、日本のファンに感謝の意を述べた。そして、まだまだやれると言わんばかりに、か細くなった右腕で力こぶを作ってみせた。



本当にカッコいい人間とは、こういうことをいうのだろう。この日、有明コロシアムで開催されたK-1グランプリでは、40歳のピーター・アーツが決勝戦まで進みファンを熱狂させた。西の大阪府立体育会館ではIWGPヘビー級王者の小島聡が、中邑真輔と激闘の末に防衛を果たした。

それぞれに、それぞれの満足感や感動があったと思われるが、ジョーさんが奏でたボヘミアン・ラプソディーを聴けたのは、新宿に集った600人だけのかけがえのない宝物だ。肩車されるとスポットライトが浴びせられ、スクリーンには放浪の足跡をイメージした映像が流れる。TAJIRIは、マイクを握らなかった。

思いのたけはいくらでもあったはずなのにアピールをグッと抑えた。観客のひとりから贈られた花束を受け取ると、ジョーさんは座り込んで両手を合わせ、天を仰いだ。 

「日本のファンは、もう俺がサンタマリアのところへいったと思っていただろう?」

2日前の取材における第一声がそれだった。この時も同じように、ジョーさんは手を合わせていた。

どうやら、長きに渡るジプシー人生をこのトシになっても続けていられるのは、マリア様のご加護を受けているからだと信じているらしい。家族のもとにさえ留まらずに流浪を続けたジプシーが、最後の安住の地として選んだのはSMASHだった。

バックステージでのコメントを終えると、報道陣から自然発生的な拍手を贈られた放浪の殺し屋。それから30分ほど経って、会場を出るべく控室のドアが開けられたままとなっている前を通り過ぎようとしたところ、こちらへ気づいたジョーさんはイスに座ったまま寄りかかっていたカベに後頭部をガンガンと打ちつけ始めた。

慌ててスタッフがやめさせたが「俺はまだ耐えられるぜ!」とのアピールだったのは明白だった。観客が見ていないところでもジプシー・ジョーであり続けようとするそのプロ意識…世の中にはこんなにもカッコいい77歳がいることを、プロレスというジャンルは誇るべきなのだ。

☆   ☆   ☆

「今のレスリングスタイルがベストだとは俺は思わない。何よりオリジナリティーがないな。俺が若い頃は手本となるものがあったとしても試合の中でほかにないものを求めたものだった。高い服を買っても似たようなものだったら個性など出ない。俺なら自分だけ安い服を買う。その方が目を引くからだ。レスリングがショービジネスなのは理解しているが、ショービジネスはグッドとバッドの2つで測れるようなものではないのだ」

ジョーが滞在した間に聞いた言葉の中で、なんとなく引っかかった一節が今も脳内でゆっくりと旋回し続けている。彼は、オリジナルであり続けるために人生を放浪してきたのではないか。

そんな結論めいたものが浮かんできた。かくしてジプシー・ジョーは、他の誰にも描くことができぬ一代限りの壮大な大河ドラマとなったのである。サンタマリアの御加護を――。
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6月2日より花まる学習会王子小劇場にて劇団「柿喰う客」が、10周年イベントとして「柿喰う客フェスティバル」を開催。26日までの25日間(うち3休演日)、5作品を計54公演おこなうというもので、演る方と見る方の双方が別の意味でたまらない状況を満喫している。

演る側は言うまでもなく、5つの作品を同時進行させるのだから時間との闘いをまず強いられる。出演者は分けてあるが、中にはフェス中に複数出演する役者もいる。柿喰う客の看板俳優・玉置玲央は一人芝居『いまさらキスシーン』で必要以上に熱苦しい(暑苦しいではない)キャピキャピな女子高生をTモロ(Tバックモロの略)で熱演する一方『フランダースの負け犬』ではドイツの将軍様と、ほぼほぼ真逆の役作りを同時進行でこなす。劇団を主宰する中屋敷法仁にいたっては稽古においてすべての演出を手掛けなければならず、よくもまあこんな過剰な試みをやろうと思ったものだと、それだけで称賛したくなった。

こうした企画は、ファンであれば一度は考えるもの。たとえば音楽のライヴにて「100曲演ってほしい」と絵空事を思いつつも、おいそれと形にできるものではない。だからこそ昨年9月に2日間で、今年3月には1日で100曲を演りまくったPOLYSICSは、いい意味でどうかしているのだ。

柿喰う客が作品を積み重ねる中で、同じような願望を持ったファンも多かっただろう。今回のフェスは、私のような過剰好きな人種にとってドストライクな企画であった。2011年に女性のみで演じる『女体シェイクスピア』シリーズをスタートさせた以後は、そちらの方がクローズアップされるようになったし、柿喰う客もおそらく意図的にそのイメージを前面に打ち出していたと思われるが、オリジナル書き下ろし作品にこそこの劇団の神髄があると思っているので、それらが集められた現在形のオムニバスは嬉しかった。

