昨日の記事は、なかなか反響が良い様なので、少し補足しておきます。

クラシックの業界に顕著な事なんですが、

現在、日本では『中央A』の音の高さを441~442Hzで調律されている事が多い。

それに反して、アメリカでは439Hz、ヨーロッパ各国では444Hz。
(一概には言えませんけど)

我々にはアメリカは少し低く、ヨーロッパは少し高い印象です。

たとえば、キーE♭の曲を聴くと、日本のE♭より、アメリカは少しキーD
ヨーロッパでは少しキーEの印象を持ったE♭のキー設定になっている事になります。

しかし、それほどの差を普通の人は感じる訳ではないので、そんなに違和感はない
と、思われます。

しかし、我々にとってはかなりの大問題です。

私自身が各国では多少の違和感を感じて演奏しています。

『あっ、色が違う』って、海外のオケを聴くたびに、何度も思いました。



それほど、キーの色が人にあたえる印象は大きいものなんですが、
昔の作曲家は、この『キー決め』に非常に慎重だった様な気がします。



たとえば、私が一番影響を受けたベートーベンの
『エロイカ』の第一楽章はE♭。

これは、当時としては画期的なキーでして、
ヴァイオリンなど主に開放弦を使い易く、今より演奏するのが容易で
技術的にも難しくなく、広く慣れ親しんだキーである半音下の#2つの『D』に
なぜしなかったのだろう?

それは、『E♭でなければいけなかったから』に、相違ありません。

あの曲の持つ『明るさ』『ポップ感』そして『躍動感』が
キーDでは出なかったから。

Dなら少し風格が出過ぎてしまうし、開放弦のせいで少しオケが鳴り過ぎで
イメージが違うから。


そして、E♭だから感じるあの『やんちゃな感覚』
まさにエロイカの冒頭を飾るに相応しいキーだったからなのです。


そして、私もこの曲にはインスパイアーされています。


そう、今や世界的になったワンピースの主題歌『ウィーアー』です。

『ウィーアー』の出だしは、『エロイカ』の出だしから派生したものです。

試しに聴いて下さい。

驚くほど、両者の色が似ている事を、お感じになられる事と思います。

やんちゃ、、、でしょう!

そう考えてみると、ベートーベンがあの曲でイメージした『ナポレオン』と
私がウィーアーでイメージした『ルフィ』とで、あの生き方のやんちゃ感が
似ていたのかもしれませんね(笑)


インスパイアーとはこういう事です。
メロやコードを真似る事ではありません。

私にとっては、色を感じる事、、、、なんでしょうか。



同じ理由で『ゲキテイ』は
メンデルスゾーンのヴァイオリンコンチェルトの第一楽章からの
インスパイアー。


力強さと言うより、乙女達が戦わなければならない『せつなさ』と『儚さ』に
重点を置いた曲だから、あのEmのキーにしました。

単純にかっこ良い曲にするだけなら、もっと違うキー決めになったのだけど。


こんなお話、興味ありますでしょうか?