初めて見る者をまたたく間に引きずりこむグルーヴ感あふれるセリフ回しと、体のパーツごとに意思を持ったかのような演技、そして剛速球とスローボールを使い分けたリズムによる表現…劇団のキャリアとともに表現の幅を広げつつ、こうした“らしさ”はいつまでも持ち続けてほしい。過去にとらわれぬことなく進むのは大切だが、その中で新たに得たものや感覚の変化によって作品が生まれ変わる魅力も捨て難い。

ましてや10年も続けていれば客層も入れ替わっており、リアルタイムで体感していないファンも増えている。着実に観客動員を伸ばしている柿喰う客だからこそ、最近のスマートさとは一線を画した近い距離感から投げつけるような刺激が強みとなるはずなのだ。

まずは前述の一人芝居を観劇した。2010年に今はクローズした新宿2丁目の小劇場・タイニイアリスで初めて柿喰う客と出逢った時、玉置は当時在籍していた村上誠基との二人芝居『八百長デスマッチ』を演じた。

「暗転してから舞台に照明がつくや、そこにいた若者2人は早口言葉よりも早口なスピードでまったく同じ台詞をシュルシュルと流し出した。それは、話すとも語るとも言うとも違うし、喋りまくるでも追いつかない。それほど速く、そして完ぺきなまでに“同期”していた」

当時のブログで、そのように書いた。とんでもない役者が世の中にはいるものだと…案のじょうというべきか、その後の作品においても玉置は突出した存在感を誇るようになった。今回のフェスでも再演されている『露出狂』は14人の出演者全員が女優なのだが、2012年にその男版がパルコ・プロデュースでおこなわれた。そこでも肉体の演技にとどまらず、声量・声質から滑舌、間のとり方までが“別モノ”だった。

速ゼリフを覚えたとしても、聞き取れずに伝わらなかったら本末転倒。今回の一人芝居においても玉置演じる恋に生きる女子高生の心情が、言葉とリズムと顔芸によって描かれていた。“男が演じる女の子”と“女の子に見えてしまう男”を場面によって演じ分けられるから、とても1人の人間によって表現されているとは思えなくなる。

何よりも頭、顔、手、腕、腰、脚などパーツごとの表現があり、セリフがある。つまり多勢でやることを1人で演っている感覚に見る側は陥ってしまうのだ。それは一人何役というスタイルとは異なる、玉置ならではの表現力なのだと思う。

ああ、この疾走感だ――いまさらキスシーンを見て、少しばかり懐かしい感覚にとらわれた。そして2回目に足を運んだのが露出狂。同じ王子小劇場でおこなわれた初演、そして前述の男性版に続き、これが3回目の観劇となる。

女子高のサッカー部が舞台で「女子14人のプライドと痴情が絡みあう不朽の大迷作! 強豪サッカー部で巻き起こる壮絶で下劣な泥試合!? こんな青春に誰がした! 愛憎×群像×スポ魂活劇!」というのがオフィシャルなあらすじ。サッカーのシーンはほとんど描かれず部内の人間関係が物語を紡いでいくのだが、90分間を一気に駆け抜けるためそのスピード感はスポーツ観戦と相似している。

前回まではステージ上に螺旋階段からつながる高い台がドンと置かれていたのに対し、今回は柿喰う客のイメージカラーであるピンクで彩られた鉄骨がコの字に囲んでおり、そこへ登ったりしがみついたりする。加えて足場には傾斜が施されている。2011年公演のオリジナル作『愉快犯』ではもっと急な角度でつけられていて、そのアフタートークで中屋敷は「それによって普段は使わない筋肉を使った表現を出すのが狙い」と言っていた。

セリフは速いわ、音に合わせて動かなければならないわ、感情を表現しなければならないわに加えて必要以上に筋力を使うわで、よく頭と体がバラバラになることなくシンクロしているなと感心しさせられてしまう。にもかかわらず14人の女優陣はキャラクターを被らせることなく、登場人物と自身の色を印象づけていくのだ。

柿喰う客メンバーからは4人が出演。劇団の副代表を務める七味まゆ味は6年前のタイニイアリスで『いきなりベッドシーン』という一人芝居を怪演。その鬼気迫る表情は、身内の中屋敷をして「七味さんが怖いんで再演はやりたくない」と言わしめるほどで露出狂には唯一、初演に続きキャスティングされた。

女異形(いぎょう)職人と言うべきその表現力は、舞台上の世界がシェイクスピアになろうがケラリーノ・サンドロヴィッチの戯曲『フローズンビーチ』を逗子の砂浜に建てられた小屋の中で演じようが、不変のオリジナル・オブ・オリジナル。そんな七味が狂言回し的なセリフを担うことで、全体を引っ張る。

その役・佐反町(サソリマチ)は初演時、コロという当時の柿喰う客に在籍した女優が演じた。退団したいきさつなど知る由もなければ観劇する上で必要な情報とも思わないが、それでもあとに残った七味が務めるという事実に、ささやかな物語性を描いてしまった。

また、葉丸あすかは初演の時点で入団しておらず、今回が“初露出”となる。何度も舞台で見ているはずなのに、途中まで彼女と気づかなかった。それほどいつもとは違う顔をして役・白峰(シラミネ)になりきっていた。

さらに今回の舞台で新メンバー2名がデビュー。ボーイッシュなルックスの長尾友里花はハマり役だった。というのも、初演時に同じ役・御器(ゴキ)を演じた熊川ふみ(範宙遊泳)もショートカットで、アフタートークにて観客から「そこは狙ってキャスティングしたんですか」と質問が飛んだほど、強く印象が残っていたからだ。

同じく柿喰う客のメンバーとして初舞台を踏んだ福井夏(役名・比留)は、対照的に適度な変態性を人形のような顔で演じるアンバランスさで、オーディエンスの目を惹きつけていた(P-MODEL時代のことぶき光のような、アレ)。世代が変わっても、この劇団に集うべき人材がちゃんと入ってくるものなのだと嬉しくなった。

「オール女の子…といっても女子高のサッカー部が舞台とあり、ほぼ全員が血中おっさん濃度の高いキャラ。十分にきれいどころとしてやっていけるような女優たちが怪女、あるいは快女になりきるサマこそが、彼女たちにとっての露出…さらけ出すことなのかもしれない」

初演を観劇した時に書いた印象は、今回にも当てはまる。きれいな顔立ち、あるいはあどけなさを残した女たちが制服を振り乱しながら自分を露出させ、チームと個の間で価値観を蹴飛ばしてはシュートし合う。

サッカーの実力がない人とは一緒にやりたくない→その結果、人数が足りなくなる→新入部員を入れて増やそう→人が増えれば誰が誰のことを好きという話になる→結果、すこぶるややこしくなる→それぞれが自分を露出した揚げ句、待っていたのは――複数の人間が集って勝負を争う世界であればじっさいに起こりそうなあれやこれやに、女子高生たちが直面したらどんな人間模様となるかが描かれているものの、それだけで終わらせるような柿喰う客ではない。

七味と葉丸の柿陣はともかく、ルーキーの2人と他の客演10名にとっては高いハードルだっただろう。その中の1人に、葉枝(ハエダ)役の山口ルツコがいた。

プロレス方面では女子団体・アイスリボンの元選手であり、現在はリングアナウンサーを務めることで知られている。今回、5作品を同時上演すること以上に衝撃的だったのは、プロレス関係者の中から“あの”柿喰う客の作品に出るという嬉しすぎるニュースだった。そして本人も…。

「1月ぐらいに七味さんから『6月って空いてる? じつは…』ってLINEをいただいたのがきっかけでした。もともと青蛾館の『星の王子さま』という作品で七味さんとご一緒させていただいて、私が大学を卒業して初めて外部の舞台に出たのが中屋敷さんの演出だったのでもともと知り合いではあったんです。でも、なんで自分を選んでいただいたのかは聞いていなくて…私は演劇での夢が3つあって、そのうちのひとつが柿喰う客の女体シェイクスピアに出ることだとずっと言っていたんです。なので今回、夢の半分がかなったことになります。その連絡をいただいた時は歌の録音中で、携帯を見た瞬間『うわーっ!』って叫んで喜びたかったんですけど、スタジオで録音していたのでいったん外に出てから叫んで、泣きました」

洗足学園音楽大学在学時に教わった演劇の先生が桜美林大学でも講師を務めており、そこの生徒だった中屋敷がミュージカルコースで書き下ろしを提供。その関係で、山口は存在を知った。

卒業後、中屋敷が演出を担当する流山児事務所『アトミックストーム』のオーディションがおこなわれるとの情報をキャッチ。「大学を出て一発目の舞台がこれだったらいいな」と思い、その前に柿喰う客の舞台を見ておこうと思い立ち目の当たりにするや、それまであまり観劇はしていなかったにもかかわらずハマってしまった。

オーディションにも合格し、山口は中屋敷の演出を受けた。だが、それでも今回の露出狂は大いなるチャレンジだった。

「セリフのテンポが速いのはもちろんですけど、この音楽がかかったらパッと動くみたいな“きっかけ”が多いんで、最初はそれとテンポをつかむのに必死で感情を表現するどころではなかったです。頭の回転が追いつかずに、みんなで稽古中ギャーギャーのたうち回っていました。声のトーン、体の動き、感情などすべてのコントロールが倍に求められる作品なので、いっぺんにたくさんのコントロールを要する。そういう演出は今まで俳優として経験がなかったので、柿喰う客さんに出られる喜びも束の間でしたね。密に稽古をやったのは…9日間ぐらいかな。普段はもっと長い期間で稽古をやるそうなんですけど、今回は5作品をやるので作品ごとに時間を分けなければならなくて。だから決まった時間よりも早く会場が空いていたら、みんなで集まってやっていました」

作中はチームワーク支持派と否定派に分かれていたが、当然ながら演劇はフォア・ザ・チームの精神がなければいい作品とはなり難い。同じ喜びで気持ちを支えつつ、同じ壁にぶつかることで10名の客演組は柿らしくなっていった。

山口は14人の中でもっとも長身のため、それだけで存在感がある。そこに加えて柿喰う客の表現方法を武器として使えるようになれば女優として飛躍的な成長を遂げられる。話を聞いた時は、いっぱいいっぱいだと泣きそうな顔をしていたが、ステージ上の彼女はアイスリボンのリングでコールをしている時と同じように堂々と、そして他の誰よりも大らかに演じていた。

全体的なテンポが速い中で、山口がアクセント役を担っている(もちろんだからといってセリフがほかと比べてイージーというわけではない)。緊張と緩和のバランスを配慮する上で、重要なポジション…本人はどうして選ばれたのかと言っていたが、客席から俯瞰してみると、なんとなくその理由がわかる気がした。

「お客さんの反応が毎回新鮮で、稽古場でやると演者たちの間で面白いと盛り上がっても客席がそれほど反応しなかったり、その逆があったりで。集中力を途切れないようにしないといけないんですけど、必死になりすぎて感情ばかりでいっちゃうと、きっかけが飛んだりするので毎回ドキドキしています。それでも中屋敷さんの楽しい演出と、細かなチェック、そして劇団員の方々がキャストをまとめてくださることでグルーヴ感ができていった。柿さんに出演して、改めて中屋敷さんの演出と作品、柿喰う客の空気感が大好きになりました」

見る側だけでなく、柿喰う客には演じる側も夢中になれるものがある。プロレスに携わっている人間が、このハイレベルかつエンターテインメント性に満ちた劇団で輝いているのは本当に感慨深い。ちなみに劇中、プロレスファンなら知っているフレーズが出てくる。しかもそれが山口のセリフなのだ。

念のため確認すると本人がそういう言い回しを持ってきたのではなく、台本に書かれていたのだという。でも、そのセリフこそが柿喰う客という劇団の方向性を的確に表していると思った。いったい、どんな“プロレス用語”なのかは、会場で拾っていただきたい。

「露出狂というインパクト大なタイトルなんですけど、どの部分がどういう形で露出されていくのかというのと、真剣に熱い感じにフザケて楽しんでいます。見ていて快感になるテンポの速さ、グルーヴ感、凄まじいエネルギー量といった柿喰う客特有のものを、プロレスファンの皆様にも体感していただきたいです」

そう言い残すと、山口は3公演目に向かっていった。回を重ねるごとに自分の言葉と体と感情で夢を形にしている実感も膨らんでくるだろう。目まぐるしい展開の中からにじみ出る彼女の喜びを共有するべく残りの舞台に足を運び、柿喰う客を脳内にある“面白フォルダ”にファイルしていただきたい。早口で言わなくてもいいから。(文中敬称略)


柿喰う客『露出狂』
6月11日(土)14:00/19:00
6月12日(日)14:00【完売】
6月13日(月)15:00/19:30【完売】
6月18日(土)19:00【完売】
6月19日(日)14:00
※購入可能なのは4公演(6月11日現在)
〔入場料金/全席指定〕
極楽:5800円※特典:最前列保証+特製缶バッジ+Tシャツ(非売品)+メンバーの直筆メッセージ付きポストカード+めこちゃん(柿喰う客イメージキャラクター)ショップバッグ付き
一般:4300円
学生:2800円
高校生以下:1400円
なかよし割引(3名以上で観劇する場合のみ適用/表示金額は1人あたりの料金)
なかよし一般:3300円
なかよし学生:2000円
なかよし高校生以下:1000円
〔作・演出〕中屋敷法仁
〔出演〕七味まゆ味、葉丸あすか、長尾友里花、福井夏、太田ナツキ、加藤紗希、角島美緒、清水みさと、高島佑香、西村由花、藤咲ともみ、松永渚、松原由希子、山口ルツコ
〔チケット購入・詳細〕柿喰う客フェスティバル https://kaki-kuu-kyaku.com/next.html
ほか4作品『サバンナの掟』『いまさらキスシーン』『フランダースの負け犬』『へんてこレストラン』の情報もこちらから
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